フランクフルト・ショーでもっとも華やかだったのがダイムラー。メルセデス・ベンツSクラスにクーペ&カブリオレを追加したほか、将来を見据えたスマートのコンセプトモデルなど、現在から未来まで様々なモデルを公開した。



REPORT◎山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

フランクフルト・ショーの主役は、もちろん地元ドイツの自動車メーカーだ。ここで紹介するダイムラーは、毎回フランクフルト・メッセのメインゲートに最も近いホールを独占し、ここからさまざまなトピックスを発信するのが恒例だが、今回ももちろん同様だった。



プレスデイ初日の朝に行われたプレス・コンファレンスで、まずステージへと登場したのは、先日メルセデス・ベンツSクラスにマイナーチェンジが行われたことを受けて、それまでの「S500e」の改良型として誕生した、PHEVの「S560e」だった。搭載エンジンは3ℓのV型6気筒ツインターボと変わらないが、最高出力はS500eのそれよりも34ps向上して、367psという数字がスペックシートに掲げられることになった。同時にトランスミッションも最新世代の9速AT=9Gトロニックに変更された。エレクトリックモーターの最高出力は122ps。リチウムイオンバッテリーも容量が13.5kWhへと拡大され、フルチャージからのゼロエミッション走行も最大50kmが可能になった。またSクラスに関しては、クーペとカブリオレもマイナーチェンジでニューモデルへと進化を果たしたことも、注目すべきトピックスのひとつだ。



smart vision EQ fortwo

続いてミュージカル風の演出で発表されたのは、スマートの「ヴィジョンEQフォーツー」だ。現在メルセデス・ベンツは、「コネクテッド」、「オートノマス」、「シェア」、「エレクトリック」を意味する「CASE」を企業戦略として掲げているが、このヴィジョンEQコンセプトは、まさにその究極的な例ともいえる。

 ステージ上に姿を現したヴィジョンEQコンセプトは、ダイナミックな曲線を使用したルーフやドアのデザインなどを特徴とする、実に斬新なデザインを持つものだった。ボディサイズは全長が2699mm、全幅と全高はそれぞれ1720mm、1535mmとコンパクトだが、キャビンはこの数字から想像する以上に余裕があり、またシンプルなデザインでまとめられている。



興味深いのは、やはりこのヴィジョンEQコンセプトが実用化された後のライフスタイルの変化だ。プレス・コンファレンスでもそれはもちろん強調され、最終的にはレベル5の完全自動運転が実現されるとともに、2025年までにはユーザー数が現在の約15倍に相当する、3670万人に達することが予想されるというカーシェアリングにも、ヴィジョンEQコンセプトは最適な存在であることをアピールした。

Concept EQA

昨年のパリ・サロンでSUVスタイルのコンセプトカー「ジェネレーションEQ」を世界初公開し、EVに特化したサブブランド、EQの誕生が宣言されたことは記憶に新しいが、フランクフルトでは、コンパクトなハッチバックボディを採用した「コンセプトEQA」が発表された。パワーユニットとして2基のエレクトリックモーターを搭載し、その最高出力はトータルで272ps。0→100km/h加速を5秒でこなす、魅力的な運動性能を発揮する。リチウムイオンバッテリーの容量は60kWh以上と発表されており、フルチャージから約400kmの航続距離を可能にしているという。EQからプロダクションモデルが登場するのはいつになるのか。早くもその期待が高まってきた。

GLC F-CELL

さらにメルセデス・ベンツからは、GLCベースのコンセプトカー「GLC F-CELL」も世界初公開された。F-CELLというネーミングからも分かるように、このモデルは水素を燃料とする燃料電池車だが、さらに13.8kWh分のリチウムイオンバッテリーを搭載し、それに外部充電を行うことを可能にしているのが特長だ。エレクトリックモーターは最高出力が200ps。フルチャージからのEV走行は最大で49kmとされ、これに燃料電池車としての437kmの最大航続距離が加わる。燃料電池車の普及に最も大きな問題となるのが、水素ステーションなどのインフラ整備であることは、良く知られているとおり。一方でEVは充電時間をどれほどに短縮できるのかが、これからの技術革新における大きな課題となっている。EVとFCVの両方の特長を併せ持つGLC F-CELL。メルセデス・ベンツは早ければ、2017年中にもそのセールスを開始する計画だという。





情報提供元:MotorFan
記事名:「 【フランクフルトモーターショー】ダイムラーが描く、多彩な未来へのアプローチ。