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【うっかり800kmインプレ】カワサキVERSYS 1000 SEは電子制御&ハイテク機能が満載。これは実にいいツアラーだ。


2019年1月に国内発売されたアドベンチャースタイルのツーリングモデル。先進の電子制御技術が積極導入されたことでも注目された。SEには電子制御サスペンション(KECS)も搭載。LEDコーナリングライトや、傷を自己修復する特殊コーティング塗装が施されるなど、上質な仕上がりを誇っている。




REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)


PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

カワサキ VERSYS 1000 SE ……1,868,400円

エメラルドブレイズドグリーン×パールストームグレー

 カワサキのツアラーを代表するモデルがこれ。Z1000のエンジンを搭載する1043ccモデルの中で、最も高価なモデルだ。同社フルバリエーションの中でもH2やZX-10 系に次ぐ高価格車。ちなみに今回の試乗車はオプションのアクセサリーが多く装着されており、トータル価格は約220万円である。




 ブルートゥースでスマホと連携できるRIDEOLOGY アプリにも対応。スロットルバイワイヤーによる、いわゆる電子スロットル方式を採用。サスペンションも電子制御式等、カワサキが持つ先進電子制御技術の導入でもリーディングモデルなのである。


 


 パワーユニットやフレーム等の基本部分はZ1000やNinja1000と共通する。ツアラーとしての仕上がりは一級のレベルにある。ちなみに既報のNinja1000もパニアケース等、純正アクセサリーが豊富にオプション設定されているが、パニアケースとトップケースとの併用はできない。しかしヴェルシス1000SEでは同時装着が可能。つまり左右パニアケースとトップケースのトータルで103Lもの積載スペースを誇る。


 


 開発に掲げられたキーワードは「Any-Road Any-Time」。 「どんな道でも、どんな時でも」がコンセプト。見るからに大きく堂々たるフォルムはアドベンチャーツアラー的なセンスも感じられるが、前後ホイールサイズは17インチ。しかしホイールベースはZ1000やNinja1000より80mmも長い1520mmもある。もちろんフロントのジオメトリーも専用設計されて、キャスターを立て、トレールも長め。リヤタイヤも少し細めに設定された。


 


 ステアリングの切れ角もZ1000やNinja1000より大きい34度を確保。最小回転半径も3mと小さくなっている。そしてギヤリングも専用設定され燃料性能も高い。同社最大の21Lガソリンタンクと相まってロングツアラーに相応しい作り込みが徹底されているのである。

遠路を厭わない快適性が魅力

 大きく立派な車体に跨がると、自然と背筋が伸びる見晴らしの良いライディングポジションになる。シート高も高め、荷物を満載すれば280kg を超える車重もあって、普段からバイクに乗り慣れた筆者でも扱いは慎重になる。ただ手にするハンドルの位置が高く幅も広いので車体の引き起しや押し歩き時の操舵等は意外と軽く扱えた。


 


 両足の踵が浮いた状態なので、跨がったままバックするのは少々辛い。舗装路の平地なら何とかなるが、足場が悪かったり傾斜があるとバイクから降りて押すことになるので、バックギヤが欲しいと思う場面もあった。


 


 立ちゴケ等の失敗をしない様、大きなバイクを扱うには独特の緊張感が伴うものだが、特にパニアケースやトップケース搭載ではなおさら慎重になる。しかし、クラッチをミートし車輪が回転し始めると、それまでの緊張感が嘘のようにスゥーと解消されてしまう。


 操舵フィーリングの軽快さも好影響しているのだろうが極めて素直な操縦性と優しい感触の出力特性がライダーの気持ちを“ホッ”とさせてくれるからである。


 


 DOHC16バルブ水冷直(並)列4気筒エンジンは9000rpmで120psを発揮する。燃焼室等はオリジナルの設計でZ1000やNinja1000と比較すると圧縮比が11.8:1から10.3:1へと下げられピークパワーも抑えられた。車重は重いので、厳密に言うとその動力性能も少しばかり控えめな設定なのだ。しかしながらオーバー1000ccのビッグバイクである。実質的なパフォーマンスはまるで不足はないし、むしろ実用域での扱いやすさは増している。


 


 いつでも思い通りの加速力を発揮し、ブレーキパッドにメタル成分が多い様に感じられる強力な制動力&効き味の良さとが相まり、あらゆる交通環境下で常に安全な居場所へ移動しながらスピーディーかつ快適にクルージングできる。少し寝かされたキャスターやロングホイールベースも絶妙な直進安定性を発揮。ウインドプロテクションや快適なシートも含め、ストレスを感じさせない気持ちの良い総合性能が優秀である。


 


 市街地や峠道でも感心させられたのは、爪を隠すかの様に、いかにもジェントルなスロットルレスポンスを発揮するところ。決してレスポンスが鈍いのではなく、あくまで優しい立ち上がりに始まり強烈な加速力へとスムーズに繋がって行くところに大人びた心地よい雰囲気を覚えるのだ。   


 


 今回の試乗では、500km程度を予定した日帰りツーリングに出かけたが、その快適さ故、思わず距離が伸びて実走行は800km。撮影等を含めると900kmを超える試乗になってしまった。燃費計測の都合で3回給油したが、ツーリングのみなら満タンスタートで帰路前に1回の給油でも事足りる。




 トータル燃費率は21.3km/L。高速道路を速い流れに乗って19.5km/L、普通の流れでは21.8km/Lだった。ちなみにローギヤで5000rpm 回した時の速度は47km/h。トップ100km/hクルージング時のエンジン回転数は3900rpmだった。


 


 シートの座り心地も快適で2時間、あるいは連続200km走行も難なくこなせる。全てに大人の余裕を感じさせてくれる乗り味は、泊まり掛けのロングツーリングにも魅力的である。

⚫️足つきチェック(ライダー身長170cm)



シート高は820mm。ご覧の通り両足の踵は大きく浮いた状態になる。平地ならこのままバックも可能だが、地面をしっかりと押すには心もとない状態。一旦バイクを降りて押した方がスムーズに扱えるが、車体は大きく重く、パニアケースもあるので、乗降動作は慎重になる。


⚫️ディテール解説

ライト類は全灯LED式。アドベンチャームードを盛り上げるフォグランプはオプション装備品。メーター部右下の押しボタンスイッチで点灯する。一式の価格は56,592円。カウル両脇にある縦3連灯はコーナリングライト。慣性計測装置(IMU)活用例のひとつで、例えば左旋回時に車体が傾くと左側が3段階に点灯し左側方を照射する。

フロントフォークはショーワ製φ43mmの倒立式、150mmのストロークを誇る。ダブルディスクブレーキは、φ310mmのペタルローターを装備。ラジアルマウントされた油圧キャリパーはモノブロック異径対向4ピストン式だ。

Z1000やNinja1000と基本的に共通の水冷DOHC直(並)列4気筒1043ccエンジンを搭載。カワサキ車初の電子スロットルシステムが導入された。ケーブル式スロットルの操作感を残す事にもこだわっている。

152mmのホイールトラベルを稼ぎ出すホリゾンタルバックリンク式モノショックサスペンションはショーワ製。電子制御を追加したKECS(カワサキ・エレクトロニック・コントロール・サスペンション)が装備されている。

右出しショートアップマフラーは個性的な造形、排出口は二つある。リヤブレーキのペタルディスクローターはφ250mm。シングルピストンのピンスライド式油圧キャリパーを組み合わせている。

傾斜が立ち気味のスクリーンやハンドガードは標準装備。ツアラーとしての基本装備が奢られている。温度が3段階に切り替えられるグリップヒーターも装備。クラッチレバーは5段階、ブレーキレバーは6段階の調節機構付きだ。

10種もの各種スイッチがひしめくハンドル左側。ディマー&パッシングスイッチは人差し指で操作。モード切り替えボタンやウインカー、右列にはクルーズコントロールスイッチやメーター表示のリセットボタンとハザードスイッチ。そして咄嗟の時に押しやすいベストポジションにホーンボタンがある。
ハンドル右側はグレーのスイッチが二つ。上のスライドスイッチはエンジンスタート&キルスイッチ。下の押しボタンはメーターの表示内容を切り替え、メニュー画面から各種設定変更ができるセレクトボタンだ。


アナログ式タコメーターとフルカラーTFT液晶ディスプレイを合体したメーターまわり。液晶スクリーンの表示デザインは2種類から選択可能。白黒反転表示もできる。Bluetoothによるスマートフォン接続表示機能も備わっている。

スクリーンはアジャスタブル式。左右にある黒いノブを回して締め付け固定を緩めると、上下55mmの範囲で無段階に高さ調節できる。

段付きのセパレートタイプに見えるが、前後一体式のダブルシートを採用。体格の大きな人にはオプションで20mmアップのハイシート(44,820円)が用意されている。
バッテリーを先頭に様々なデバイスが整然と納められている。後方に見えるETC機器は標準装備されている。


トップケース装着に必要となるベースプレート。オプション装備品で価格は19,440円。

トップケースは47Lという大容量タイプ。サイドパニアは片側28L容量で、いずれもヘルメット収納可能。イグニッションも含めてワンキーで操作できる。トップケースはシンプルなタイプで37,800円。前述のベースプレートは必須である。

クッション厚だけでなく、しっかりと幅のあるシートデザインが採用されている。

◼️主要諸元◼️

型式:2BL-LZT00D


全長×全幅×全高:2,270mm×950mm×1,490(1,530mm) ※( )内はハイポジション


軸間距離 :1,520mm


最低地上高:150mm


シート高 :820mm


キャスター/トレール:27.0°/ 106mm


エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒/DOHC4バルブ


総排気量 :1,043cm³


内径×行程/圧縮比:77.0mm×56.0mm/ 10.3:1


最高出力 :88kW(120PS)/9,000rpm


最大トルク:102N・m(10.4kgf・m)/7,500rpm


始動方式 :セルフスターター


点火方式 :バッテリ&コイル(トランジスタ点火)


潤滑方式 :ウェットサンプ


エンジンオイル容量:4.0L


燃料供給方式 :フューエルインジェクション


トランスミッション形式:常噛6段リターン


クラッチ形式:湿式多板


ギヤ・レシオ:


 1速 2.692 (35/13)


 2速 1.950 (39/20)


 3速 1.529 (26/17)


 4速 1.304 (30/23)


 5速 1.136 (25/22)


 6速 0.958 (23/24)


一次減速比/二次減速比:1.627 (83/51) / 2.866(43/15)


フレーム形式:ダイヤモンド


懸架方式 :


 前 テレスコピック(倒立・インナーチューブ径43mm)


 後 スイングアーム(ホリゾンタルバックリンク)


ホイールトラベル:


 前 150mm


 後 152mm


タイヤサイズ :


 前 120/70ZR17M/C (58W)


 後 180/55ZR17M/C (73W)


ホイールサイズ:


 前 17M/C×MT3.50


 後 17M/C×MT5.50


ブレーキ形式


 前 デュアルディスク 310mm (外径)


 後 シングルディスク 250mm (外径)


ステアリングアングル(左/右):34° / 34°


車両重量:257kg


使用燃料 :無鉛プレミアムガソリン


燃料タンク容量:21L


乗車定員 :2名


燃料消費率:(km/L)※1


 25.0km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)※2


 17.6㎞/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時)※3


最小回転半径 :3.0m


カラー・メーカー希望小売価格 :


エメラルドブレイズドグリーン×パールストームグレー


 1,868,400 円 (本体価格1,730,000円、消費税138,400円)

◼️ライダー・プロフィール

元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファンJPのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分でじっくりと乗り込んだ上での記事作成に努めている。

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