2017年7月に発表されたシビックTYPE Rが登場3年目となる今夏、マイナーチェンジを受けて発売される。日本のみならず欧州、北米で走行性能に高い評価を受ける現行モデルだが、開発責任者である本田技術研究所、柿沼氏の「TYPE Rに課せられたものは究極であり続けること。性能アップデートの道のりに終わりはありません」という言葉どおり、通常のマイナーチェンジの枠を超えた改良が実施された。
今回の改良でまず目標としたのはサーキット連続走行時のパフォーマンス向上である。エンジンの熱ダレを抑えるべくフロントグリル開口面積を拡大し、これにともない悪化する空力特性はフロントエアスポイラーの形状と構造をチューニングしダウンフォースを確保した。フロントブレーキは現行の1ピースディスクからハウジングを分離した2ピースディスクとし、急制動時の熱によるディスク倒れを抑制。鈴鹿サーキットのテストでの連続走行時のブレーキ踏力変化は、ヘアピンで33%、シケインで53%低減している。
サスペンションは、ZF製の電子制御連続可変ダンパーのセンサーサンプリング周波数を従来の2kHzから20kHzへと10倍に高めた。前後サスペンションのロワボールジョイントやブッシュ見直しとの相乗効果で、特に荒れた路面での接地性や制振性が向上しており、TYPE Rが目標としてきた「クルマとの一体感/ダイレクト感」がいっそう増しているのも新型のポイントだ。
インテリアではステアリングホイール表皮を全面アルカンターラに刷新。そしてシフトノブ形状は長らく使われてきた球状からティアドロップ型へ回帰し、ノブ傾きを瞬時に認識しやすくしている、これは高い旋回Gがかかっているときの操作ミスを防ぐことが目的だ。
これら改良が施された新型シビックTYPE Rは今夏発売に向けティザーサイトが公開中だが、さらに国内向けは200台限定となる軽量化仕様Limited Editionが今秋、販売されることも同時に発表された。
〈ANATOMY 01〉エンジン冷却性能向上を目的とした変更
〈ANATOMY 02〉最小限のモディファイで大きな効果を実現
〈ANATOMY 03〉操舵追従性を高めるためのサスペンションの改良
〈ANATOMY 04〉厳しい条件下での正確な操作性を追求したノブ形状
〈ANATOMY 05〉握り心地に配慮し内部構造も同時に変更
■Specifications(マイナーチェンジ前モデルの参考値)
全長×全幅×全高:4560mm×1875mm×1435mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1390kg
エンジン:K20C
排気量:1995cc
ボア×ストローク:86.0×85.9mm
圧縮比:9.8
最高出力:235kW/6500rpm
最大トルク:400Nm/2500-4500rpm
トランスミッション:6速MT
サスペンション:Fストラット/Rマルチリンク
タイヤ:F245/30ZR20 R245/30ZR20
JC08モード燃費:12.8km/ℓ