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扱いやすさピカイチ! 大型バイクの入門に最適!


安価なエントリーモデルとして人気の高いホンダ・NC750S。突出した部分はないけれど、それがこの車両のアピールポイント! デザインや機能性が上手にまとめられていて非常に乗りやすい一台となっている。ユーザビリティに優れたこの車両を先代(NC700S)と比較しながらレポートしていこう。




REPORT:川越 憲(KAWAGOE Ken)


PHOTO&EDIT:佐藤恭央(SATO Yasuo)

NC750S(グラファイトブラック)……775,500円

NC750S(キャンディークロモスフィアレッド)……759,000円

NC750S Dual Clutch Transmission……826,100円~

写真のグラファイトブラックは、外装とシートが黒と青のツートンカラーを採用。DCT仕様も同じ2色のカラー展開で、車体価格が7万円弱高くなっている。

 先代のNC700シリーズの登場には驚いたものだ。なぜなら、共通のフレームとエンジンでシリーズ全体のコストを下げつつバイクのベーシックな機能性を重視したニューミッドコンセプトの注目もあったが、そのベーシックモデルで最も安価なNC700Sが、なんと59万8000円で発表(2012年)されたからだ。この数字は車体価格が上がる一方の大型バイク市場に強烈なインパクトを残したのだ。ABS付きモデルは64万7850円と約5万円アップしたが、基本性能の高さを考えると驚愕の一台だったのである。


 その先代のNC700Sから排気量のアップに伴って価格も約10万円上乗せされたが、走行性能の向上の他に、ABSやETC2.0、グリップヒーターを標準装備しているのでバーゲンプライスは継続されている。




 さて、NC750Sの車体についてだが、NC700Sから見た目は大きく変わらないものの、排気量がアップしたことでエンジンのバランサーが1軸から2軸へと変更されるなど、さらなる振動の低減が実施されている。


 また、トランスミッションはハイレシオ化を図ることで燃費性能も向上。排気量がアップしているにもかかわらず、60km/h定地走行テスト値は41km/ℓから42km/ℓへと向上させているのは見逃せない!


 今回試乗したのはオプションのDCTが付いていないスタンダードバージョンだ。若干仕様は異なるが、自動車教習所の大型二輪教習で多く採用されているから実際に乗ったことがある人も多いのでは? 跨った印象は、気負いのないスタイリングと同様に、ポジション、足着き性、メーターのデザインなども含めて至極“普通”に感じられた。これがNC750Sの最大の特徴と言えるだろう。ハイエンドな大型バイクは、オーナーに優越感を与えてくれる特別なデザインだったり、優れたポテンシャルを持たせて他車と差別化を図ることに開発者は知恵を絞るものだが、NC750Sにはその尖ったものがないのだ。


 この無個性とも思えるパッケージが日常使いやツーリング時に大きなメリットになってくる。

 車名が700から750になったことで、乗り味はさほど変わらないだろうと思われがちだが、実際の排気量は669cc→745ccと76ccアップし、馬力では50→54psと4ps高められているので、パワーアップは誰もが体感できる範疇だ。以前NC700Sに乗った時には、アグレッシブに走らせるとエンジン回転数がすぐにレブリミットに達してしまったのだが、NC750Sにはそういったストレスは皆無! シリーズを通して見ても、排気量に対して決してパワーがあるわけではないが、実用域では必要十分! それ以上に、クラストップ級の燃費が自慢であり、普段使いからロンツーまで幅広く対応してくれる。


 また、エンジンと共にサスペンションも大きく進化している。フロントフォークにはSHOWA製のデュアルベンディングバルブ機構が採用されていたのだが、従来のオリフィスの穴による減衰に対し、複合バルブ構造とすることで凹凸の激しい悪路などでの乗り心地を改善させている。路面追従性が高まったことでブレーキング時の安心感も高められているそうだ。確かにこのフロントフォークの効果は大きかった。先代のNC700Sに見られた突き上げ感やブレーキング時のフワフワ感が解消されていてプアな印象は全くない。


 ただ、エンジンと足周りがグレードアップしたからといって、リッタースポーツのような迫力や、ツアラーモデルのようなラグジュアリーさはあまり感じられない。普通に走らせられて、走行性能になんら不満もないことが、NC750Sを最高峰のコミューター足らしめる要素になっているのだ。

スペックの高いスポーツマシンは速く走ることを急かされ、ノンビリとしたツーリングなどではストレスがたまる。ツアラーモデルはある程度の距離を走らなければ満足できないもの。その点、NC750Sなら、チョイ乗りからロングツーリングまで、移動の手段として気軽に使いたいライダーにとって最良の相棒となるだろう。燃費がすこぶる良くて、お財布に優しいことも、走らせたくなる理由となるはずだ。


 あと、このバイクを選ぶライダーは、あまりスポーティな走りをしないと思われるが、試乗では、見た目の印象よりスポーツ性は高いと実感した。足周りがグレードアップされたことも大きく影響しており、低重心で安定感が高いから積極的な攻めの姿勢にも応えてくれるのだ。


 以上をトータルして考えてみると、守備範囲がめっぽう広く、懐の深いバイクと言える。


大型バイクのエントリーモデルとしてはもちろん、ツアラーとしても活躍してくれることだろう。





足着き性は、大型スポーツバイクの中で最も良いと思われるレベル。身長182cmのテスターは両足べったりでヒザの曲がりに余裕がある。ハンドル幅が短めで、ポジションは全体的にコンパクトにまとめられている。車体が低重心なので取り回しも安心感が高い。

バーハンドルは幅が短めで取り回しがしやすい。小ぶりなバイザーと一体式メーターの組み合わせはシンプルで、コクピットは必要最小限にまとめられている。

液晶デジタルメーターを採用。上部にバーグラフ式の回転計を配しているのがスポーティだ! こちらは液晶の色を変更することも可。右側には時計と燃料残量計、左側のオドメーターと必要な機能は押さえ済み。インジケーターが下部に集約されているのもポイント。

スイッチ類はセルとキルスイッチ以外、左スイッチボックスにまとめられている。標準装備されるグリップヒーターは、ノーマルのグリップとほぼ同じ太さの「スポーツグリップヒーター」。スイッチもコンパクト設計だ。ホーンスイッチがウインカースイッチより上にくるホンダ独自のレイアウト。

一般的なバイクの燃料タンクが収まる箇所は、じつはフロントトランクになっている! これはNCシリーズの特徴のひとつで、ネイキッドモデルとしてはかなりの積載量を誇る。エアロパーツが付いた大き目のフルフェイスヘルメットは収まらない場合もあるが、オープンフェイスタイプなら楽々収納可能。キー付きのトランクとして使えるのは重宝する。

ツートンのシートは、ライダー側は柔らかくクッション性に富む。リヤシートは硬めで後方に絞られた形状だが、座面は大型リヤバッグの積載にも十分なスペースを確保。

車体左サイドカバー部にあるキーシリンダーで、フロントトランクとリヤシートをオープンする。給油口はリヤシート下に配置されている。

大径シングルディスクはブレーキのタッチにダイレクト感があり、コントロールしやすい。ABSを標準装備する。

フロントと同じくリヤにもペタルディスクを採用。ABSを標準装備する。スイングアームはオーソドックスなスチール製の角パイプデザインを採用。

フロントフォークにはSHOWA製のデュアルベンディングバルブ「SDBV」をチョイス。見た目は普通の正立フォークだが、内部に新構造のバルブユニットを採用している。従来のフリーバルブ構造に対し、複合バルブとすることでより安定した減衰特性を獲得。



LEDを採用した精悍なフロントマスク。メーターバイザーは小さいが、高速道路での整風効果に優れる。テールランプもLED仕様で、テールエンドが絞られた最新スポーツモデルの流行に沿ったデザインだが、どことなくオーソドックスな雰囲気も残されている。

■主要諸元■

※【 】内はNC750Sデュアル・クラッチ・トランスミッション




車名・型式:ホンダ・2BL-RC88


全長(mm):2,215


全幅(mm):775


全高(mm):1,130


軸距(mm):1,520


最低地上高(mm):140


シート高(mm):790


車両重量(kg):218【228】


乗車定員(人):2


燃料消費率*1(km/L):


 国土交通省届出値定地燃費値 (km/h)…42.5(60)〈2名乗車時〉


 WMTCモード値(クラス)…28.3(クラス 3-2)〈1名乗車時〉


最小回転半径(m):3.0


エンジン型式:RC88E


エンジン種類:水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒


総排気量(㎤):745


内径×行程(mm): 77.0×80.0


圧縮比: 10.7


最高出力(kW[PS]/rpm):40[54]/6,250


最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):68[6.9]/4,750


燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉


始動方式:セルフ式


点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火


潤滑方式:圧送飛沫併用式


燃料タンク容量(L):14


クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式


変速機形式 常時噛合式6段リター【電子式6段変速(DCT)】


変速比:


 1速…2.812【2.666】


 2速…1.894【1.904】


 3速…1.454【1.454】


 4速…1.200【1.200】


 5速…1.033【1.033】


 6速…0.837【0.864】


減速比(1次/2次):1.731/2.529【1.921/2.294】


キャスター角(度):27 ゜00′


トレール量(mm):110


タイヤ:


 前…120/70ZR17M/C(58W)


 後…160/60ZR17M/C(69W)


ブレーキ形式:


 前…油圧式ディスク


 後…油圧式ディスク


懸架方式:


 前…テレスコピック式


 後…スイングアーム式(プロリンク)


フレーム形式:ダイヤモンド




■製造事業者/本田技研工業株式会社

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