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内燃機関超基礎講座 | メルセデス・ベンツのV型12気筒、その歴史


ダイムラー社のV12エンジンファミリーは、M120/297(1991)→ M137(1999)→ M275/285(2002)→ 277/279(2012)というのが大まかな流れ。このほか、パガーニ社『ウアイラ』向けのM158型(2012)がバリエーションとして存在する。

M120型は戦後初のダイムラーV12として、それまでのV8のさらに上をいくフラッグシップエンジンとして登場。気筒ごとに耐ノッキングを図り300もの点火マップから最適燃焼を実現する制御が盛り込まれた。吸気側にカムフェーザーを備え、燃料供給はインジェクション、ブロック材はダイムラーお得意のAl-Sil系合金のライナレス構造。変速機との協調制御により、トラクションコントロールを盛り込んでいたのもトピックだった。ハイパフォーマンスを狙って開発されたが時期が悪く、1993年には全負荷時のリッチ燃焼制御を諦め出力/トルクを抑えている。S/SL/CLなど各モデルの『600』グレードに搭載、さらにターボ過給版や排気量を6.9/7.0/7.3ℓまで拡大したM297型もバリエーションとして生産されている。

M120

CLK GTR用のエンジン。600馬力(441kW)を発生。おそらくM297型の写真と思われる。

M120型は世界的な「燃費の悪いクルマは悪」という雰囲気にのまれ、早いうちに退場を余儀なくされる。そのあとを継いだのがM137型。巨大なSクラスであったW140からコンパクトなW220にスイッチする際に、そこに収めるためのV12エンジンも小さく軽くする必要があることから、ボアピッチを90mmまで詰めロングストローク設計とした。さらに特徴的なのがSOHC3バルブのバルブトレインで、これは排気バルブをひとつとすることで冷却損失を抑えるとともに触媒の早期活性化を図るもの。ツインプラグ構造も盛り込み、時間差で点火することで最高出力発揮と排ガス性能を両立する。カムシャフトも中空構造とされた。これらによりM137型は先代に対して実に80kgもの軽量化に成功している。




ロッカーアームの空振り機構による気筒休止システムも搭載、軽負荷時には左バンクの6気筒分を休ませる。可変長方式のインテークマニフォールドも備え、幅広い出力特性に寄与する構造とした。

M137

M137をターボ過給した仕様がM275シリーズ。SOHCの3バルブ/ツインプラグのシリンダーヘッドや気筒休止システムなどは踏襲され、排気量を5.5ℓまで縮小するとともに左右バンクそれぞれにターボチャージャーを備える。それに伴って運動部品系の強化が図られ、高出力対応としている。また、ほぼ同時にマイバッハブランド用のM285型が登場し、こちらは出力/トルクともにわずかながらパフォーマンスアップされていた。




変わり種としては、パガーニ・ウアイラのために仕立てたドライサンプ/ミッドシップ用のM158型がある。

M275

M158

そして現行のM277/279型へと続く。これらはM275型のリファイン機で、大径ターボやシリンダーヘッドの再設計/エンジンマネージメントの改良による燃焼良化などが施された。機械的な特徴はほぼM275と同じで、ダイムラーのエンジンがほぼすべて直噴であるのに対して本機のみがポート噴射を継続採用する。




M277型がメルセデス・ベンツブランドに、M279型がAMGブランドに搭載されていたが、メルセデスブランドの再構築に伴って、現在はM279型のみが残る状況である。

M279

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