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もはやクルマ並。BMW、1802ccの水平対向エンジン搭載の新型クルーザー「R18」を発表


BMWは、新型クルーザーモデル「R18」の日本発売を発表した。発売日と価格は未定。同車はエンジンやフレームなど、既存車両からの流用はない完全新設計のモデルで、2019年5月に発表されたコンセプトモデルの市販版だ。

BMWモトラッド黎明期の意匠に回帰

R18とR5

 R18は、新設計のエンジンと新設計のフレームを用いた完全新設計のクルーザーモデルだ。2019年5月に開催されたクラシックカーのイベント「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」(イタリア)において、BMWは、R18のコンセプトモデルを展示したが、それがこの度正式に発売される。




 R18は昨今の二輪のトレンドであるネオ・クラシックに分類されるクルーザーだが、アメリカンのそれとは違い、BMWが二輪の生産を開始した1923年から初期のモデルの意匠を色濃く反映し、いわば“先祖がえり”しているのが大きな特徴だ。







工芸品のような新設計“発動機”

歴代最高排気量の1800cc水平対向2気筒エンジン

 R18に採用されるエンジンは1802ccの空冷水平対向2気筒OHVエンジン。性能値は、最高出力57kW(91ps)/4750rpm、最大トルク158Nm/3000rpmとなっている。




 BMWはこれまで、代表的なモデルに水平対向エンジンを載せてきており、空冷から水冷、OHVからOHC、そしてDOHCと進化を遂げ、近年のBMWの水平対向エンジンは、並のバイクをやっつけるほどの性能を持ち合わせているが、R18では新型で歴代最高の1800ccの排気量を持ちながらも、数値としては非常に落ち着いたものになった。




 しかし、このエンジンのキモは、パワーや速度ではないのは一目瞭然だろう。まずは見た目が非常に美しい。性能を求めるばかりに補機類でゴテゴテなエンジンが多い中、まるでマッキントッシュのコンピューターのように無垢でつるんとしている。往年のBMWモトラッドがまさにこのようなエンジンであり、工芸品のような美しいBMWの“M”の部分(モトーレン=発動機)が現代に蘇った。これこそがBMWモトラッドを象徴する他メーカー不可侵のアイデンティティだ。




 さらにこのエンジンが追求しているのは“味”である。大排気量がもたらす大きなトルクや、大型のフライホイールがもたらす巡航性、そして往年のBMWの水平対向エンジンが持っていた航空機エンジンを回しているかのような気持ちの良い音と魂動感が、R18に乗る時間を豊かで満ち足りた時間に変えてくれるだろう。




 ちなみにこのエンジンには、シフトダウン時の急激なバックトルクを軽減するスリッパークラッチ「アンチ・ホッピング機能付き自己強化型アンチ・ホッピング・クラッチ」と、エンジンを加速しない程度に意図的に吹かしてリヤタイヤのホッピングを抑える「エンジン・ドラッグ・トルク・コントロール(MSR)」と2段階のバックトルクリミッターが採用されており、特に雨に濡れた路面での乗りやすさが追求されている。




 さらに電子制御機能として「オートマチック・スタビリティ・コントロール(ASC、解除可能)」、3つのエンジンパワーモード(落ち着いた方向性から順に「レイン」「ロール」「ロック」の3つ)が標準装備となっている。このエンジンは、原点回帰ながらBMWの最先端の技術はしっかりと詰め込まれている。




 ちなみに組み合わされるトランスミッションは6速MT、オプションでバックギアの設定が可能だ。





トライアングルが美しい車体設計

リジッド風に設計された鋼管フレーム

 エンジンが原点回帰ならシャシーとスタイリングも原点回帰だ。R18のシャシーは、オーソドクスなダブルループ鋼管フレームとなっている。このフレームはリジッドにも見えるのだが、リアはきちんとスイングアームとサスペンションが組み込まれている。フロントフォークの上端を頂点に、涙滴型のタンクからリアアクスルまでの伸びやかなトライアングルが無駄がなく美しい。




 また、トランスミッションから後輪への駆動部分に注目して欲しい。メンテナンス性に優れるシャフトドライブを採用しており、その上で、祖先に習いシャフトをあえて露出させ、しかもクローム仕上げで、駆動を視覚的に楽しませてくれる。




 無駄を省いたデザインはメーターにも現れている。メーターは円形の小型なもの。しかしギアポジションやエンジンモードといった必要な情報はディスプレイにきちんと表示され、運転に困ることはないだろう。




 ちなみにR18のシート高は690mmと低い仕様。車体は345kg(乾燥重量)と超ヘビー級だが、足つきが良いため、怖さは軽減されているはずだ。





カスタマイズ前提の“キャンバス”

有名なサードパーティと様々なカスタマイズパーツを共同開発

 R18はカスタマイズも充実する。まずメーカーカスタマイズモデル的な立ち位置で、各メッキパーツをあしらった「ファーストエディション」を用意。さらに「ローランド・サンズ・デザイン」と共同制作のアルミ削り出し部品や「バンス&ハインズ」と共同制作のマフラー等も発売されるようだ。自分の好みを大いに反映できるに違いない。









 BMWモトラッド、並びに水平対向2気筒のイメージは、アドベンチャーモデルの代名詞たるR1250GSが牽引してきたように思う。しかし、原点回帰のR18の登場により、そのイメージは大きく変わるだろう。BMWモトラッドの原点にして新たなイメージリーダーが、ここに誕生した。

■R18の主な特徴

・最新のテクノロジーと本格的マテリアルをブレンドしたアイコニックなスタイル


・BMW 史上最大の排気量 1802cc を誇るボクサー・エンジン


・最高出力67kW(91ps)/4750rpm、最大トルク158Nm/3000rpm


・2000〜4000rpm の常用域で150Nm 以上のトルクを発生


・クラシック・モデルを手本とした露出型ドライブ・シャフト


・精巧に作成されたダブルループ鋼管フレーム


・密閉型アクスル・ドライブを備えたリジッド・フレーム・デザインのリヤ・スイングアーム


・スリーブ付きテレスコピック・フォーク、およびストローク依存型ダ


ンパー付きカンチレバー・サスペンション・ストラット


・リラックスしたライディングと最適な操作性を実現する人間工学に基づいたデザイン


・前・後ディスク・ブレーキ、ワイヤースポーク・ホイール


・ライト類はLED


・コーナリング時に進行方向に対して照射するアダプティブ・ターニング・ライト(オプション)


・ディスプレイを組み込んだ小型の円形メーター


・キーレスエントリー


・3 つのライディングモード、ASC、MSR を標準装備


・取り回しに便利なリバース・アシストおよび坂道発進を容易にするヒル・スタート・コントロール(オプション)


・専用塗装とクローム・パーツによる特別パッケージ「R18 First Edition」を用意


・豊富なオプション装備、純正アクセサリー、スタイリッシュなライド&スタイル・コレクションを用意
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