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内燃機関超基礎講座 | ホンダ初代NSXのエンジン[C30A/C32B]虎の子VTEC! ライバルはターボ


ホンダの初代NSXが搭載するV6エンジンには、フラッグシップゆえ技術の粋が集められている。その特長の数々をご紹介しよう。

■ C32B(C30A)


シリンダー配列 V型6気筒


排気量 3179cc(2977cc)


内径×行程 93.0×78.0mm(90.0×78.0mm)


圧縮比 10.2



最高出力 209kW/7300rpm(198kW/6800rpm)


最大トルク 304Nm/5300rpm(294Nm/5400rpm)


給気方式 自然吸気


カム配置 DOHC


ブロック材 アルミ合金


吸気弁/排気弁数 2/2


バルブ駆動方式 ロッカーアーム


燃料噴射方式 PFI


VVT/VVL In-Ex/◯


(MY97 NSX)

1990年9月13日に鳴り物入りで登場したホンダNSX。ミッドシップスポーツカーながらパッケージングを重視、V6エンジンによるパワートレインを横置きしていたのが特徴である。初代NSXがユニークだったのは、ホンダを含めたスポーツカーが求めてきたパワーウェイトレシオ一辺倒ではなく、「ホイールベースウェイトレシオ」という新しい概念を持ち込んだこと。両者をともに追求することでパフォーマンスとハンドリングをともに満足させる新次元のスポーツカーの確立を目指した。そのための手段のひとつが、ご存じオールアルミボディである。

NSX(MY90)

エンジンも重量と出力のバランスから、自然吸気式が選択される。ターボ過給であれば出力は得やすいが、システム重量が増えることに加え、車両中央のエンジンルームにはより多くの熱対策が求められる。加えて、当時の出力型ターボエンジンの過給ラグもホンダにとっては看過できない現象。これらを含め、V型6気筒3.0ℓというフォーマットが選定された。




ベースとなったのはNSX登場から遡ること5年前に、レジェンドに搭載されたC20A/C25A型。SOHCながらロッカーアームにより4バルブとしていたエンジンで、バンク角が90度だった。理論値で言えばV6エンジンを等間隔点火にするためには120度バンクが理想(720度:1サイクル÷6=120度)だが、市販車のエンジンルームにはいかにも広すぎる。そのため、対向する気筒のクランクピン位置をずらしてバンク角を縮めるのが市販車用V6では常道である。C型もそれにならい、30度のクランクピンオフセットを設けて等間隔点火エンジンとしている。ホンダは「60°にするとエンジンの高さが大きくなり、120°にするとエンジンの幅が大きくなってしまいます。ホンダはエンジンの幅と高さを勘案してバンク角90°を採用しました」と説明。SOHCヘッドの採用とともにエンジン高を抑えたユニットとして開発している。

C30A型エンジン

C30A型エンジン

初代NSXのC30A型エンジンはそのC20A/C25A型をモディファイ、DOHC+VTECのヘッドを載せ排気量を2977ccとして登場した。吸排気バルブの挟み角は30度ずつと、現代の視点からすると大きめ。ガスフローとバルブ径をバランスさせたためか、吸排気ともに伝家の宝刀VTECを介することも一因か。なお、吸排気バルブ径は35mm/30mmとしている。




VTECは高低スイッチの2ステージ型。5800rpmを境に、低リフト遅開き早閉じ/大リフト早開き遅閉じが切り替わる。そのままだとトルクカーブに大きな谷が生じることから、それを埋めるために可変長吸気マニフォールドを採用、4800rpmでシャッターバルブを開閉させる共鳴/慣性過給効果と併用することでリニアなトルクカーブを目指した。すなわち、4800rpmまでの低速カム+共鳴効果、4800〜5800rpmの低速カム、5800rpm以上の高速カムという具合である。

共鳴チャンバー容量切り替え式吸気システム。丸囲みで示すシャッターバルブを閉じることで共鳴効果を利用し、低回転域のトルク特性を良化させる。

シリンダーブロックは鋳鉄ライナーを鋳込むオープンデッキ構造。クランクシャフトはNC43VC材による高強度設計、コンロッドは大同特殊鋼と開発したTi-3Al-2V材によるチタン合金構造でスチール比30%減の重量とした。これらの往復/回転運動系によりレブリミットはMT車で8200rpm/AT車で7500rpmという、途方もない高回転特性を得ている。1992年に登場したNSX-Rでは重量管理と選択組み付けによる精度向上を取り入れ、さらに淀みないフィーリングを実現している。

NSX-Rのコンロッド

NSX-Rの運動系部品

1997年のマイナーチェンジではMT車にC32B型を組み合わせた仕様が登場。C30A型の鋳鉄ライナー構造に対してFRMライナーを採用した。FRMとは「アルミ合金中に、高強度のアルミナ繊維や自己潤滑性を持つカーボン繊維を混合させたもので、優れた強度と摺動性を発揮するだけでなく、アルミの高い熱伝導性を活かせるためシリンダーの冷却性も向上します」とホンダはアナウンスしている。




鋳鉄ライナーではピストンのアルミ合金との熱膨張率の違いから低温時にはクリアランスを多く設ける必要がある。そのため、始動時にはピストンスラップ音の発生が不可避であった。FRM(ファイバー・レインフォースト・メタル)によるライナーでこのクリアランスを詰めることに成功、これにより気筒間の寸法を縮小することができ、ボア系を3mm拡大した。


 


ボアの拡大に伴って吸気バルブ径を1mm拡大(36mm)、燃料流量を15%増やしている。排気系等ではエキゾーストマニフォールドを鋳鉄製からステンレス板金製にスイッチ、等長設計にするとともに重量軽減も実現し、結果トルクの増強を果たした。運動系部品ではクランクピン径の拡大(50から52mm)、ピストンピン径の拡大(22から22mm)も施されている。

C32B型

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