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第十五候「虹始見(にじはじめてあらわる)」は二十四節気「清明」の末候です


春の清々しい明るさの中に現れる虹はあっという間に消えてしまいそうな淡さを感じます。それはまだ太陽の光が弱いからかもしれません。「初虹(はつにじ)」という言葉があります。立春をすぎて現れる初めての虹をいうそうです。大気中の雨粒がプリズムとして働いてできる虹には太陽の光の強さが必要なのです。「虹が見える」とは冬の光が春に変わったということでもあるのですね。自然をみつめた昔の人々の感性を紐解くのは素敵なことだとあらためて感じます。


「虹が出てる!」教えたい、だれかに!「見て、虹よ!」って

ひとりで見ているだけではもったいない! だれかと、見知らぬ人でもいいからだれかと共有したい! 虹を見つけた時はそんな気持ちになりますね。立ち止まって向こうからやって来る人に「ほら、虹よ」と声をかけると、思わず振り返って顔を輝かせてくれると本当に嬉しくなってしまいます。先を急いでいる時でも足は止まってしまいますね。

むかし、昔、「立つ虹が人目につくように私たちの恋もひとに知られるほどになればいいのに」と歌ったひとがいました。

新しい元号「令和」の出典として今脚光を浴びている『万葉集』におさめられた「東歌」にある歌です。

「伊香保ろの 八尺(やさか)の堰塞(いで)に 立つ虹の 現はろまでも さ寝をさ寝てば」

場所は伊香保、そこの高い堤防の上にかかる虹のように、誰の目にもわかるほどあなたとの愛を重ねたい、なんと情熱的な恋しさの発露でしょう! 立つ虹にむかって叫ぶ声が聞こえてきます。現実にはなかなか会えない苦しい恋のようですね。

「東歌」は都からみて東国の地方の人々の歌を集めたもの。京の都のような洗練された文化にはない、素朴な人々の生活の中での心の声がそのまま歌になって千年を越えて私たちの胸に響きます。


虹が立つためには「雨」が降らねば!春は雨の季節でもあるのです

「春雨じゃ、濡れていこう」といったのは新国劇で有名な「月形半平太(つきがたはんぺいた)」です。舞妓に傘を差し掛けながら言うせりふですが、私たちも気取ってちょっと使ったりしていますよね。小雨にあってしまったけれど傘がない! ていう時などに気取ってそんなセリフを呟きながら雨の中へと足を踏みだせば雨もまた楽し! です。

虹が見えるために必要なのは「雨」です。天気がぐずつくことも多い春の雨にはいくつか名前がついています。降ったりやんだりする「春時雨(はるしぐれ)」や3日以上降り続く長雨を「春霖(しゅんりん)」といいます。どれもシトシトとふる穏やかなイメージです。

「春雨」というと麺の方を思い出す方も多いかもしれません。透明な白く細い麺は春の雨を連想させます。なんとも粋な命名! と拍手を送りたくなります。あったかいスープでいただく春雨は、思いの外冷えてしまう春の雨の日には嬉しいひと碗ですね。


空にかかる大きなアーチ「虹」に託したくなるのは何?

現代のポップスには「虹」をタイトルにしたもの、歌詞に「虹」が描かれたものがとても多く見受けられます。日々の暮らしの中に生まれる喜びや悲しみ。ほんのささいに見えても本人にとっては重大事! 迷い、悩み、時には間違えて傷つきながら重ねていくささやかな思いは、大きく空にかかる虹の向こうに託されていきます。虹の力ってすごいなぁと思います。春一番の「虹」に出会えたら大きなアーチに希望をのせてみませんか? 春のエネルギーがきっとあなたの希望を押し上げてくれますよ!

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