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【発表内容詳細】日産、新車完成検査の不正再発を発表。国内向け全車両の完成検査業務・車両出荷・車両登録を停止


日産自動車は10月19日夜、同社本社(神奈川県横浜市)で開いた緊急記者会見において、9月29日に公表した新車完成検査における不正行為が、その後も続いていたことを明らかにした。同会見において、西川廣人社長と山内康裕CCOが明らかにした、不正再発の詳細と今後の対策に関する全文を、ここにお届けする。

【日産自動車の新車完成検査不正再発に関する概要】https://motor-fan.jp/article/10001415

【西川廣人社長】




今日は、大変申し訳ない、そして残念な報告を、させていただきます。




9月19日に、不適切な完成検査の事案が発覚いたしました。それ以降、再発防止策を打ったうえで国内の販売・登録を再開させていただきました。しかし、それにも関わらず、報道のあった日産車体湘南工場に加え、日産自動車の工場でも別件の事案が発見されました。




結果、日本国内向け出荷を停止しております。お客様にお届けした台数は、前回リコールして以降の台数ですので、34,000台と限定的にはなりますが、残念ながら、登録してお客様にお届けした分は、前回同様の点検のためのリコールをしなければならないと思います。




皆様とその先にいるお客様、再発防止策を信頼していただいた皆様に、大変申し訳ないことをしてしまったと思っています。深くお詫び申し上げます。




前回、再発防止のため第三者を含めた検討をして、その調査をベースに要因対策の深掘りと、対策を打つため、1ヵ月程度のお時間をいただきたいと申し上げました。ただし、今回の状況に鑑み、まだ道半ばではありますが、お集まりいただいた次第です。




それではまず、CCOの山内(康裕)より、どういうことが起きたのか、事実の報告をさせていただきます。

追浜工場における不正の詳細を説明する日産自動車の山内康裕CCO

【山内康裕CCO】




日産自動車でものづくり部門全体を統括している山内です。よろしくお願いいたします。この度は関係者、お客様の皆様に大変なご心配とご迷惑をおかけしております。深くお詫び申し上げます。




まずは、直近に起きたことを説明させていただきます。




10月17日夜、追浜工場の完成検査工程の一部が、完成検査ラインではない他のラインで実施されていて、さらにその検査行為が、任命された完成検査員ではない検査員によって行われていたと疑われる事象が判明しました。




ここに二つの問題がございます。




一つは、完成検査工程は、クルマが立ち上がる時に、こういう工程で完成検査すると、国交省にお届けをしております。その完成検査工程が変更されていた。変更する場合は、30日以内に国交省にもう一度お届けしなければならないことになっていますが、変更されたのが今年8月1日。つまり、我々が発見した時点では30日を過ぎており、届け出なしに変更したということになります。




そしてそのうえで、そこで行われていた完成検査の一部が、任命されていない検査員によって実施されていたと思われるという事象が確認されました。




これを受け、昨日、日産自動車および日産車体の国内工場において、同様の案件がないか、すべて調査しました。その結果、栃木の第一工場で1件、また、日産自動車九州の第二工場で1件、同様の案件が確認されました。それを受け、クルマの出荷を止め、登録を止めるに至りました。






【西川廣人社長】




まったく私としても残念なことです。34,000台のリコールによる単純なコストは10億円弱と限定的ですが、我々が対策して再開したところ、打った対策を信用して買っていただいたお客様皆様の信頼を裏切ってしまうということ、こちらの方が大変大きな問題だと思っております。




我々の対策は、完成検査工程がその他の工程に組み込まれていたこと、資格を持っていない人間が完成検査の作業をしていたのが常態化していたことなどへの対策です。




「常態化ということは、これは組織的な問題なのか」というお問い合わせもありましたが、当然組織的に取り組まなければ常態化することはないわけです。そういう意味では、無資格者による検査が行われていた中での対策だったわけです。具体的には、無資格者による完成検査の禁止と、管理の強化をしてきました。その過程で、一部の現場に足を運んで確認し、話を聞きました。そのような中で、今回のような事案が発覚したわけです。




まさに不徹底ということを申し上げるしかないわけです。なぜやってはいけない人間が作業してはならないということが守られないのか、そういう感覚を皆さんが持たれることはよくわかります。




結局、ひとつ明らかなのは、過去から組織的に運営されていた、その要になっているのは、課長ではなく、現場の責任者である係長なんですね。我々から生産部門のトップ、工場長、部長、課長、係長へと指揮命令が伝わっていく中で、課長と係長とのコミュニケーションギャップが非常に大きく、ここにひとつ大きな落とし穴があったのではないかと思います。これは、他の件でも散見されますので、非常に重要なポイントと思っています。




当面の対策としては、日本の国内向けの出荷を停止しております。輸出がありますので、生産を継続している工場はございますが、追浜のように国内専用の工場は生産が止まっています。




今後再開していくことを考えなければならないわけですが、非常に慎重にいきたいと思っています。これは、一度再開をしてこういう事態に陥っていますので、まずがんじがらめに、日常対応ではなく緊急対応としてがんじがらめのところからスタートしたいと思っています。






【山内康裕CCO】




いま考えている当面の対策についてお話しします。




まず、完成検査工程の一部が届け出なしに変更されておりましたので、届け出された状態に即刻戻します。そのうえで、完成検査工程が認定された完成検査員のみを工程に配置することを徹底します。さらに、今回の問題のひとつは、完成検査ラインとは離れた他の場所で完成検査が行われていたことがありますので、それを全て、テスターラインと呼んでいる完成検査工程の場所に集約して、そこですべての完成検査を行う体制を整えます。




そのために敷地を確保し、セキュリティゲートを設けて覆いをして、完成検査員でなければその場所に立ち入れない状態にすることを検討しています。こういったハード面を実施したうえで、チェック機能を強化していきます。いま検討している内容は、各工場のシフトごとに2回、完成検査工程が完成検査員のみで行われていることや、工程が届け出た状態に保たれていること、また作業が標準書通りであることを確認してまいります。これに加えて、外部の専門の監査機関に依頼して、当面の間週一回の監査を実施してまいります。




もうひとつは、届け出た完成検査工程が変更されていたことについては、我々が気がつかなかったというお話を申し上げましたが、そういった事態を避けるために、原則届け出た完成検査工程の変更を禁止して、どうしても必要な場合は工場長の決裁が必要というルールに変えていきます。




こういった内容を早急に講じて、皆様に説明し、国交省とも相談して、準備が整い次第、生産を再開することを、これから考えていきたいと思っております。






【西川廣人社長】




各工場に対し順次、山内が申した通りの段取りをして、稼働を止めて手当てして、準備・確認していきます。これは絶対に混在がないように、間違いがないようにしていきますので、慎重に進めたいと思っています。多少時間をかけていいと思っておりますので、我々の方での段取りが終わるのは、工場ごとにやっていきますので、2週間程度です。従ってその間は、正常な状態にはなりません。そのうえで、準備ができたところで、ものづくりの長であるCCOの山内と外部の監査機関で工場ごとに監査を行い、確認します。そのうえで、国交省の皆さんに監査のご確認をいただいて、再開するという段取りでやっていきたいと思います。




この実施にあたっては、我々が思っていることが現場に届かない、それが直接反映されなければなりませんから、生産部門の副社長、役員、工場長、部長、課長という階層で仕事していましたが、その視野を外して、緊急対応として、山内をヘッドとして各工場に直接指示する、その中で最も必要な係長を直接コントロール、指示するという体制を取ります。言ってみれば、習慣化したものを抜いていくという非常体制になると思いますが、そういう体制で山内が申したことを進めていき、皆さんから見て再開できるという状態の土台を作り上げていきたいと思っています。




皆さんの目から見て、「検査をやってはいけない人間が、やらなければいいだけの話だろう、簡単なことだろう」と思われるかもしれませんが、長年の中で常態化してきたこと、この癖を抜くためには、やはりこのくらいのことをしなければ何かが起きると、我々は身に染みて感じました。まずそれをやっていくということです。これが第一歩ということですね。




そのうえで、運営の中では、完成検査員が潤沢にいるということも非常に大事ですが、その要員配置を、かなりゆとりを持って配置したいと思っています。人数が足りないところは、稼働のスピードを落として負荷を下げて運営することも考えてまいります。




慎重に進めていきたいと思っておりますので、そういう形で進めながら、並行してできるだけ早く完成検査の資格を持つ作業者を増やしていき、さらにゆとりのある配置として、将来的に日常管理に戻してもまずそうではない人間が入り込まない状態を作り出そうと思っています。




これが、恒久対策ではない緊急対策の内容ですが、恒久対策としては、第三者の目を入れて、ご意見を伺いながら決めていきたいと思っていますが、その中では当然のことながら、出入りにITを使ったり、他社で検討されている指紋認証を検討します。




それから、検査員の育成のための仕組みを、それに要する期間を含め、現状に合ったアップデートが必要だと思っておりますので、ここは国交省の皆さんのご指示、ご指導をいただきながら、他社の事例も伺いながら、できるだけ現状に合ったものにしていきたいと思います。正確に何年とは言えませんが、20年以上変えてこなかった仕組みですので、より多くの検査員を早く育てていきたい。これを現場の運営の重要な要素として、ぜひ進めていきたいと思います。




これら現場レベルの対策に加え、経営側の宿題として、検査部門を含む日本の工場の現場、係長以上が指揮・運営する工場の母体といっていいと思いますが、係長以下と生産部門の役員、部課長との間のギャップ、これはコミュニケーションという面で見ると、指示の徹底ということにもなりますし、もう一つは彼らが抱えているもの、課題を正確に把握するということ、例えば要員が足りないのであれば適正にする、完成検査員教育プログラムのアップデートが必要と思っているならばそれをくみ取っていくという、基本的なコミュニケーションギャップを改善していきます。




こういうギャップは我々が想像した以上に大きいということで、実はまだ第三者を交えた聞き取り調査は終わっておりませんが、その中でここがかなり大きな問題ではないかと先生方から指摘されているところです。




これは、今回の検査の問題もありますが、さらに改善を図っていきます。もちろん日本のものづくりでは、現場の自立性、強さが基本ではありますが、それを管理する側がお任せでいいのかといえば、そうはいかないんですね。従ってこの部分は、どういう形でさらに前向きに改善していくのかということが、山内が申し上げた「がんじがらめから徐々に日常管理に戻していく」ということに加え、非常に大きなテーマだと私は認識しております。




その他の件については、第三者を含めた聞き取り確認をベースに、第三者を含めた対策、検討が完了しておりません。私も途中経過は聞いておりますが、まだまだ充分に調べきれていない部分がございますので、その部分の説明は、今日は差し控えさせていただきます。

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