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自動運転の領域に、ホンダが世界で初めて足を踏み入れた。3月4日に発表された新型レジェンドが搭載するホンダセンシングエリートは、条件付きではあるものの、システムがドライバーの代わりに運転操作を行い、その間、ドライバーはTVを視聴したりナビを操作したりすることが可能だ。新型レジェンドの価格は1100万円で、リースでの取り扱いとなる。
新型ホンダ・レジェンドはトラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)を初搭載。自動運転レベル3を実現
ホンダは3月4日に新型レジェンドを発表した。新型といっても、見た目はほとんど変わっていない。注目すべきは外観ではなくその中身である。
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新型レジェンドは、安全運転支援システム「ホンダセンシング」の最新&最上級バージョンとなる「ホンダセンシングエリート」を搭載している。ホンダセンシングエリートは多種多様な機能が備わっているのだが、その中の「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」が、自動運転レベル3を実現しているのだ。
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参考までにお伝えすると、日本政府は運転自動化レベルを5段階に定義している。
レベル1(運転支援):システムがハンドル操作または加減速操作を行う
レベル2(運転支援):システムがハンドル操作と加減速操作の両方を行う
レベル3(自動運転):システムが特定の場所ですべての運転操作を行う。ただし、緊急時はドライバーに操作を切り替える
レベル4(自動運転):システムが特定の場所ですべての運転操作を行う。
レベル5(自動運転):システムが常時、すべての運転操作を行う
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レベル1〜5を自動運転として一括りにしてしまいがちだが、レベル1〜2では運転操作の主体がドライバーにあるため運転支援にあたる。自動運転は、運転操作の主体がシステムにあるレベル3〜5の領域となる。
日産のプロパイロット2.0とスバルのアイサイトXでは、手放し運転機能が話題となった。これは、上記の定義にあてはめればレベル2となる。あくまで運転支援なので運転操作の主体はドライバーにあり、手放し運転の間も、ドライバーは常に前方を注視していなければならない。
レベル2からレベル3になると運転の主体がドライバーからシステムに変わる。レベル3になると、システムが作動中はドライバーは運転以外の作業を行うことが可能だ。ただし、ドライバーはシステムの操作要求に応じて直ちに運転交代する必要があるので、たとえシステムが作動中でもドライバーは飲酒したり居眠りしたりすることはできない。
レベル2とレベル3の間には、大きな壁がある。技術的な面はもちろんだが、法律も整っていなければならない。日本では2020年に道路運送車両法が改正され、自動運転システムを指す自動運行装置の安全基準を制定。合わせて道路交通法においても、公道での自動運行装置の使用を認める規定が新設された。自動車の車両に関するルールと交通ルールの両方で、自動運転レベル3の枠組みが整ったのだ。
海外各国も同様に法整備を進めているが、この点で日本は世界をリードしている。そうした後押しもあり、新型レジェンドが世界で初めて自動運転レベル3の市販化に至ったというわけである。
新型レジェンドのトラフィックジャムパイロットが作動するのは、その名の通り、高速道路本線上の渋滞時であることが前提だ。中央分離帯によって対向車線と分離されていない区間や急カーブ、料金所は除外される。そして前走車と後続車が同じ車線を走行している必要もある。
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こうした条件が整うと、自車の速度が30km/h以下でシステムが作動して自動運転に移行する。この間は、DVDで映画を楽しんだり、ナビの細かい操作を行ったりすることが可能だ。ドライバーの疲労やストレス軽減に貢献してくれるのはもちろんだが、ヒューマンエラーをなくして、高速道路で少なくないという渋滞時の事故を防ぐという役割もある。
なお、改正された道路交通法では、トラフィックジャムパイロット作動時ならスマホを見ることも禁止されていない。が、ホンダではナビの画面でエンタメ機能を楽しむことを推奨している。というのも、ナビの画面はシステムがコントロールしているので、運転交代を要求する場合は、視聴中の動画をシャットダウンしてメッセージを表示したりすることが可能だからだ。
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システムは50km/h以上になると解除される。その際はドライバーに運転の操作を要求するのだが、その伝え方にも工夫が盛り込まれている。
まずは12.3インチの液晶メーターとハンドルに埋め込まれたライトや警告音によって注意を喚起し、それでもドライバーが応じない場合は、シートベルトに振動を加える仕組みとなっている。視覚・聴覚・触覚という流れだ。さらにドライバーが無視し続ける場合は、車両が左車線に車線変更しながら減速・停車を支援する機能も備わっている。
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また、ホンダセンシングエリートでは、手放し運転の状態で前方の遅い車両を追い越す操作も行なう「ハンズオフ機能付き高度車線変更機能」も備わっている。ウインカー操作の必要なく、追い越しや車線復帰を支援してくれるというものだ。
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ホンダがトラフィックジャムパイロットの実現において最も重視したのは安全性だ。新型レジェンドではフロントウインドウ上部にカメラを2基、フロントにライダーセンサーを2基、そして前後に合わせて5基のレーダーセンサーを搭載。さらにブレーキやステアリングのシステムも2重、これらを作動させる電源もセカンドバッテリーとDC-DCコンバーターにより2重とすることで、いずれかのデバイスにトラブルが生じた際にも安全性を確保できるようにしている。
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そして、システム開発においては1000万通りのシミュレーションと、130万kmにおよぶ高速道路での実証走行を実施。こうした膨大な手間暇をかけることにより、信頼性の高いシステムを開発できたという。
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エクステリアでは、ブルーアクセサリーランプと専用アルミホイールを装備する程度で、大きな変更はない。そんな中、世界初の自動運転レベル3であることを主張しているのが車体後部に貼られたステッカー。これは自動運行装置搭載車であることを周囲に知らせるため、車体に貼ることが義務付けられているものだ。
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新型レジェンドの価格は1100万円。改良前のモデルが742万9000円だったので、1.5倍の値上げだ。さらに100台の限定生産で、リースでの取り扱いとなるなど、手に入れるハードルは高い。しかし、世界初の自動運転レベル3を市販化したというホンダの偉業は、歴史の1ページにしっかりと記されることだろう。
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新型ホンダ・レジェンド(ハイブリッド EX・ホンダセンシングエリート)
■ボディサイズ
全長×全幅×全高:5030×1890×1480mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:2030kg
乗車定員:5名
最小回転半径:6.0m
燃料タンク容量:57L(無鉛プレミアム)
■エンジン
型式:JNB
形式:水冷V型6気筒SOHC24バルブ
排気量:3471cc
ボア×ストローク:89.0×93.0mm
圧縮比:11.5
最高出力:231kW(314ps)/6500rpm
最大トルク:371Nm/4700rpm
燃料供給方式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
■モーター
型式:H2-H3-H3
形式:交流同期電動機
最高出力:前(H2)35kW(48ps)/3000rpm・後(H3)27kW(37ps)/4000rpm※1基当たり
最大トルク:前(H2)148Nm/500-2000rpm・後(H3)73Nm/0-2000rpm※1基当たり
■駆動系
トランスミッション:7速AT
駆動方式:フロントエンジン+オールホイールドライブ
■シャシー系
サスペンション形式:Fダウブルウイッシュボーン・Rウイッシュボーン
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rディスク
タイヤサイズ:245/40R19
■燃費
WLTCモード:12.4km/L
市街地モード:9.4km/L
郊外モード:13.4km/L
高速道路モード:13.6km/L
■価格
1100万円(リースのみ)
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