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カスタムビルダーが新型SR400を斬る!【気になる外装フィッティングも検証】


前回のプチインプレ記事で宣言したとおり、新型SR400を神奈川県海老名市にあるカスタムショップ・キャンディーモーターサイクルラボラトリーにドックイン! 見た目だけでなく、フューエルタンクやシートなどはどう変わったのかをチェックし、カスタムパーツの流用性を探ってみた。




PHOTO●渡辺昌彦(WATANABE Masahiko)


REPORT●佐賀山敏行・一間堂(SAGAYAMA Toshiyuki)


取材協力●キャンディーモーターサイクルラボラトリー(https://www.candy-mclabo.com/)

タンクは変わらず! やっぱりシートは流用不可!!

 SRの魅力はさまざまあるが、そのひとつに「カスタム」がある。オーソドックスなシングルクレードルフレームに美しい空冷単気筒エンジンは、カフェレーサーやトラッカー、クラシックスタイルなど、ジャンルを問わずあらゆるスタイルに変化させられる。実際にマフラーやハンドルだけでなく、シートやフューエルタンクといった、車体シルエットをガラリと変えるパーツが数多くリリースされているのもSRの特徴だ。




 そしてモデルチェンジを繰り返しても、型式を超えてパーツ同士が高い流用性を維持しているのも、カスタムファンに支持される大きな理由。フューエルタンクやシート、ハンドルにメーターなど、ほとんどのパーツは1型~3型、つまり1978年~2008年まで流用することができるのだ。しかし、そんな状況が変わったのがフューエルインジェクションを採用した4型(2010~2016年)。タンクは底部の形状が大きく変わり、シートも取付け部を変更。サイドカバーもこれまでより膨らんだ形状となった。シルエットこそ3型までと同じながらも、じつは大きく変わってしまったのが4型なのである。




 ただし、そうはいってもシートはボトム形状に変更はなく、パーツメーカーがリリースしている変換ステーを使えば3型以前のシートは取り付けられた。サイドカバーはもともと交換するのではなく、外してスカチューンにするのが定番。しかし4型はフューエルポンプがあるのでスカチューンには不向き。カスタムする際はサイドカバーはそのまま(もしくはペイント)が定石である。フューエルタンクだけはどうしようもないが、近年はSRらしさを維持する「70年代ルック」が流行していることもあり、4型でも十分にカスタムを楽しめる素地は残っていたのだ。




 さて、問題は5型(現行)である。パーツの流用はどこまで効くのだろうか? 早速、キャンディーモーターサイクルラボラトリーの中村さんに作業を開始してもらった。取り外したのは、フューエルタンクとサイドカバー、そしてシートである。

上:5型(現行)、下:4型(2010~2016年)

 最大の懸念ポイントはシート。メーカー公式サイトには「ECUは、設定変更にとどまらず、実際のサイズも大きくなってしまい、これまでのサイドカバー内に収まり切らず、シート下に動かさざるを得なかったため、シートボトムを新作して対応しました」とある。どくれくらい変わったのか、僕の愛車(2014年式・4型)を持ってきていたので、比べてみると……違いは一目瞭然。




 大きなECUを収めるため、5型のボトムは大きくえぐれている。ただし、マウント方法は同じだ。つまり、5型のシートは4型の車体に装着できる。しかし4型のシートは5型の車体に装着できないということ。

5型のシート下。バッテリー後方にある大きな黒い物体が新型ECU。こいつのスペースのためにシートボトムが大きくえぐられていたのだ。

左サイドカバー内側にはフューエルポンプがある。サイドカバーの形状は4型と5型は同じだった。

4型のシート下とサイドカバー内側。シート下がすっきりしている。

フューエルタンクの形状は4型と同じ。

 フューエルタンクの裏側をチェック。4型との違いは確認できず、そのまま流用できそうだった。ただし、もともと4型に適合したカスタムタンクは少ないので、タンクを変えたいというユーザーには厳しい状況であることに変わりはない……。




 やはり事前の予想通り、大きく変わっているのはシートのみ。4型では専用シートはもちろん、変換ステーを使えば3型以前のシートも装着できたのが、5型ではできなくなっているのは残念だ。ただ、5型シートは4型にも装着できるので、パーツメーカーさんには是非、積極的に5型(兼4型)専用シートを開発してほしい!

中村さんインプレッション!「乗りやすさとSRらしさのせめぎあい」

近所をグルッと1周……のはずが、楽しすぎて、このあと20分くらいどこかに行っちゃった中村さん(笑)。

 せっかくなので、これまで年式、ノーマル・カスタムを問わず、数多くのSR400/500に乗った中村さんに5型に試乗してもらい、印象を聞いてみた。




「すごくマイルドで速いですね! 低回転からスピードがどんどん乗っていく感覚は、これがノーマルとは思えないほど。だけど、いわゆる『SRらしさ』というものを考えた場合、旧型のほうがよりSRらしかったかな、という思いはあります」




 中村さんが言う「SRらしさ」とは振動や荒々しさのこと。それらが新型はかなり低減され、「マイルドで速い」という感想につながったのだという。




「2型や3型のキャブレターモデルから4型でF.I.になって、さらに今回の5型と、どんどん乗りやすくなっているなとは思いますが、その反面、空冷シングルならではのクセがなくなっているような……まあ、そんなことを言うのは、僕を含めてほんのひと握りの意見ですよね(苦笑)。


 乗りやすさと荒々しさのバランスを考えた場合、このモデルはこれまでよりも乗りやすさに比重を置いている。だけど、それでも十分シングルらしさは残っていますよね。これなら長距離を走るのも苦にならないと思いますよ」

 これまで数多くのSRを見てきたからこそ、一抹の寂しさを感じるものの、それでもSRはSRだと評価する中村さん。続いて、ディテールの変化についても意見を聞いてみた。




「シートは4型以降の硬さがキープされていて良いですね。3型以前は柔らかすぎて、すぐお尻が痛くなっちゃいますからね……。前後ハブが黒くなっているのも高ポイント! 今まで何台のSRのハブを塗ってきたか数え切れないくらいでしたから(笑)、嬉しいユーザーは多いんじゃないでしょうか」




 他にも外装と同色のライトケースや今風のウインカーなど、見た目に関してはかなり高評価。いちSRファンとして、そんな5型をベースにしたキャンディーのカスタムマシンもぜひ見てみたい!

SRカスタムの定番ともいえるハブのブラックアウト。それが純正から行われているのは、ユーザーにもビルダーにも嬉しいポイント。

60年代を思わせるライトケースはマシンをオシャレに見せてくれる。

一新されたウインカーデザインも中村さんが評価するポイント。「せっかくならテールランプのデザインも変えてくれたら、リヤビューは100点だったのに!」とのこと。

今回、取材に協力いただいたキャンディーモーターサイクルラボラトリーは、カスタムショーにも精力的に出展。取材当日も12月2日(日)に開催されるヨコハマ ホットロッド カスタムショーに向けて車両を制作中だった。ちなみにこのマシンは、2016年12月の同ショーで「ベスト・ドメスティック」を受賞。

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