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〈新たなライバル関係のGRヤリスとシビック タイプR〉エンジンの性格は意外にも相似形だが、それを御する術が大きく異なる


トヨタの豊田章男社長自らが開発の命を下した、次期WRカーのベースとなるホモロゲーションモデル「GRヤリス」。ホンダ創業以来のレーシングスピリットを象徴するとともに、サーキットでの速さを徹底的に追求した「タイプR」の最新モデル「シビックタイプR」。日本を代表するスーパーホットハッチ2台の、スペックやメカニズムを比較してみよう。




REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)


PHOTO●トヨタ自動車/本田技研工業





 GRヤリスはBセグメントに属しており主戦場はWRC、シビックRはCセグメントに属しており主戦場はニュルブルクリンクや国際規格のサーキット。そうした生まれの違いはボディサイズにも明確に現れている。




 公道を舞台にするWRCで長いボディはタイトコーナーでの旋回性能に不利に働く傾向にあるため、GRヤリスは全長4m以下のコンパクトな3ドアハッチバックとされている。その一方でホイールベースは2558mmと長く、前後オーバーハングは最小限。このあたりは、超高速域での空力や操縦安定性よりも、ヨー慣性モーメントと大ジャンプ時のクラッシュリスクの低減を図ったものと推察される。




 対するシビックRは、超高速域での旋回性能を重視して、全長は4.5mを超え全幅も1.9mに迫る勢い。だがホイールベースは2700mmと極端に長くはなく、また前後オーバーハングも短すぎず、ダウンフォース獲得と直進安定性の確保を狙っているのがうかがえる。





 GRヤリス用G16E-GTSは既存のエンジンをベースとしておらず、GRヤリスのために新規開発されたことは既報の通り。

 カタログなどに掲載されている性能曲線図を見ると、G16E-GTSのトルクピーク370Nmは3000-4500rpm付近。ピークパワーの272psは6500rpm付近にあり、タイトなヘアピンコーナーを素早く立ち上がれるような特性を与えていることがうかがえる。




 シビックRのK20Cは最大トルク400Nmを2500-4500rpmで発揮。最高出力320psを叩き出すのは6500rpmと、そのトルク・出力特性はG16E-GTSに近い。




 シビックRのK20Cは現代の直噴ターボエンジンとしては非常にターボラグが大きく、駆動方式もFFのため、低いギヤでタイトコーナーを立ち上がる際、ブーストがかかった瞬間にホイールスピンを起こしやすい傾向にある。




 シビックRは2020年モデルのマイナーチェンジで、K20Cのこうした獰猛な性格を、エンジンそのものを矯正するのではなく、シャシーのロードホールディング性能を高めることで、いさめて手の内に収めようとしている。

 それに対してGRヤリスは、GRヤリス専用のJTEKT製ITCC(Intelligent Torque Controlled Coupling)を用いた電子制御4WDシステム「GR-FOUR」で、G16E-GTSの272ps&370Nmを走る・曲がる・止まるのすべてにおいて、余す所なく使い切ろうとしているのだ。

 似て非なるこのスーパーホットハッチ2台が、果たして実際にどのような走りを見せてくれるのか、今夏の正式デビューを楽しみに待ちたい。

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