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10年先を見据えた全面刷新


軽自動車の人気カテゴリーであるスーパーハイトクラスは、ユーザーの獲得競争が激しく、モデルチェンジの度に、各メーカーが持てるすべての技術と考えつく限りの創意工夫が注ぎ込まれる。新型タントのエンジンは、今回「ボルト&ナット以外はすべて新設計」というほどの大刷新が敢行された。ほかにも、こうした機会でないと手の出しにくいシャシーやボディ、CVT、エンジン骨格などの根本から見直され、10年後にも競争力のある基本性能が与えられることとなった。




図版解説●安藤 眞/編集部

磨き上げられた基本パッケージに便利機能を追加

ミラクルオープンドアによる圧倒的な乗り降りのしやすさに加え、荷室開口も広く、荷物の乗せ降ろしもラクラク。自動スライドドアは予約ロック機能や自動オープン機能を搭載し、さらに使いやすくなった。

直感的操作でストレスフリーな操作性

センターメーター方式の大型デジタルメーターやシフトノブ、空調コントロールパネルやシート座面の高さなどのレイアウトを見直して最適化。視認性や操作性を高めることで安全運転に貢献する。

エアバッグの装備を前提に室内を新設計

サイドエアバッグはもとより、カーテンシールドエアバッグまで全車標準装備。ボディ本体もエアバッグ内蔵を前提とした設計なので、室内への張り出しもほとんどなく、展開時の頭部保護性能も高められている。

ロングスライドは安全性も万全

スライドロックON
スライドロックOFF


スライドロックOFF

運転席をロングスライド位置にした状態で運転できないようにするため、多重の安全機構が設けられている。ロック機構が位置センサーの役割もしており、ロングスライド位置ではシフトは「P」から動かせない。

ミラクルウォークスルーパッケージ

新型は最大540㎜ものスライド量を誇り、車内の使い勝手を向上する運転席ロングスライドシートを採用。助手席の380㎜ロングスライドとの組み合わせで自在なウォークスルーが可能。

効率良く高められたシートの支持剛性



シートとボディの締結部は、シートレールの幅いっぱいを使って効率良く支持するレイアウト。支持点はシンプルなブラケットを介して付けられており、高い支持剛性が確保されている。

アンダーボディ骨格をスムーズに結合

サイドメンバーがリヤサスの手前で途切れている従来型に対し、新型は連続性を確保して、力の伝達効率を向上。新型の方がフロアトンネルやリヤのクロスメンバーも直線的に通されているのがわかる。

10年先まで対応できる安全/強度/NV性能が盛り込まれた

部分的に改良を続けてきたプラットフォームは、10年後でも通用する衝突安全性や動的性能を確保するために、前から後ろまで刷新。ボディ剛性については上下曲げ剛性を約30%高めている。

ハイテン材の活用で軽く強く安全に

前席Bピラー部には、1180MPa級の超ハイテン材を採用。骨格及び開口部周辺の、衝突荷重が入る部位に、980MPa級のハイテン材を使用することで、軽量かつ高強度なキャビンを形成している。

外板の薄板化とフロアの高強度材で性能向上

ドアやボンネットなどの外板は、板厚を薄くして軽量化を実施。フロアパネルはトンネル部を高強度材としたテーラードブランク鋼板を使用し、軽量化と高強度化の両立を行なう。

運転席側と同等の強度・剛性を確保

フロントドア後端部とリヤスライドドア前端部に、超高張力鋼板を使用したピラーを内蔵。ピラーのある運転席側と同等の強度・剛性を確保している。

サスペンション各部の新設計で大幅な軽量化を実現!

前後サスペンションはジオメトリーを見直しただけでなく、徹底した軽量化も実施。ロワリンクには780MPa級鋼板を採用しているほか、前後スタビを中空化しているあたりに、ダイハツの本気度が窺える。

前後サスペンションメンバーの構造を合理化

フロントサスのサブフレームを前から見たところ。従来型はエキゾーストパイプを通すため、サブフレームを逃がしていたが、新型はエキパイを迂回させることで直線化。合理化により高剛性と軽量化を両立。

視線ブレによる疲労を軽減する乗り心地

安全・安心・心地良さの追求にあたり、視線ブレと疲労感の関係に着目した開発も実施。ダイハツが(株)豊田中央研究所と共同して研究を続けてきたもので、その一部はレクサスESの開発でも先行適用済み。視線ブレ及び頭部振動が自覚的疲労と関係することを突き止め、姿勢変化に配慮したサスジオメトリーと高剛性ボディ、サスペンションチューニング、シート特性によりそれらを抑制。疲労感の少ない乗り心地を達成している(詳細は「すべて」シリーズ第578弾「レクサスESのすべて」53ページ参照)。

動力性能と燃費を追求したターボエンジン

吸気ポートのストレート化による高タンブル燃焼コンセプトは自然吸気エンジンと同じだが、最大吸気量が多い分、ポート径はターボエンジンの方が太い。高い排気温度に対応するため、排気ポートまわりのウォータージャケットが自然吸気仕様より太くなっているのがわかる。自然吸気より圧縮比が低い分、上死点時にピストンとバルブが遠くなるため、ピストンのバルブリセスは自然吸気仕様より小さい。

エンジン型式:KF(ターボ)


排気量(㏄):658


種類・気筒数:直列3気筒


弁機構:DOHC12バルブ


ボア×ストローク(㎜):63.0×70.4


圧縮比:9.0


最高出力(kW[㎰]/rpm):47[64]/6400


最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):100[10. 2]/3600


使用燃料:レギュラー


燃料タンク容量(ℓ):30

究極のポート噴射を目指したNAエンジン

「究極のポート噴射」を追求してシリンダーヘッドを専用設計した自然吸気エンジン。ターボ仕様と較べると、噴射ノズルが太く、吸気バルブから少し遠ざけられているのがわかる。吸気ポートは直線的で、下側がジャンプ台状にカーブしている。写真ではわかりにくいが、吸排気バルブ径はターボ仕様より0.5 ㎜小さく、バルブ位置も低くなっている。スパークプラグまわりのウォータージャケットも、燃焼室ギリギリまで攻めている。

エンジン型式:KF(自然吸気)


排気量(㏄):658


種類・気筒数:直列3気筒


弁機構:DOHC12バルブ


ボア×ストローク(㎜):63.0×70.4


圧縮比:11.5


最高出力(kW[㎰]/rpm):38[52]/6900


最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):60[6.1]/3600


使用燃料:レギュラー


燃料タンク容量(ℓ):30

火炎伝播速度を高める、日本初のマルチスパーク

一回の火花点火では火炎核の成長が遅く、火炎が燃焼室端に届く前にエンドガスの自己着火(ノッキング)が発生しやすい。二発目を飛ばせば火炎核の成長が加速され、ノッキングが生じる前に燃焼を終わらせることができる。

究極のポート噴射を実現するスワール噴射

左が吸気バルブの傘を狙って噴射するターゲット噴霧。右はポート内で全量を霧化させることを狙ったスワール噴霧。ポート壁やバルブ傘に付着することなくシリンダー内で気化するため、吸気冷却効果はより大きくなる。

NGK製の専用スパークプラグ

スパークプラグは専用品。中心電極にルテニウムを使用して細径化し、接地電極に角形白金チップを溶接して電界強度を高めたものだ。6万㎞無交換のロングライフ仕様。

エンジントルクのアップで加速性能を向上

ターボエンジンは全域でトルクアップを実現、最大トルクを8Nm高めることで、加速性能を約15%向上。ターボ車らしいキャラクターの明確化を図った。トルクが太くなった分巡行時のエンジン回転数を下げることもでき、静粛性も向上している。D-CVTの変速比幅拡大との相乗効果でストレスなく、快適に走行できる加速性能を実現している。

ヘッド内で排気ポートを集合させて熱損失を回避

他社も含めて技術トレンドとなっているヘッド内蔵排気ポートを新採用。燃焼室から触媒までの距離が約24%短くなり、表面積は約28%縮小しており、冷間始動時の触媒暖機性能を向上。冷却水温度も早く上昇する。

コンパクトな体格ながらギヤ駆動を加えた二刀流CVT

各軸間距離は、同等トルク容量クラスで最も短い。ギヤ伝達系を追加しながら、重量も他社同等を維持している。最大変速比幅は7.3を確保するが、最大トルクの関係で、タントが使用しているのは6.7まで。

■D-CVT 主要諸元


トルク容量(Nm):100


変速比幅:7.3


全長(㎜):354


体格:インプット×デフ(㎜)168 プライマリ×セカンダリ(㎜)136


質量(WET ㎏):61.1

新機構で伝達効率向上と変速比幅を拡大

高速域ではギヤ伝達系を併用することでベルト伝達系の負担を下げ、伝達効率を約8%向上。低中速側はオイルポンプの小型化、インプット遊星歯車の廃止などで機械損失の低減を図った。

軽量で高効率なデュアルモードを低コストで実現したD-CVT

青い線がベルト伝達系、赤い線がギヤ伝達系のトルクフロー。発進から中速域までは前者を使用し、中速〜高速域では両方を併用する。ハス歯歯車1セットとクラッチ2組で成立させた設計は、見事と言うほかはない。

踏み間違えの急発進を抑制する「ブレーキ制御付き誤発進抑制」



約10㎞/h以下で障害物を確認後、アクセルを強く踏み込んだ場合、踏み間違いを判定してエンジン出力を抑制。ブザーとメーター表示で警告するほか、衝突の危険がある場合はブレーキ制御を行なう。

“はみ出さない”をアシスト「車線逸脱警報/車線逸脱抑制機能」



約60㎞/h以上で走行中にステレオカメラが車線を検知している場合、走行車線を逸脱しそうになると警報を発する。また、車線をはみ出しそうになるとメーター表示とともに、車線内に戻すようハンドル操作をアシストする。

進入禁止の見逃しを予防する「標識認識機能」

約60㎞/h以上で走行中に進入禁止の標識をステレオカメラが検知すると、メーター内の表示でドライバーにお知らせ。見落としによる逆走を抑制し危険を回避する。

「スマートパノラマパーキングアシスト」

駐車時にカメラで駐車枠の白線を検知し、モニター表示だけでなく音声でのガイドをしながらハンドル操作をアシスト。ドライバーはアクセル&ブレーキによる速度調整と周囲の安全確認のみで駐車ができる。縦列駐車にも対応。

「アダプティブドライビングビーム」



カスタムのLEDヘッドライトには、ハイビームで走行中に対向車を検知すると自動で部分的に遮光し、対向車にまぶしい思いをさせずにハイビームの視認性を確保するアダプティブドライビングビームが採用される。

充実機能の2タイプの福祉車両

従来同様に新型タントにも車椅子利用者の乗降をサポートする、車椅子移動車「スローパー」と、昇降シート車「ウェルカムシートリフト」も設定する。

レバー操作で乗り降りラクラク

ウェルカムターンシートは、レバー操作によりシートが30度回転して乗降しやすくする。さらに、絶妙な位置に配されたグリップにより身体を支えられるので、介助が必要な時も、ひとりで乗り降りする際にもラクラク。

前後席両方で使えるロングステップ

助手席ドアや左側スライドドアに連動して出入りするミラクルオートステップは、前後席どちらでも利用できるロングステップを採用。小さな子どもやお年寄りの乗降をサポートする。

乗る人の声を元につくりこまれた形状

理学療法士や大学教授、地域住民の意見を参考にしながら開発されたラクスマグリップ。断面の太さや形状及び、運転席後ろと助手席後ろ用それぞれの装着形状が吟味され、より安全にスムーズな乗り降りをサポート出来るように設計された。

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