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トヨタ・ヤリスのメカニズムをピンポイント解説!| コンパクトカー・レビュー


初代の爆発的なヒット以来、ヴィッツ/ヤリスは性別や年代はおろか国境さえも超えて、さまざまな用途に応える、オールマイティなコンパクトカーとして愛され続けている。今回のモデルチェンジでは、WRCのラリーカーのベースモデルとしての要求までをも満たすことが求められる存在となった。そうした背景の中で、トヨタの持つ最新の知見と技術が投入され全面刷新された新型ヤリスのメカニズムを紹介する。




REPORT●安藤 眞(ANDO Makoto)/編集部

新型にも色濃く残る初代のコンセプト

初代ヴィッツは、トヨタの新たなコンパクトカーとして、「21世紀の世界のモビリティ」を念頭におき、1999年の1月に発売された。当初月販目標は9000台。しかし6ヵ月後には目標を軽々と超え、国内の登録累計10万台を突破する空前の大ヒットとなった。

コンパクトサイズをキープしながらエモーショナルなデザイン

全長:3940mm ホイールベース:2550mm

全幅:1695mm
全高:1500mm


前傾したキャビンとボディサイドの抑揚ある造形で、躍動感や軽快感が表現されたヤリスのボディ。その内には世界ラリー選手権での使用も想定されたTNGA思想による骨格が配され、実用車の域を超える、上質な走りが追求されている。また、競合車にサイズの拡大傾向が見られる中、コンパクトなサイズにこだわったのも新型ヤリスの特徴だ。

慣性諸元追求の数々の施策

ラジエターやバンパーの組み立て工程を変えることで、フロントオーバーハングの最小化を実施。フロントバンパーリインフォースは1800MPa級とすることで軽量化を図り、ヨー慣性モーメントを削減している。

コンパクトでも高い居住性

ドライビングポジションは、WRCドライバーの意見も取り入れて最適化を実施。ステアリング基準でシートスライドを合わせても、足元が窮屈にならない。後席居住性もBセグメント車としては快適なレベルを確保する。

エンジンの重心位置にこだわり運動性能の向上に貢献

左右の輪重を均等化するため、エンジン重心と車体中心軸が極力近くなるよう、従来よりエンジンを右に寄せて搭載。GA-Bプラットフォームは先進国向け専用とし、3気筒専用に特化したことで実現したレイアウトだ。

ボディ各部の強化策で実現された高剛性ボディ

ボディサイドの環状骨格を左右方向にもつなぎ、スペースフレームのような構造を形成。従来型では生産性の観点から途切れていた骨格を連続させることで、欧州車を凌駕する高剛性ボディをつくり上げている。

インパネ内部の部品レイアウト調整を経て実現した構造

ストラットタワーからカウルを挟み、インパネリインフォースにかけて「日」の字型の閉断面構造を形成。フロントサスタワーの倒れ剛性や、フロントボディの横曲げ剛性を向上させ、意のままの操舵応答を実現する策のひとつ。

トンネル断面を結合させることでより強固なフロアに

旧型はトンネル断面とセンタークロスメンバーがつながっておらず、境目が剛性の弱点となっていた。新型はセンタークロスの中央を絞り形状として「お迎え」を出し、トンネルとの結合を完結させている。

高強度材の最適配置で軽く強く

使用鋼板の高ハイテン化も大きく進展。最大1800MPa級のホットスタンプ鋼板まで使用する。590MPa級ハイテンの使用率は従来型の3倍を超える38%に達しており、ボディシェル重量は約10㎏軽くなっている。

構造用接着剤の導入により適所を効果的に強化

構造用接着剤も新たに導入。フロアパネルとフロアクロスメンバーの結合点、フロントシート取り付けブラケットの結合点、リヤフェンダーの周囲、ロワバックパネルまわりなどに使用されている。

新構造のエアバックを採用

側面衝突に対しては、サイドエアバッグの性能向上も行なっている。従来型は胸部のみカバーするものだったが、新型は腰までカバーする大型の3バッグ構造に変更。人体各部の耐性に配慮の上、3つのバッグの内圧をそれぞれ最適化している。また展開開始を速めるために、センシングシステムも刷新。Bピラーに内蔵されたGセンサーに加え、ドア内圧の増加を検知して衝突を判断する圧力センサーも追加している。

【1KR 1.0ℓエンジン+改良Super CVT-i】既存エンジンをブラッシュアップして搭載

1.0ℓエンジンはダイハツ製。基本は従来型と同じだが、エアクリーナー位置の最適化によって高負荷時の吸気流量を確保。騒音規制に対応するため、動弁系チェーンケースやオイルパンの補強を行なうなど小改良を実施している。

エンジン型式:1KR-FE


排気量(㏄):996


種類・気筒数:直列3気筒


弁機構:DOHC12バルブ


ボア×ストローク(㎜):71.0×83.9


最高出力(kW[㎰]/rpm):51[69]/6000


最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):92[9.4]/4400


使用燃料:レギュラー
1.0ℓ用のCVTはシーブシャフトの小径化によってベルトの最小巻き掛け半径を縮小し、レシオカバレッジを低速側に12%、高速側に4%拡大。加速性能の向上と、巡航燃費性能の向上を両立させている。

従来型は全開時にパワー空燃比を多用していたが、新型は3200rpm付近まで理論空燃比領域を拡大。高負荷走行時の燃費と排ガス性能を向上させながら、最高出力/最大トルクは従来型と同数値が維持されている。

【TNGA1.5ℓエンジン+HYBRID】高い熱効率を誇る新エンジン

ハイブリッド用エンジンは、1NZ-FXE型から新開発のM15A-FXE 型に換装。高速燃焼や3気筒化によって、熱効率は2%向上して40%となっている。リッターあたり出力も45kW/ℓと、約25%高出力化。

エンジン型式:M15A-FXE


排気量(㏄):1490


種類・気筒数:直列3気筒


弁機構:DOHC12バルブ


ボア×ストローク(㎜):80.5×97.6


最高出力(kW[㎰]/rpm):67[91]/5500


最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):120[12.2]/33800- 4800


使用燃料:レギュラー


モーター最高出力(kW[㎰]/rpm):59[80]


モーター最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):141[14.4]


リヤモーター最高出力(kW[㎰]/rpm):3.9[5.3]


リヤモーター最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):52[5.3]
トランスアクスルには独立した潤滑系を設けて高効率化を実施。従来の「はねかけ方式」から小型オイルポンプに換えることで、オイルの撹拌抵抗低減を図った。ギヤの手前に見える黒い樹脂部品からオイルが供給される。

トランスアクスル

PCU

駆動用バッテリー

HVシステムは上級ユニットで先行している小型高効率化技術を漏れなく投入。パワーコントロールユニットのIGBTには逆導通型を採用する。駆動用バッテリーには、エネルギー密度の高いリチウムイオン式を採用する。

駆動系として新しいのが、1.5ℓHV初の4WDが設定されたこと。リヤモーターにはプリウスと同じリラクタンス方式を採用する。永久磁石を使わずに、コイルのスイッチングでモーターを回転させるため、通電していない状態での引きずり損失が小さく、燃費と性能を両立させやすいシステムだ。

【TNGA1.5ℓエンジン+Direct Shift-CVT】CVTとの組み合わせに最適化

M20A型から1気筒を切り取り、3気筒化したM15A型エンジン。ボア×ストロークを共通化することで、筒内流動がほぼ同じにできる。圧縮比は14と、HV用と同等に設定しながら、リッターあたり出力59kWを発生する。

エンジン型式:M15A-FKS


排気量(㏄):1490


種類・気筒数:直列3気筒


弁機構:DOHC12バルブ


ボア×ストローク(㎜):80.5×97.6


最高出力(kW[㎰]/rpm):88[120]/6600


最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):145[14.8]/4800-5200


使用燃料:レギュラー

トランスミッションは「ダイレクトシフトCVT」が1.5ℓ用に新設計された。ベルト伝達系と平行して設けたギヤ伝達系に1速相当を任せることで、低速域の伝達効率向上とレシオカバレッジの拡大を両立している。

従来型1.3ℓ比で排気量は15%アップながら、トルクは全域で約30%向上。特に実用域である2000rpm以下でのトルク向上が目覚ましい。ロングストローク化と3気筒化によるタンブル強化の効果が顕著に表れている。



M20A型とボア径も圧縮比も共通に使いながら、ピストンは早くも改良を実施。ピストンピンを支えるサイドウォールの剛性チューンをすることで、スカート接触面の面圧を均一化し、低フリクション化を行なっている。

エンジン単体で使うM15A-FKS型は、クランクケース内にギヤ駆動式バランサーシャフトを内蔵する。3気筒特有のピッチング振動をキャンセルできる一方、駆動損失が上乗せされてしまう。3気筒化の泣きどころとも言える装置だ。

サスペンションの摩擦抵抗を低減

フロントサスはストラットの摺動方向と入力方向を近付けることで、曲げモーメントに起因するフリクションを低減。アッパーマウントも内側に移動しており、キングピン角を増やして微少舵角時の手応えも向上させている。

剛性が高くキャンバー変化を的確に制御できるリヤサス

4WD車のリヤサスは、「2リンク・ダブルウイッシュボーン式」という独自の名前が付いているが、リンク構成そのものは、BMWの「セントラルアームアクスル」と同じで(現在は“ミニ”が採用している)、トレーリングリンクを上下2本のラジアスロッドで支持する構造。ラジアスロッドでキャンバー変化がコントロールでき、横力も支持できるため、横剛性が高いのがメリットだ。

小さなスペースで4WD化を実現

4WD車のリヤサスは、サスペンションメンバー、アーム、スタビライザーを最適配置。サブフレームを2WD車トーションビーム位置に納めたコンパクトな設計だ。制約のある空間にE-Four のシステムを組み込み4WD化を実現。

超微低速領域の減衰力を的確に制御して上質な乗り心地を実現

フロントダンパーには、カローラ系と同じKYBの「プロスムース」を採用する。ロッドガイドブッシュやピストンバンドをテフロン系の低フリクションタイプとする一方、作動油には圧力を受けるとフリクションが増す独自のものを採用。旋回時に生じる横力でフリクションを立ち上げ、ダンパー本体では出すことのできない超微低速領域の減衰力を発生させる。

支持剛性を高め応答性を向上

ステアリング系はコラムもラックギヤも支持剛性を向上。ラックギヤはフラットなサブフレームにダイレクトマウントされている。こうして操舵応答性を高められるのも、ボディ剛性強化による盤石なスタビリティがあってこそ。

安定性と応答性を両立

2WDのリヤサスは、ブッシュの傾斜配置をやめて前後コンプライアンス量を拡大する一方、トーションビームの中央を持ち上げることで、ロールステアによるトーインを増大。乗り心地と操縦安定性の同時向上を実現。

交差点事故を回避するトヨタ初の機能

先進安全装備のトヨタセーフティセンスも最新のシステムを投入。プリクラッシュセーフティは、右左折時に前方からの直進車や横断歩行者の検知が可能となり、トヨタ初となる交差点での衝突回避や被害軽減に対応となった。

車庫入れが苦手でも大丈夫!



高度駐車システムである「Advanced Park」もトヨタ初の機能。ステアリング操作だけでなく、アクセルとブレーキの制御も車両が行なうので、ドライバーは前進と後退の切り替えをするだけで駐車をしてくれる。

事故はもちろんヒヤリ・ハットも防いでくれるコンパクト車初機能



駐車枠から後退で出庫する際に、接近する車両を感知して警告をしてくれる「リヤクロストラフィック」と、車線変更時に死角から接近する車両の存在を教えてくれる「ブラインドスポットモニター」もコンパクト車初採用の機能。

車線の維持と車線逸脱制御を支援する

「レーダークルーズコントロール」の付随機能である「レーントレーシングアシスト」もトヨタコンパクト初採用。クルージング中に車線を維持して走る支援を行なう。レーダークルーズが作動していない場合も車線逸脱を抑制してくれる。

コンパクト初採用の追従式クルコン

レーダーで先行車を捉え、一定の車間距離で追従する「レーダークルーズコントロール」もトヨタのコンパクトカーとして初採用された。ただし全車速対応ではなく、30㎞/h以上での作動となっている。

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