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北海道でPower to Gas実証事業を開始へ!風力発電のポテンシャルを水素で最大化


NEDOと豊田通商、NTTファシリティーズ、川崎重工業、フレイン・エナジー、テクノバ、室蘭工業大学は、11月下旬から北海道で水素エネルギーのPower to Gas実証事業を開始する。気象条件で発電量が大きく変動する風力発電の利用率向上のため、その電力の一部を水素に変換するとともに、熱エネルギーとしても有効活用する新たなエネルギーシステムの実現とビジネスモデルの構築を目指す。

Power to Gasとは、電力を水の電気分解(水電解)を利用して水素やメタン等の気体燃料に変換し、貯蔵・利用する技術をいう。「PtG」と表すこともある。近年ではドイツを中心に実証試験が進められている。




今回、実証事業が始まるこの事業の正式名称は、「水素社会構築技術開発事業/水素エネルギーシステム技術開発/北海道に於ける再生可能エネルギー由来不安定電力の水素変換等による安定化・貯蔵・利用技術」である。9月29日、実証現場となる北海道苫前町の夕陽ヶ丘ウインドファーム・風来望で実証開始式を行なった。




1.概要


水素は、使用時に二酸化炭素(CO2)を排出しないこと、電気や熱など多様な利用が可能であることから、将来の二次エネルギーとして期待されている。さらに水素が有する環境性を最大化するためには、製造段階においてもCO2を発生しない、または最小化することが必要だが、再生可能エネルギーを利用した低CO2の水素製造は、効率面、コスト面で課題がある。




一方、導入が進む風力や太陽光などの再生可能エネルギーは、気象条件によって発電量が大きく変動すること、需給のアンバランスが発生することなどが、さらなる普及の拡大に向けた課題とされている。




そこで、本事業では、低CO2の水素を製造すると同時に、これからの再生可能エネルギーの利用拡大を見据えた課題を、水素を活用することにより解決するための技術開発を行なう。




具体的には、出力変動が大きな風力発電設備に対して、安定的に売電できる電力量を予測し、模擬的に売電することで、電力系統の安定化を図る。さらに、有効活用が難しい不安定電力を一旦水素に変換して輸送・貯蔵することにより、燃料として有効活用するシステム技術開発を実施する。




実証場所は、風力発電のポテンシャルが高い北海道の内でも、屈指の風力発電に適した苫前町にある町営の風力発電施設、夕陽ヶ丘ウインドファーム・風来望である。実証は2017年11月下旬より開始し、技術の確立・事業化の検討を進め、Power to Gasによるグリーンエネルギーの効率的な利用の実現を目指す。


 


2.実証内容について


NEDOと豊田通商、NTTファシリティーズ、川崎重工業、フレイン・エナジー、テクノバ、室蘭工業大学は、本事業を2015年2月に開始し、これまでにビジネスモデルの設定や実証試験の計画立案、各設備の設計・製作および試運転を通した各設備の性能検証を進めてきた。2017年11月下旬からは、苫前町の協力のもとですべての設備を稼働させ、一連のシステムとビジネスモデルの実証を行なう。




実証設備の動作の流れとしては、


まずは、NTTファシリティーズが開発した風力発電量予測システムで翌日の風況・発電量予測を行なう。


その情報をもとに、川崎重工業の制御システムを用いて安定的に供給できる電力量(安定電力)と水素製造に用いる不安定電力を計算し、同社開発の水電解装置を用いて水素を製造する。


次に、製造された水素を、フレイン・エナジーが開発した水素添加装置を使いトルエンと反応させ、MCH(メチルシクロヘキサン)を生成し、需要先に陸上輸送で配送する。


需要地で同社開発の脱水素装置によりMCHを水素とトルエンに分離し、水素とLPGを混焼ボイラーで熱利用する仕組みである。

各組織の役割分担


豊田通商株式会社:本実証の代表企業。事業性の分析や将来のビジネスプラン策定を担当




株式会社NTTファシリティーズ:風の予測を事前に行ない、風力発電装置の発電量を予測するシステムの開発を担当




川崎重工業株式会社:電力を用いて水素を製造する水電解装置の開発と運営を担当。


NTTファシリティーズとともに、システム全体の効率的な運用を行う制御装置(統合コントローラー)の開発と運営を担当




株式会社フレイン・エナジー:水素をトルエンと反応させ、MCHに変換する水素添加装置および脱水素装置の開発と運営を担当。水素を活用した混焼ボイラーの運用を担当




株式会社テクノバ:豊田通商とともに、事業性の分析やビジネスプラン策定を担当




国立大学法人室蘭工業大学:フレイン・エナジーとともに脱水素装置の性能を向上させるための脱水素触媒の開発を担当



今回の実証実験では、さまざまな技術を使い、風力発電の不安定さ、水素の持つ特性など、それぞれのメリット、デメリットを調和させ、効率的なエネルギー活用を可能にする技術を実証していく。なお、本実証事業では主に以下の項目について実証実験を行なう。




・風力発電量を予測するシステムの予測精度と、売電する電力量と水素製造にまわす電力量の最適配分を行う制御システムの検証


・変動の大きな風力発電電力に対する水電解装置の性能検証


・水素を輸送するために別の物質に変換するための装置(水素添加装置)や、必要な時に再び水素に戻す装置(脱水素装置)の性能検証


・本実証モデルの経済性検証

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