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ついに初試乗! 新型マツダ3は有言実行の仕上がりだった【Mazda3 海外試乗記/インプレッション】


2018年11月のLAショーでの世界初公開に続いて、今年の1月に開催された東京オートサロン2019でもお披露目された新型マツダ3。日本での正式発売は今年の中旬と言われているが、ひと足お先にアメリカはロサンゼルス近郊の市街地~フリーウェイ~ワインディングで試乗を行なってきた。世界が注目するマツダ渾身の一台。その初乗りインプレッションをお届けしよう。




TEXT●山本シンヤ(YAMAMOTO Shinya)

アメリカの雄大な風景の中でも埋没せず、強い存在感を漂わせている。

いよいよスカイアクティブは第七世代へ

 2012年に登場のCX-5以降、「第六世代」と呼ばれるスカイアクティブ商品群をラインナップさせたマツダだが、五代目となる新型マツダ3から「第七世代」と呼ばれる新しいフェイズにコマを進める。




 なぜ、人気のクロスオーバーSUVではなくハッチバック/セダンのマツダ3が第一弾として選ばれたのか? それはマツダ3こそが「マツダの顔」だからだ。03年に初代が登場して以来、世界130カ国で発売され総生産台数は累計600万台を超える。まさにマツダのブランド認知をけん引してきたエースというわけだ。

複雑なプレスラインに頼らず、シルエットの美しさだけで勝負したエクステリア。逞しくも美しい。

 エクステリアはハッチバック/セダンともにキープコンセプトに感じるが、実車を見ると「そうきたか!!」と唸らされる。ハッチバックはノーズが長く、キャビンは小さく、Cピラーは太い上にリヤゲートはクーペのように角度が寝ており、情熱的で凝縮感があるスタイル。対するセダンはハイデッキでハッチバックの延長戦のようなスタイルのモデルが多い中、「ザ・セダン」と言った伝統的な3BOXらしいフォーマルで伸びやかなスタイルと、同じマツダ3ながら印象はまったく異なる。ちなみに共用部品はボンネット、シグネチャーウイング、ヘッドライト、フロントガラスのみである。




 さらに驚いたのは、見る場所やシーンによって違う表情を見せることだ。従来の魂動デザインはパッと見た時の美しさはあったものの、見慣れると少々“味濃い目”な印象を受けたが、新型はあっさりしているのにジワーっと響くような奥深さを感じる。これは造形を“線”ではなく“面”の変化で表現した「深化した魂動デザイン」の特徴のひとつだ。個人的にはショー会場でバッチリ決まったライティングで見るよりもリアルワールドの光の下で見た時のほうが「いいね!」だった。




 ただ、ちょっと残念なのはフェンダーとタイヤのクリアランスが大きく、やや腰高に感じてしまうことだ。タイヤチェーン装着のためと言うが、個人的には10~15mmローダウンすると印象はもっと良くなると感じた。

最新のマツダのデザイン文法に則りつつも、よりシャープさを増したエクステリア。
なかでも前後ランプ類の主張の強さは著しく、「目ヂカラ」が尋常ではない。


 インテリアは横基調かつ要素をシンプルにしたデザインに加えて、スイッチ類やレジスターを最適配置。スイッチ&コマンダーなどの刷新や、RXヴィジョン/ヴィジョンクーペと共通モチーフのステアリングなどの採用も相まって、上級のマツダ6(=アテンザ)を超える質の高い空間を実現。


 


 ちなみにスイッチ/ダイヤルのタッチはもちろん、ダンパー内蔵のカップホルダーリッドやグローブボックスなど”操作感”にもこだわっている。これまでのマツダ車は「デザインはいいけど細部は……ね」といった感が否めなかったが、今回は細かい部分まで抜かりなしである。

試乗車として用意されていたのは、ハッチバック+SKYACTIV-G 2.0Lと、セダン+SKYACTIV-G 2.5Lの組み合わせ。

ロングノーズ&ショートデッキのシルエットがよくわかるショット。Cピラーの太さも目を惹く。流麗さと力強さを兼ね備えたデザインだ。

パワートレインは充実のラインナップ

 パワートレインは豊富にラインナップしており、ガソリンは1.5/2.0/2.5Lと2.0L+ベルト駆動のISG(モーター機能付発電機)付のマイルドハイブリッド「M Hybrid」、ディーゼルはCX-3から採用される1.8Lターボ、そして、新型の本命である圧縮着火エンジンのスカイアクティブXの3本立て。トランスミッションはほとんどのグレードに6速MT/6速ATを用意する。




 シャシーは次世代車両構造技術「スカイアクティブ・ビークルアーキテクチャ」を全面採用。上下左右方向だけでなく前後方向にも骨格を連続させた多方向の環状構造や減衰構造による“いなし効果”、さらにバネ上に伝える力を時間軸で滑らかにするサスペンション、ブッシュ、タイヤ、シートなどを採用。




 ちなみにサスペンション形式はフロントはストラットと先代から変更ないが、リヤはマルチリンクからトーションビームに変更された。スペック的には退化に思えるが、足を素直に動かすためにはシンプルな方がいいという判断だ。ただし、ビームの形状は工夫されており、横方向の位置決めはガッチリ、縦方向はしなやかに動かすことが可能のようだ。

センターディスプレイは8.8インチの大型サイズとなった。ご覧の通りAppleCarPlayにも対応している。

6速MTのシフトフィールはゲート感があり、手首のアクションで気持ちよく入る。
シフトレバーの後方にはダイヤル形状の「コマンダーノブ」が置かれる。


 今回試乗したモデルは、ハッチバックが欧州向けの2.0L M Hybrid+6速MT、セダンが北米向けの2.5L+6速ATの組み合わせだ。




 運転席に座りポジションを合わせると、上半身は動きやすいのに下半身はフィット感が高いシートに感心させられる。筆者は普段からシートバックは寝かせる方向で座っている。肺を圧迫させないので呼吸が楽だし、骨盤の角度を立てたほうが細かいペダルコントロールがしやすいのが理由だが、このシートはそれが自然にできる。また、ステアリングは握りの太さや断面形状、革の触感などが絶妙で、無理なく自然な操作が可能。さらに調整幅が広いので誰でも適正なポジションが取りやすいはずだ。




 居住性はハッチバック/セダンともに大人4人が快適に過ごせるスペースは確保されているが、ハッチバックはウィンドウ面積が小さいため閉塞感は強いのも事実だ。また、多くの人が気になるハッチバックの後方視認性だが、デザインのために割り切られているかと思いきや直接視界は想像よりも良好で、BSMや360度モニターなどの支援デバイスのサポートでカバーできるレベルである。

ハッチバックのフロントシート。
ハッチバックのリヤシート。


クルマの動きと人間の感覚にズレがない

 シャシー系は走り始めから「動的質感が高いぞ」という印象だ。ボディのシッカリ感は日本車離れしており、カッチリしている上にピリピリとした振動も少ない。




 ハンドリングは操作に対するクルマの動きと人間の感覚にズレがないこと、滑らかな挙動、そして違和感がない走りを高いレベルで実現しているのを実感。マツダが常日頃語っている「誰もがいつでもどこでも、安心して運転に集中できる心地よい走り」を体現。動的なクオリティに関してはプレミアムカテゴリーに足を踏み入れている。




 街中やフリーウェイを走っていた時は、欲を言えばもう直進安定性はもうすこしビシッとしてほしい点もあったが、「意外と重量級かな!?」と思うような落ち着きとシットリした足の動きや動的質感の高さを感じる一方、ワインディングでは飛ばしている時はもちろんゆっくり走っている時も一体感のある動きに思わず「ニヤッ」としてしまうような楽しさも備わる。ちなみにトーションビーム特有の舵角に対する切れ込み感は若干あるものの、その動きも予知できるレベルなのでほとんど気にならなかった。




 走りの味付けはスポーティではあるものの、アドレナリンが湧き出るような熱血系ではなく手に汗握ることなくサラッとこなすクール系である。安定感も非常に高いが欧州プレミアムのようなドシッとした感じではなくヒラヒラと軽快な感じは、FFのロードスターと言ってもいいかもしれない!?




 ちなみにボディ形状の問題かタイヤの差(どちらもTOYOプロクセスだが、セダンはオールシーズンタイヤの「A40」、ハッチバックはサマータイヤの「R51A」を履いていた)なのかは今回の試乗では判断できなかったが、セダンよりもハッチバックのほうが走りの全体的なバランスはよかったように感じた。




 また、NVHも現行モデルとは雲泥の差で、いわゆる無音のような静けさとはちょっと違うものの「ノイズは消すがノートは残す」といったイメージで常用域と高速域での会話明瞭度の差はほとんど変わらず。ちなみにオーディオもこだわりの逸品で、低域スピーカーはカウルサイドに配置、中高音域は反射音の影響を受けにくい&人に自然に音が聞こえるように左右セールガーニッシュとドア上部に配置することで音の広がりや立体感、明瞭度を感じる音場に仕上がっている。スタンダードシステムでも従来のBOSE以上のクオリティで、BOSE仕様は欧州プレミアムの高級オーディオシステムも遥かに超えるサウンドを奏でる。

躍動感に溢れるハッチバックに対し、落ち着いた佇まいを見せるセダンのエクステリア。

 大きくレベルアップしたシャシー周りに対して、パワートレインはよく言えば「必要十分」だが、2.5Lは数値(186HP/186lb-ft)ほどの力強さがない上に、ビジーにシフトダウンしてしまう制御の6速ATとのマッチングもイマイチ。また、2.0L M Hybrid(122ps/213Nm)も2.2 Lくらいのトルク感と6速MTを駆使して走らせると伸びの良さや気持ち良さも感じられるが、ダウンサイジングターボやハイブリッドのライバルと戦うためにはもう少し力が欲しい。




 ちなみにシャシー関係は人間中心の思想に仕上がっているが、今回乗ったガソリンエンジンに関してはやや物足りなさを感じてしまったのも事実だ。個人的には「内燃機関を極める!!」と言うなら、それを体現するような“プラスα”があって欲しい。そういう意味では新型マツダ3の本命はディーゼルの1.8LターボやスカイアクティブXなのだろう。




 ちなみに日本仕様のラインナップは現行モデルと大きくは変わらないとのことだが、そこから推測すると、ガソリンは1.5/2.0L、ディーゼルは1.8Lターボ、そしてスカイアクティブXと言う布陣になりそうである。




 では結論だ。これまでのマツダ車は目指すべき思想に対してハードにギャップがあったが、新型マツダ3はまさに「有言実行」と言った仕上がりである。コイツなら欧州Cセグメントのプレミアム系モデルともガチで勝負できる一台と言えそうだ。



助手席側のエアコンルーバーは、センターのエアコンパネルと水平のラインで結ばれている。シンプルながらとても美しい。
オプション、もしくは上位グレードに用意されると思われるBOSEサウンドシステム。室内空間に合わせて専用のチューニングが施されている。


セダンのフロントシート。
セダンのリヤシート。


マツダ3 ハッチバック SKYACTIV-G 2.0(マイルドハイブリッド)


全長×全幅×全高:4460×1795×1435mm ホイールベース:2725mm フロントトレッド:1570mm リヤトレッド:1580mm エンジン形式:直列4気筒DOHC 総排気量:1998cc 圧縮比:13.0 最高出力:90kW(122ps)/6000rpm 最大トルク:213Nm/4000rpm トランスミッション:6速MT ガソリンタンク容量:51L フロントサスペンション形式:マクファーソンストラット リヤサスペンション形式:トーションビーム タイヤサイズ:215/45R18 ホイールサイズ:18×7.0J フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リヤブレーキ:ディスク

マツダ3 セダン SKYACTIV-G 2.5


全長×全幅×全高:4662×1797×1445mm ホイールベース:2725mm フロントトレッド:1570mm リヤトレッド:1580mm エンジン形式:直列4気筒DOHC 総排気量:2448cc 圧縮比:13.0 最高出力:139kW(186ps)/6000rpm 最大トルク:252Nm/4000rpm トランスミッション:6速AT ガソリンタンク容量:50L フロントサスペンション形式:マクファーソンストラット リヤサスペンション形式:トーションビーム タイヤサイズ:215/45R18 ホイールサイズ:18×7.0J フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リヤブレーキ:ディスク


新型Mazda3の24V M-Hybid(マイルドハイブリッド)の燃費はどうなの?従来のSKYACTIV-G2.0と比べて燃費は向上したか?

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