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新型ジープ・ラングラーで北海道の雪道を激走してみる〈Jeep Wrangler 雪上試乗記〉


泣く子も黙る世界最強のオフローダー、新型ジープ・ラングラーで厳寒の北海道 を存分に走らせる機会を得た。路面は完全なスノーコンディションな上、徒歩でも進退窮まるような急坂など、およそクルマで走ろうとは思えないような険しいセクションが多数用意されたクローズドコースでの試乗となった。市井の“SUV”たちが裸足で逃げ出す、本気のオフロード性能を体感する。




TEXT●小泉建治(KOIZUMI Kenji)


PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)

極限の環境下で見るラングラーの存在感は別格

 北海道の千歳空港近郊のオフロードコースにて、FCAが擁するオフローダーおよびSUVの雪上試乗会が行われた。用意された試乗車は、ジープの各モデル&アルファロメオ・ステルヴィオである。




 もちろん主役がジープ・ラングラーであることは言うまでもない。11年ぶりにフルモデルチェンジされ、昨年に日本にも上陸を果たした新型ラングラーの悪路における試乗レポートはすでにお伝えしているが、今回は雪上における走破性能を量ろうというわけである。




 試乗の舞台となった千歳周辺の気温は、氷点下1〜8度ほどで、こうした極限の環境の中で見るラングラーの存在感は別格だ。どれか一台を選べと言われれば、迷うことなくラングラーで決まりだ。申し訳ないがステルヴィオには行かないだろう。ところがどっこい、フラットな圧雪路ではステルビオが最高にすばらしかった……のだが、その話は別記事に詳しいのでここでは割愛する。


アルファロメオ・ステルヴィオで北海道の雪道を激走してみる

 試乗コースは4種類が用意され、ひとつはラングラー専用の難関コースで、這いつくばっても無理じゃないかと思えるほどのアップダウンが含まれる。残りの3種類の特徴を簡単に言うと、低速コース、中速コース、高速コースといったところで、どれも起伏はほとんどない。




 まずはラングラーのアンリミテッドに乗り込む。バスッと閉まるドア、高いアイポイントや角度の立ったフロントウインドウのおかげで掴みやすい車両感覚、視界は広いのにどことなく漂う囲まれ感など、この安心感はラングラーならではのもの。どんなに過酷な状況でも「この中にいればとりあえず生き延びられそうだ」という気がする。

シフトレバーの左側にあるのはトランスファーの切り替えレバー。2H、4Hオート、4H、2Hを手動で切り替えられる。

 せっかくなので専用の難関コースに挑む。この日は筆者にとって今シーズン最初のスノードライブであり、いつも以上に慎重に走り出したのだが、雪を踏みしめてのっしのっしと歩を進めてくれたのは、試乗車が履いていたスタッドレスタイヤ「グッドイヤー・アイスナビSUV」のおかげもあるだろう。




 緩く長い坂を登り切り、スキーの上級コースのような急坂を下りる。とくにヒルディセントコントロールも使わず、トランスファーは4Hオートのままで、アクセルもブレーキも踏まない状態ながら至極安定した状態で降りていく。4輪すべてでしっかりエンジンブレーキをタイヤに伝え、それが雪を確実に掴んでいる感覚がステアリングやシートを通してドライバーに伝わってくる。




 不快なNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)や不安を煽るような雑味は濾過しつつも、必要なインフォメーションはいたずらに封じ込めない。だから「なにがどうなっているかよくわからないけれど、とにかく大丈夫だ」ではなく、「状況がわかるから安心」なのである。これが現代のハイエンドSUVとは大きく一線を画す部分だ。





 スケートリンクのような広い低μ路の広場でドリフトの真似事を楽しんだ後、先ほど下りてきた急坂を登る。正面から対峙すると壁のように立ちはだかるその姿に少々ひるむが、かといって勢いまかせに突っ込めむわけにもいかない。登った先が左の直角カーブなので、勢い余るとその先の壁に激突してしまうのだ。




 だが期待通り、徒歩でも登れないような急坂をラングラーはこともなげに登り切ってしまった。その登坂能力もさることながら、感心したのはドライバビリティの高さだ。

 前述の通り、この急坂は勢いまかせに登るわけにはいかなかった。路面のμを感じながら、かつその先にある雪壁にも注意しながら、アクセルを豪快かつ繊細にコントロールする必要がある。そしてコントロールしたとおりに、クルマが反応してくれなければならない。




 ラングラーが3.6Lの自然吸気エンジンをラインナップしている理由は、ここにあるのだろう。




 現代のダウンサイジングターボは、動力性能と燃費性能を高いレベルで両立している。ターボラグもほとんど存在しない。ただ、確かに「ほとんど」存在しないものの、ほんのひと呼吸、いや、1/2呼吸……いやいや、1/4呼吸ほどだろうか? アクセル操作とパワーデリバリーが直結しない場面が僅かに存在することは否定できない。それは、通常のドライブ時にはほとんど気にならないものだ。だがこうした極限の状況下では大きな意味を持ってくる。




 期待以上の力強い加速を見せることがあるのも過給エンジンの特徴で、それはたいていの場合、ポジティブなこととして捉えられるが、こうした繊細なコントロールを要求される場面では、よりリニアな特性を持つ自然吸気エンジンに分がある。




 ラングラーは直列4気筒2.0LターボとV型6気筒3.6L自然吸気をラインナップするが、とくにオフロードを走行しないのであれば前者、オフロードでラングラーの本領をとことん発揮させたいのであれば後者がおすすめと言えるだろう。

 アンリミテッドに続き、2ドアボディにも試乗したが、当然ながらタイトに回り込むようなカーブでアドバンテージがあり、凹凸の激しいガレ場を通過するような場合は亀の子状態になる可能性が減るだろう。




 その一方で、雪道のような低μ路における安定性ではロングホイールベースにアンリミテッドが有利となる。




 だが今回、普段の生活ではなかなか直面しないであろう険しいコースでも、2ドアと4ドアの間に決定的な優劣は感じなかった。デザインの好み、居住性や積載性、駐車スペースや取り回し性能などによって選べばいいだろう。




 いずれにせよ、雪道におけるラングラーの走破性、そしてドライバーの安心感の高さはピカイチだった。もしもラングラーのオーナーになったら、まずはタフなエクステリアやユーティリティの高さに鼻高々となるだろう。だがこうした極限の状況に置かれたときこそ、アナタは「本当に買って良かった」と心の底から満足するはずだ。

SPECIFICATIONS


ジープ・ラングラー アンリミテッド・サハラ ローンチエディション〈アンリミテッド スポーツ〉


■ ボ デ ィサ イ ズ:全 長4870×全幅1895×全高1840〈1845〉㎜ ホ イ ー ル ベ ース:3010㎜ ■車両重量:1980〈1950〉㎏ ■ エ ン ジ ン :V型6気筒DOHC〈直列4気筒DOHCターボ〉 ボア×ストローク:96×83〈84×90〉㎜ 総 排 気 量 :3604〈1995〉㏄ 最 高 出 力:209kW(284㎰ )/6400rpm〈200kW(272㎰ )/5250rpm〉 最 大ト ル ク:347Nm(35.4㎏m)/4100rpm〈400Nm(40.8㎏m)/3000rpm〉 ■ トラ ン ス ミッ シ ョン:8速AT ■ 駆 動 方 式:AWD ■ サ ス ペ ン ション 形 式:Ⓕ &Ⓡコイルリジッド ■ブレーキ:ⒻベンチレーテッドディスクⓇディスク ■タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ255/70R18〈245/75R17〉 ■ 環 境 性 能(JC08モ ー ド ) 燃 料 消 費 率:9.2〈11.5〉㎞/ℓ ■車両本体価格:530〈494〉万 円
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