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ホンダ・CB125R試乗|エンジンが刺激的! これはスーパー原付二種です。


2018年3月に日本でも販売がスタートしたホンダの原付二種スポーツモデル、CB125Rがビッグマイナーチェンジを実施した。水冷単気筒エンジンはSOHC2バルブからDOHC4バルブとなり、ボア×ストローク値まで変更して2psアップの15psを発生。φ41mm倒立式フロントフォークは、クラス初となるショーワ製SFF-BPを新採用。ネオスポーツカフェをキーワードとする新世代CBシリーズの末弟、その進化ぶりを紹介しよう。




REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ホンダ・CB125R……473,000円

車体色は写真のキャンディークロモスフィアレッドのほかに、マットガンパウダーブラックメタリック、パールスモーキーグレーを用意。フロントフェンダーがタンクカバーと同色になった一方で、それまで同色だったテールカウルが全カラーで黒となった。

シルバーだったフロントフォークのアウターチューブ、ブラックだった前後ホイールは、どちらもブラウン系となり質感がアップ。標準装着タイヤはタイ製のスポーツラジアル、ダンロップ・GPR-300だ。

高回転域をキープするという小排気量スポーツの醍醐味を凝縮

国内4メーカーのうち、51~125ccの原付二種クラスにフルサイズ(17インチタイヤ)のマニュアルミッション車を正規にラインナップするのはホンダとスズキのみ。ヤマハはそもそもMT車を用意しておらず、カワサキはフルサイズではない前後12インチのZ125 PROを持つが、これも次年度(2022年)以降の国内導入の予定はないとアナウンスされている。つまり、原付二種のフルサイズMT車は日本ではニッチなカテゴリーとも言えるのだ。




ところが世界的に見ると、EU圏内のA1ライセンスで乗れる車両が125cc以下&15ps以下と定められていることもあって、特にMT車はスポーツバイクの入門クラス的な立ち位置にある。アプリリアやKTM、SWM、ベネリといった有名メーカーをはじめ、日本では耳馴染みのないアジアンブランドまでがこぞってこのジャンルに参入している。




そんな激戦区に、2018年に送り込まれたグローバルモデルがCB125Rだ。オーバースペックとも思えるφ41mmの倒立式フロントフォークをはじめ、美しさをも漂わせる高張力鋼管製のダイヤモンドフレーム、150サイズのワイドやリヤタイヤなど、スポーツバイク好きの琴線に触れる要素がほぼ全て盛り込まれている。ただ、ライバルに対して唯一のディスアドバンテージがエンジンで、SOHC2バルブは実用上何ら不足はなくとも商品力で一歩劣り、さらに13psという最高出力はライバルとのスペックバトルにおいて負けを意味する。




そうした負の要素を完璧に駆逐したのが2021年型のCB125Rだ。スタイリングこそ変わっていないが、124ccの水冷単気筒エンジンはついにDOHC4バルブとなり、合わせてボア×ストローク値まで見直している。これらによってついにA1ライセンス上限の最高出力15psを獲得したのだ。さらに、1次/2次減速比や6段ミッションの変速比まで変更されていることからも、ホンダの本気ぶりが伝わってくるだろう。




実際に乗ってみると、レッドゾーンの始まる回転数はSOHC2バルブ時代と同じ11,000rpmなので、DOHC4バルブになったからといって極端に高回転型になったわけではない。だが、7,000rpmを付近に盛り上がるパワー感がより明瞭になった印象で、ひんぱんにギヤチェンジしつつパワーバンドをキープするという、小排気量スポーツ車ならではの醍醐味が増したと言えるだろう。




なお、総減速比の変更による効果は、特に1速ギヤで顕著だ。30km/hでの回転数は先代が9,500rpmなのに対して8,500rpmと、1,000rpmも低くなっている。これは最大トルクが10Nmから12Nmへ増したことの恩恵と言えそうだ。

シャシーは基本的に兄貴分のCB250Rと共有している。正確には、海外ではCB300RやCB150Rも販売されているので、合わせて4機種が共通の車体ということになる。




そのハンドリングは、バイクから自然と向きを変えるタイプではなく、コントロールの全てがライダーに委ねられているという、スポーツマインドをかき立てられるものだ。とはいえ、車体が軽い上にハンドル幅が広いのできっかけを与えやすいことから、操縦自体は決して難しいものではない。旋回半径の決定からバンク中のライン変更に至るまで自由自在で、全てが自分の制御下にあるという感覚は実に楽しい。




従来モデルもそうしたスポーティなハンドリングを有していたが、新型は路面追従性に優れるショーワ製のSFF-BPを手に入れたことで、さらに走りがアップグレードした。具体的には、コーナー進入時の安心感が増し、自信を持ってフロントブレーキを残しつつ倒し込めるようになったのだ。そして、それがうまく決まるとさらに一段高い旋回力が引き出せる。このように、ビギナーが入りやすいよう間口を広げながら、ベテランを満足させるほどの奥深さも見せる。これがCB125Rの魅力と言えるだろう。




消費税が8%から10%になったのでそうは感じにくいが、車両本体価格は先代から15,000円しかアップしていない。スズキのGSX-R/GSX-S125や、海外のフルパワー15ps勢とスペックで真っ向勝負できるほか、スポーティな走りでは大きくリードする面も。ホンダの本気を感じるプレミアムな原付二種スポーツだ。

ライディングポジション&足着き性(175cm/64kg)

開き気味かつ垂れ角の少ないハンドルと、腰高かつ前傾した座面によって構成されるスポーティなライポジ。膝の曲がりが少ないのでロングツーリングでも疲れにくい。
シート高は815mmと原付二種としては高め。シートのできるだけ前方に座り、膝を伸ばして辛うじて両かかとが接地する程度なので、足着き性はあまりいいとは言えない。

ディテール解説

124ccの水冷単気筒エンジンは、動弁系をSOHC2バルブからローラーロッカーアームを採用するDOHC4バルブに変更。さらにKTMやSWMと同じだったボア×ストローク値(φ58.0×47.2mm)を、φ57.3×48.4mmへとわずかに変更。1次/2次減速比や6段ミッションの変速比も見直されている。
マスの集中化に寄与するダウンショートマフラーは2室構造を採用。単気筒エンジン特有のパルス感を強調したサウンドも特徴だ。
φ41mm倒立式フロントフォークは、ショーワ製SFF-BP(セパレート・ファンクション・フォーク-ビッグピストンタイプ)を新採用。路面追従性の向上と軽量化を両立する。フロントブレーキはφ296mmウェーブ形状ハブレスディスクと、ニッシン製ラジアルマウント対向4ピストンキャリパーの組み合わせだ。
スイングアームは高張力鋼板製で、リンクレスのモノショックは分離加圧式。リヤブレーキはφ220mmウェーブディスクとニッシン製シングルピストンキャリパーのセット。標準装備のABSにはIMU(車体姿勢推定システム)が組み合わされている。
中央のクランプ部分をφ28.6mm、両端をφ22.2mmとしたテーパーハンドルを採用。路面からの情報を的確かつクリアにライダーへ伝える。
フルデジタル表示のマルチファンクションメーター。シフトアップインジケーターやギヤポジションインジケーターなど、スポーツライディングを助ける機能を盛り込む。レッドゾーンの始まる回転数は11,000rpmで、これはSOHC2バルブ時代から変わっていない。
フロントフォークのアウターチューブ間に埋め込むようにレイアウトされた薄型LEDヘッドライト。上下にポジションランプ、上段にロービームを配置し、ハイビームで全てが点灯する。
タイトに絞り込まれたシートカウルの後端に置かれたLEDテールランプ。その下にシートロック用のキー穴がある。
ライダーシートはウレタンが薄めなのでダイレクト感あり。一方で、座面が広い分だけ荷重が分散し、お尻が痛くなりにくい。
タンデムシートはキーロックでスピーディに取り外し可能。ヘルメットホルダーは同梱のワイヤーを介して使用する。

CB125R 主要諸元

車名・型式 ホンダ・8BJ-JC91


全長(mm) 2,040


全幅(mm) 820


全高(mm) 1,055


軸距(mm) 1,345


最低地上高(mm) 140


シート高(mm) 815


車両重量(kg) 130


乗車定員(人) 2


燃料消費率(km/L)


国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) 54.0(60)〈2名乗車時〉


WMTCモード値(クラス) 46.8(クラス 1)〈1名乗車時〉


最小回転半径(m) 2.3


エンジン型式 JC91E


エンジン種類 水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒


総排気量(cm3) 124


内径×行程(mm) 57.3×48.4


圧縮比 11.3:1


最高出力(kW[PS]/rpm) 11[15]/10,000


最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 12[1.2]/8,000


燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉


始動方式 セルフ式


点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火


潤滑方式 圧送飛沫併用式


燃料タンク容量(L) 10


クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式


変速機形式 常時噛合式6段リターン


変速比


 1速 3.083


 2速 1.941


 3速 1.500


 4速 1.227


 5速 1.041


 6速 0.923


減速比(1次/2次) 3.260/3.200


キャスター角(度) 24° 12′


トレール量(mm) 90


タイヤ


 前 110/70R17M/C 54H


 後 150/60R17M/C 66H


ブレーキ形式


 前 油圧式ディスク


 後 油圧式ディスク


懸架方式


 前 テレスコピック式(倒立サス)


 後 スイングアーム式


フレーム形式 ダイヤモンド




製造国 タイ
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