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レクサスUXで東京から四国まで……往復1600kmを一気に走ってみた|SUVレビュー


普段と違った景色や雰囲気を楽しめるのが旅の魅力だが、公共交通機関では時間や場所などすべてが予想調和で味けない。しかし、クルマなら時間や目的地もドライバーの思うまま。とりあえず荷物をカバンに詰め込み、レクサスUXとともにあてのない旅に出掛けてみた。




REPORT●石井昌道(ISHII Masamichi)


PHOTO●平野陽(HIRANO Akio)




※本稿は2019年1月発売の「レクサスUXのすべて」に掲載されたものを転載したものです。

長旅でのUXの実力は?確かめるベく、四国へ

 都市生活者に最適なモビリティを考えたというUXには、街中や都市高速を中心に幾度か試乗して、なるほどこれは新しい都会派クロスオーバーだと実感した。セダンやハッチバックよりはアイポイントが高くて見通しが良いものの、一般的なSUVよりもワイド&ローでスタイリッシュ。扱いやすさと利便性をスマートにまとめあげているのだ。ワインディングも走ったが、ハンドリングも低重心感があってなかなか良さそう。ならばロングドライブはどうなのか? 強く興味を惹かれていたのだが、2泊3日で借り出すことができたので、思い切って遠くまで足を伸ばすことにした。




 冬場ということもあって進路は南西にとり、四国を目指すことに。何度か走ったことがあるしまなみ海道だが、いつも低全高なクルマばかりで素晴らしい景観を堪能しきっていないから再び訪れたかったのだ。一日目は瀬戸内海で一番四国に近い大島まで走る予定。東京から750㎞以上の道程を一気に行くことにする。グーグルマップでの所要時間は9時間15分。休憩を入れたら10時間では効かないだろう。




 ロングドライブに必ず持って行くアイテムのひとつがサングラス。以前にプロゴルファーにインタビューした時に、快晴ではなくても優秀なサングラスをしていれば疲労が格段に少なくなると力説され、オススメの偏光サングラスをつくったからだ。ただひとつ困ったのは、HUD(ヘッドアップディスプレイ)との相性が悪いこと。HUDの反射光は水平の偏光であり、見事に偏光サングラスでカットされてしまう。UXも取扱説明書には「表示が見づらくなることがあります」と書いてあったが、輝度を調整したらばっちりと見えた。他でここまで見えるHUDはなかなかないのでうれしい発見。ちなみに偏光サングラスは水平方向からずらせば効果がなくなるので、他のHUDでも頭を傾ければ一応は大丈夫だ。




 試乗車は「UX250h F SPORT」のAWD。LCのマルチステージハイブリッドが出るまでレクサスのハイブリッドはドライビング・プレジャーとは無縁と言われていたが、UXは一般的なシステムながらダイレクト感があって気持ちがいい。新開発エンジンのレスポンスが素晴らしくいいからだ。アクセルを踏んだ瞬間にグッと背中が押しつけられ、以前の間延びした加速感とは一線を画している。パワーメーターの半分ぐらいまでなら、エンジン回転数が先行するCVT的な感覚がなくてリニアに感じられる。




 その特性は高速ロングドライブで強い味方となった。淡々とクルージングしているといっても、周囲の流れに合わせたり、登り勾配で速度を落とさないようにしたりと、常に微妙なアクセルワークが必要となる。そんな時にリニアなドライバビリティはドライバーを疲れさせず、無駄な速度変動も抑えてくれるからだ。




 直線が多い新東名ではレーダークルーズコントロールとLTA(レーントレーシングアシスト)を試す格好の舞台だった。レーダークルーズコントロールは、前走車に追いついた際の減速がスムーズでベテランドライバーのようだったが、前が開けた時の再加速はおっとりとしていて少し物足りなくも思えた。だが、完全な自動運転ではなくあくまでアシストなのだからこれでいい。ドライバーの気持ちよりも強く加速されたら恐怖だが、少し足りなければ右足でちょっとアクセルペダルを踏み増してやればいいのだ。クルマと協調しながらスムーズなクルージングを安全に楽しめる。

ただごとではないないほど少ない疲労感



大島にて一泊。島の外周には風情のある港が点在し、内陸側は「八朔」が華やかに山を彩る。民宿「千年松」では海の幸を堪能。強烈なインパクトのおこぜの姿揚げは、頭から齧り付くと香ばしさが口に広がって美味しい。



瀬戸内海は中世から近世にかけて水軍が活躍したことで有名。中でも大島は日本最大の海賊『村上海賊』を率いた能島村上家の本拠地であり、城跡や村上水軍博物館など見どころが多い。

 LTAは白線がかすれてカメラで捉えられなくても、先行車がいる場合はその軌跡を追従する先進的なタイプ。また、車線を逸脱しそうになった時の警報はハンドルの振動か警告音を選択できるのもいい。音を出されると同乗者に対して恥ずかしい気がするので振動だけで教えてくれるのが好みだ。フルに作動させれば車線の中央付近を維持するよう積極的に操舵支援するセンタートレースができるが、これを嫌う人も少なくない。個人的にもクルマ側が主張し過ぎて好きになれないのだが、UXはセンタートレースをオフにして車線に近づいて逸脱しそうな場合だけ操舵支援するモード、警報だけのモードも選べるので気が利いている。




 京都、大阪、神戸あたりはちょくちょくドライブ企画で行くし、以前に比べれば道路整備も進んだので今ではさほど遠く感じないが、今回は純粋な給油を除けばノンストップで関西を通過しそうな勢いで山陽自動車道に突入していた。揖保乃糸が売りの龍野西サービスエリアで昼食休憩としたのも、疲れたからではない。楽しみにしている大島の民宿の夕食が18時30分からなので、遅い昼食を避けたかったからなのだ。




 レーダークルーズコントロールやLTAのアシストを受けながらとはいえ、この疲れの少なさはただごとではない。ロングドライブ性能にかけては秀逸な欧州プレミアムカーも真っ青なぐらいだ。その要因のひとつが音・振動の少なさだろう。絶対的な音量が低い上に、パワートレーン、ロードノイズ、風切り音などのバランスも優れているから耳障りではない。振動は微細なものもシャットアウトされている。視界が良好なのも疲れを抑制している。ダッシュボードが低くて見晴らしが良く、Aピラーとドアミラーが離れているのもいい。交差点で歩行者を確認しやすいだけではなく、高速道路では周囲の交通を自然と把握しやすいのだ。




 そして何よりシャシー性能がロングドライブ向きでもあった。225/50RF18のランフラットタイヤを装着しているから、乗り心地にちょっと不安があったが、距離を伸ばしていくにつれ、それがまったく杞憂であることを思い知った。30㎞/h程度の極低速ではタイヤの硬さを感じることがあるものの、高速クルージングではまったく問題はない。GA-Cプラットフォームは低重心設計であり、高速域ではフラットライド感が強い。横風や路面の荒れなど外乱が入ってきても乗員が揺さぶられにくく、疲れさせないのだ。




 しまなみ海道に近づくにつれ、天気が悪くなって雨まで降ってきた。残念ながら瀬戸内海の景観は楽しめなかったが、ウエット路面や強い風の中でも頼もしい走りを披露してくれたことはうれしい発見だった。視界の良さは降雨時になお光り、フラットライド感は外乱の多い状況でドライバーに自信を持たせてくれる。




 翌日は四国の高速道路、郊外路、ワインディングを走り回った。あいかわらず天気はぐずついていたが、讃岐うどんの名店、山田家に寄った時だけ奇跡的に晴れ間がさして重要文化財の屋敷とUXの綺麗な写真が撮れたことで、気分もあがった。その日は明石海峡大橋を渡って神戸に宿泊。そして翌日には一気に帰京した。しめて約1600㎞を走ったわけだが、UXのシャシーはフラットライド感が強いだけではなく、実に足さばきが巧みでもあった。サスペンションはソフトというわけではないのだが、大きく鋭いギャップを通過しても入力の角を上手に丸めて乗員に突き上げ感を伝えない。しかもダンピングが効いていて上下動を後に残さずにすっきりとしている。単にボディの剛性が高いだけではなくパフォーマンスダンパーの恩恵やしなやかなサスペンションなどが渾然一体となって全体で優れた乗り味を醸し出しているのだ。




 日本では超がつくぐらいのロングドライブだったが、疲れが少なく快適でありながら、走りに一体感があって大いにドライビング・プレジャーも享受できたのだった。正直に言えば、以前の短時間試乗の際は音・振動が少ないせいもあって「なんだか優しい乗り味だな」とも感じていたのだが、乗り込むほどにタフで骨太なことを知った。これを都市部だけで使うのはもったいない。休日は積極的に足を伸ばしてアクティブなカーライフを送るべきだ。



明治27年(1894年)に改築した木造三階建ての道後温泉本館。大屋根の中央にギヤマンを使用した塔屋を載せ、屋根には道後温泉ゆかりの白鷺が据えられている。

本州と四国を結ぶ3本の橋のひとつ『瀬戸大橋』。昭和63年に開通し、延長は37.3㎞。吊橋、斜張橋、トラス橋など、世界最大級の橋梁が連なる圧巻のスケール。2017年には日本の20世紀遺産に選ばれた。

瀬戸内海と紀伊水道の干満差によって生じる渦潮で有名な鳴門海峡を眼下に兵庫県淡路島へとつながる『大鳴門橋』。展望室にはガラス張りの床があり、約45m下に広がる渦潮を覗ける。

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