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マツダ スカイアクティブX開発はディーゼルは、そしてロータリーは?


東京モーターショーのプレスデー、マツダでパワートレイン開発・車両開発・商品企画担当の廣瀬一郎常務執行役員に、今後のマツダのパワートレインについてインタビューする機会に恵まれた。スカイアクティブXは、ディーゼルは、どうなっていくのか?


PHOTO:Naco NAMAE

ミスターエンジンこと人見光男さんと並んで、マツダのパワートレイン開発のキーマンである廣瀬一郎さん。10月初旬には、マツダの美祢テストコースで行なわれた「MAZDA Japan Tech Forum 2017」でも話を伺ったし、これまでも、スカイアクティブ技術の節目節目でインタビューしてきた。聞き手は、私・鈴木MotorFan.jp編集長と牧野茂雄さん(ジャーナリスト)である。

マツダ・SKYACTIV(スカイアクティブ)-Xエンジンは、内燃機関を次のステージに引き上げる

マツダ スカイアクティブX開発は「ジグソーパズルの四隅が固まった」段階

革新的な燃焼を実現したマツダのSKYACTIV-Xエンジン。

ースカイアクティブXについてです。この間、ボクら美祢のテストコースで説明をしていただいて、試乗もさせてもらいました。正直、これはすごい!って思いましたよ。これが、あと2年で出るのか。大変なんだろうなって。あれが、本当にあと2年でできるのか? ボクらは「できました!」って言われて初めて乗せていただくんで、「すごいですね~」っていう反応ですが、やっぱり開発している方は、「もしかしたら、できないかもしれない」っていう不安っていうのは、開発の何年か前に当然あったわけでしょう?




廣瀬 それは、ずっと、ずっと、ずっとありますね。誰もやっていないことをやるんで、答えがないかもしれないって思う人は当然いるわけで、それを「答えは必ずある!」って誰かの言葉じゃないですけど、それを言いながら、信じながら、ポジティブに全体を率いていくっていうのが、まぁ一番大変な仕事……。だって簡単ですからね。誰もやったことないんだから、できるわけないっていって、「ほーら、できなかったでしょ」って後から言うのは。

「止めを入れてもらわないと、知ってること全部喋っちゃう(笑)」と話す廣瀬さん

ーいまはどういう段階ですか?




廣瀬 いくら大きなジクソーパズルでも、ひとつづつはめていくと、段々穴あきの状態がシャープになってきて、最後パタパタって完成するんだって、よく言っていましたよ。いまはまだ、四隅が固まったくらいの状態で、あとははめていくだけって段階です。




ー四隅は固まった感じですか。




廣瀬 四隅は固まったと思いますよ。ええ。




ースカイアクティブXは、イートン製スーパーチャージャーが付いて、48ボルトのISGが付いてっていうと、普通のエンジンより高くなりそうな感じです。もちろん、開発費も含めて高いエンジンになると思うんですけど、マツダとしては、だんだんブランドイメージが上がって、クルマの価格を高くして、いい技術を入れてもクルマが売れるようになって、というお考えなんですか? いまマツダが800万円とか900万円のクルマを出してもなかなか買っていただけないじゃないですか。




廣瀬 誰も買わないですよ。




ーでも、RX VISIONみたいなクルマは800万、900万じゃないと出せないと思いますし、そういう価値のあるクルマになるんだと思います。それには、自動車メーカーとしてのポジションはいまと一緒じゃなくて、スカイアクティブ技術でちょっとずつ上がって、今度は魂動くデザインが「2」になって、そのときに他ができない技術が入ったエンジンが入って……だから、ブランドとしてのマツダのポジションが上がっていくって考えていらっしゃるのかな、と思うのですが。




廣瀬 最初の、「独自の技術が入っているから値段が高くてもいい」っていうのはまったくなくて、大変苦労しています(笑)。




ーまったくない、っていうのは、会社の方針としてないってことですか。




廣瀬 そうです。「お前、いいもん作ったからって値段高くしていいだろうなんて考えは、ダメだよ」って。それを本当に誰が作ってもこれ以上合理的なコストで作れないっていう所まで極めたうえで、それを今度は価値を訴求して、値段を上げるという意味ではなくて、支持していただける方に適切な値段で買っていただける。だから、ブランドを上げるっていう意味が、「高く作ってもいいよ」という意味でブランドを上げると言っているわけではなくて、さっき仰ったように、やっぱり私たちのファンとなって、私たちの存在を認めていただける方にちゃんと合理的な値段で買っていただけるっていうのが、継続してやっていく努めだと思っていますし、結果的にそれで、もっとそのレンジを上げたものをお客さんが望むようになったら、それはそこに商品を並べていくことになると思うんですけど、最初からそこにいって「さあ、買ってくれ」っていうのはないと思っております。

マツダは1.5ℓと2.2ℓのディーゼル・SKYAVITV-Dを持っている。

ーディーゼルの話をちょっと伺いたいんですけど、ヨーロッパ勢はみんな、水面下はわからないですけど、ディーゼルを止めるって……言ってますよね?




廣瀬 やってます。彼らは相当やってます。




ー口だけですか?




廣瀬 ええ。私、毎回、アーヘンとウィーンのエンジン学会とウィーンとを定点観測していますけれど、ディーゼルを止めるなんて、ひとっ言も言ってないですよ。メルセデスも4気筒ディーゼル、6気筒のディーゼルバージョン、これで2018年以降の全世界、もう品揃えは全部できた! って言っていますし、あのフォルクスワーゲンですら、ディーゼルをやるって言っています。




ーディーゼルの将来については変わらず。変わらず、というか、まだまだ可能性があるということですか?




廣瀬 アーヘン学会の学長の最初の挨拶がね、「これだけの7000人のバチェラー(学士)と2000人のマスター(修士)が卒業して、この人たちが正しい仕事をしたらディーゼルに未来はある!」とか言うんです。で、尿素SCRで、今度は「これが付いてたら大丈夫だ!」ってキャンペーンみたいにやり始めてますよ。




ーそのガソリンエンジンの効率をスカイアクティブXで3割上げるんですっておっしゃいました。では、ディーゼルには、どれくらい上げ代があるんですか?




廣瀬 ディーゼルはまだまだありますよ。こうやって、ディーゼルにスカイアクティブGが追いつき、で、スカイアクティブDが出て、Xが出て、ディーゼルはここ(と言って、スカイアクティブXの少し上を指す身振り)、いかなきゃいけない。これをお知らせする期限が2019年かな。そういう計画でやってます。




ー熱効率っていうのはどこまでいくものですか?




廣瀬 なんかね、数値上あれなんですけど、まだ相当残ってます。一度論文レベルでやっているような話で、理論的に言えば……(ここで、立ち会っていたいた広報担当が、「熱効率の数字は、ダメです」と止めに入る)。




※熱効率のピンポイントの数字だけが一人歩きするのを危惧しているようだった。ピンポイントの数字よりも、「燃費の目玉(燃費の良いゾーン)」の大きさを重視したいという想いがあるのだろう。




ーじゃあ、まだまだやることたくさんあるってことですね。

マツダの技術ロードマップ。電動化のバッテリーEVのところに、「with or without Range Extender」の文字が見える。SKYACTIV-Dの第2世代は2020年登場予定だ。

牧野 じゃあ、最後の質問です。ロータリーエンジン、どうするの? いつ頃ですか?




廣瀬 レンジエクステンダー(とはっきり言い切る)。




牧野 レンジエクステンダーでもなんでもいいんですけど、私、ロータリーエンジンが出てこないといまのRX8買い替えられないんですよ。いつ出るんでしょうか?




廣瀬 ありがとうございます。まだ開発を続けております。




牧野 ずっと見ていますが、まだ、ロータリーエンジン開発部隊の人が少ないんですよ。あれ、量産が迫ってくるとガーって人員が増えるじゃないですか。それをちょっと期待しているんですけど。




ーレンジエクステンダーで使うロータリーとメインで使うロータリーは当然、開発のやり方が違うんですか?




廣瀬 まあ、使う領域が違うので、そうですね。




牧野 でもレンジエクステンダーって、昔はなかったけど、あれはロータリーの生きる道のひとつなんじゃないかなと思っているんですよ。




廣瀬 レンジエクステンダーで出すのと、まあ本当の意味で搭載するロータリーを適合するレベルの技術になるように開発を続けています、とだけ申し上げます。




牧野 あとCNG(天然ガス)止まったままですね。




※マツダは、2013年の東京モーターショーで、アクセラのCNG仕様を発表している。




廣瀬 CNGですね。あの……(マツダは)ちっちゃい会社なんで……。




牧野 そんなにいっぺんに、はできませんか。手が回らない、ただ、手が回らないですか?




廣瀬 絞っています、いまは内燃機関のここに(ガソリンとディーゼル)集中してます。




牧野 今後、ヨーロッパCO2排出量95g/km規制が入ってくると、CNGはある意味で、飛び道具になりますよね?




廣瀬 その声は良くありますけどね。まあ、まず、全世界に適応できるスカイアクティブX、この技術を仕上げたうえで、拡張性はその後に、ということになっていますので。

SKYACTIV-Xで語られなかったレンジエクステンダー用ロータリーエンジン
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