2019年6月に7年ぶりのフルモデルチェンジを受けた新型GLEは、7人乗りの3列シートSUVに生まれ変わった。パワートレーンは、3タイプ揃っていて、9Gトロニックと呼ばれる9速ATが組み合わされている。その走りはもちろん、3列目までの居住性など使い勝手もチェックした。



REPORT●塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)

PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)

オフロードよりも高級ホテルのエントランスが似合う

 新型メルセデス・ベンツGLEの祖先は、1997年にプレミアムSUVとして登場し、多くのフォロワーを生んだ初代Mクラスにまで遡る。2005年には二代目へと進化。そして15年に登場した初代GLEは、マイナーチェンジを機に二代目Mクラスから改名したもので、今回のフルモデルチェンジで、見た目も中身も大幅に生まれ変わったことになる。



 初代Mクラスは、映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』で大活躍し、その後、GLEクーペなどメルセデス・ベンツのSUVが『ジュラシック・ワールド/炎の王国』に登場した。



 しかし、新型GLEの佇まいに恐竜と奮闘するような泥臭さはまったくなく、メルセデス・ベンツ最新のデザイン言語である「Sensual Purity(官能的純粋)」に基づき、エッジやラインを減らしたシンプルでありながらも、ボディの面が強調された力強い造形になっている。オフロードよりも高級ホテルのエントランスが似合う、そんな高級SUVというオーラをまとっている。



 しかも全長4940×全幅2020×全高1780mmという巨体で、ホイールベースは2995mmと3mに迫る。先代は全長4825×全幅1935×全高1795mm、ホイールベースは2915mmだった。新型は、全長が115mm延び、全幅は85mmワイドに、全高は逆に15mm低くなっている。ホイールベースも80mm長くなった。さらに上にGLSが鎮座しているとはいえ、ボリューム感と圧倒的な存在感は、どこから眺めても十分だ。

 用意されるパワートレーン(タイプ)は、「GLE 300 d 4MATIC」に積まれる2.0L直列4気筒クリーンディーゼル(245PS/500Nm)、「GLE 400 d 4MATIC スポーツ」向けの330ps/700Nmを誇る3.0L直列6気筒クリーンディーゼル(上写真)、コンパクトな3.0L直列6気筒エンジンとISG(Integrated Starter Generator)、48Vシステムを搭載する「GLE 450 4MATIC スポーツ」で、1速から9速までのレシオ・カバレッジが広い9速ATが組み合わされている。



 駆動方式は全車、新開発の4MATIC(4WD)で、「GLE 300 d 4MATIC」の前後トルク配分は「50:50」、「GLE 400 d 4MATIC スポーツ」と「GLE 450 4MATIC スポーツ」は、「0:100-100:0」の連続可変トルク配分が可能になっている。

 今回試乗したのは、「GLE 400 d 4MATIC スポーツ」と「GLE 450 4MATIC スポーツ」の2台。前者は1109万円という本体価格で、パノラミックスライディングサンルーフ(18万3000円)とメタリックペイント(9万3000円)、保証プラス(16万5000円)、メンテナンス プラス(19万8000円)まで含めると1172万9000円になる。後者は車両本体価格が1153万円で、パノラミックスライディングサンルーフ(18万3000円)とスペシャルメタリックペイント(19万4000円)、保証プラス(16万5000円)、メンテナンス プラス(15万4000円)まで含めると、1222万6000円まで跳ね上がる。



 新型GLEのプラットフォームは、「MHA(Modular High Architecture)」と呼ばれる新開発のもので、先述したようにMクラスの事実上マイナーチェンジ版であった先代から見た目も中身も大幅に変わっている。





 まず、「GLE 400 d 4MATIC スポーツ」から走り出す。2420kgという車両重量を感じさせる重厚感のある乗り味が印象的で、その巨体と重さにふさわしい、ややゆったりしたハンドリングに終始している。試乗ステージは大小多様なコーナー、様々な勾配があり、さらに水や泥がたまっている場所もあるなど、オンロードではあるものの、クルマをスムーズに走らせるにはなかなか厳しい条件だったが、その巨体をものともせずに正確なラインを描くことが可能だ。



 試乗車のタイヤは、ミシュラン「LATITUDE SPORT 3」で、275/50R20というサイズ。大きめで底の厚いブーツを履いているような、重い乗り心地。それでも標準装備のエアサスペンションの効果もあってか、不快な振動に襲われることはほとんどない。また、大型SUVらしい高い着座位置もあって、遠くで振動を減衰しているような感覚がある。また、ノイズの遮断も見事で、ディーゼルエンジンらしい音や振動は確かに感じられるものの、高級SUVとして十分に許容できる範囲だ。

ウルトラスムーズな乗り味

 パワーは低回転から密度の濃い加速を引き出すことができ、しかも9速ATのウルトラスムーズな変速フィールもあり、右足を少し踏んで戻すだけで速度のコントロールが可能なジェントルな味付けになっている。「スポーツ」モードにするとより容易に速さを引き出せるものの、操舵感はその巨体にふさわしいもの。速さとは裏腹に、どこかに飛んでいってしまうのではないか、という不安はなく、地に足が付いた安定性が光る。電子多板クラッチにより可能な連続可変トルク配分が効いているはずだが、公道を走らせている分には察知するのは、難しいのではないだろうか。それほど自然なコーナーワーク、加減速になっている。



 一方の「GLE 450 4MATIC スポーツ」。Sクラスにも積まれている直列3.0Lエンジン+ISGの組み合わせは、ディーゼルよりもスムーズかつ軽やかな加速フィールが印象的だ。低速では250Nmに達するモーターアシストと、500Nmのエンジントルクにより巨体を感じさせずに速度を乗せていき、高速域で追い越しをかけるようなシーンでは、軽い吹け上がりで欲しい速度域に即達する。試乗車のタイヤは、ピレリの「P ZERO」で、サイズは215/50R20。乗り味は、30kg重い「GLE 400 d 4MATIC」と大差なく、こちらも大きなブーツを履いたようなジェントルで重厚感が漂う。





ラゲッジスペースのフロア下にはトノカバーが収納されている。
リヤシートはラゲッジスペース側から電動で倒すことができる。


 最後に、乗降性とユーティリティをチェックしておこう。



 1列目はAピラーが立ち気味なので頭上には余裕があるが、よじ登るように高いフロアは小さな子どもやお年寄りでは少々荷が重いかもしれない。エアサスペンション装着車は、車高を下げることで乗降や荷物の出し入れが多少容易になるが、ランドローバーやランドクルーザーなどと同じように、ヨイショという感じで乗り降りする。



 この1列目は、座面、背もたれともにシートサイズが大きく、高級SUVにふさわしい快適性を備えている。2列目は、前後100mmの電動スライドが可能。しかも先代よりも69mmも膝回りが広くなったことで、3列目乗車時でも空間を都合し合うことが容易にできるのは美点だろう。



 3列目の乗降は、2列目の電動前後スライドを使ってスペースを確保してから行う。床面が1列目よりも高くなっているのと、全高が先代よりも低くなったことで、頭上と足元には気を使う。座ってみると身長171cmの筆者でも短時間なら座れるシートサイズ、頭上、足元空間が残っているものの、短時間、非常用の域を出ない。ただし、子どもや小柄な人なら長距離でも実用になりそう。



 3列目を起こした状態だと荷室容量は160Lとミニマムだが、2列目と3列目を両方倒すと2055Lまで拡大する。3列目を格納すれば日常使いには不足はない。なお、エアサスペンション装着車は約40mm車高を下げることが可能で、大きな荷物や重い物でもより楽に出し入れできそう。また、開口幅もかなりワイドなので、ゴルフバッグやスーツケースなどの積載も容易にできそうだ。

メルセデス・ベンツGLE400d 4MATIC Sports

全長×全幅×全高:4940×2020×1780mm

ホイールベース:2995mm

車両重量:2420kg

エンジン形式:直列6気筒DOHCディーゼルターボ

排気量:2924cc

ボア×ストローク:82.0×92.3mm

圧縮比:15.5

最高出力:243kw〈330ps〉/3600-4000rpm

最大トルク:700Nm/1200-3000rpm

燃料タンク容量:85L

トランスミッション:9速AT

駆動方式:F・AWD

乗車定員:7名

タイヤサイズ:275/50R20

WLTCモード燃費:11.1km/L

車両価格:1109万円

情報提供元:MotorFan
記事名:「 〈試乗記:メルセデス・ベンツGLE〉3列シート7名乗車のプレミアムSUVは、まるで高級サルーンの如し