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お昼のドラマ「トットちゃん!」で、ちょうど今、放送してる、私がNHKに入った頃の写真です。 先週のドラマに出てきましたが、NHKの研修時代に、先輩の俳優が、私達研修生を集めて「いいか、覚えとけ。蹴落とさねえ奴は、蹴落とされるんだ」と、言われました。 それを、聞いて、私は、1リハ(第1リハーサル室)の壁を蹴って、泣いた。 絵本を上手に読んであげられるお母さんになりたくて、NHKの試験を受けたのに、 そんな、人を蹴落とさなきゃ、やれない仕事なんて絶対に嫌だ! 私は、人を蹴落としたりなんかしない。 そんな事までして、女優になんかなりたくない! そう、思った。 それから、63年間。 私は、ここまでやってきました。 考えてみると、自覚はしなくても、誰かを蹴落として、ここまで、やって来たのかもしれないのです。 でも、少なくとも、私は、誰かを蹴落とそうなんて、思わないで、ここまで、仕事をして来れたことに、感謝しています。
この写真は、戦争中に青森県三戸郡という所に、疎開していた時の私です。 お昼のドラマ「トットちゃん!」では、ちょうど、先週放送していた頃ぐらいです。 この写真を見て、「かわいそうに、随分緊張して暮らしていたんだね」と、言ってくれた人がいました。 夜になると、空襲や爆撃のある東京から逃れて、知り合いを訪ねて、青森に疎開。 父は、出征して兵隊になり、どこに行ったのかも、分かりませんでした。 確かに、私は、緊張して生活していたのかもしれませんね。 このセーラー服は、従姉妹から貰った、私の一張羅でした。 それまでは、横分けの髪に大きいリボン。母の手作りのかわいい洋服。そして、白いハイソックスに、黒いエナメルの靴。 お洒落をするのが、大好きでした。 そういう格好から、戦争になると、東京から持っていった洋服も、ボロボロになってしまい、足は、どんどん大きくなって、お気に入りの靴は入らなくなりました。 従姉妹に貰った、このセーラー服にモンペのズボン、そして、下駄というのが、私の唯一のよそゆきでした。