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第六十二候「熊蟄穴(くまあなにこもる)」厳しい季節のはじまりをつげています


師走も半ば。暖冬の予報が出され、12月に入って思わぬ温度の上昇に驚かされることもありましたが、季節は冬へ。熊が冬ごもりをする時期になりました。自然に生きる熊のようすを知ることは難しいですが、季節に体感とのずれを感じることの多い私たちにとって、暦が季節のながれを伝えてくれるのはありがたいことです。私たちは冬ごもりをするわけにはいきません、でも冬への支度の大切さを気づかせてくれます。今年も残りわずか! 冬支度を考えてみませんか?


12月13日は「煤払いの日」って知っていました?

江戸時代は12月13日が煤払いの日と定められており、江戸城をはじめとしていっせいに大掃除が行われていたということです。今でも全国の神社にはこの行事が伝えられ、この日に行う煤払いからお正月の準備が始まるということです。テレビのニュースなどでも伝えられていますね。冬の季語としても「煤払い」は残っています。

「ささ竹をふる宮人や煤払」 宗因

やはり冬支度の一番は大掃除かもしれません。新年を気持ちよく迎えるため、また心新たに前進するためともいえます。忙しい私たちは一気にする大掃除はなかなか取り組みにくいもの。暖かい日を選んですこしづつ今から行えば、年末に慌てずにすむかもしれません。家の中も心の中もさっぱりとする煤払い、小掃除から大掃除へ。心にも少しずつ余裕が生まれてくれば、新たな年の展望もひらけてくることでしょう。


「南天の実」は咳止めにきくって知っていました?

真っ赤な実がつく代表といえば南天があります。「難を転じて福と成す」という語呂合わせからでしょう、でも縁起がいいだけで昔の人が好んできたのではありません。

南天は古く『出雲国風土記』に記録がのこっています。「庭に植えることで火災を防ぐ」と藤原定家の日記『明月記』や江戸時代の書物『和漢三才図会』に書かれ、その効力が知られていたことがわかります。また葉や枝には下痢を止め、眠気を除き、筋肉を強くして気力を増すとその薬効も書かれています。南天の実に含まれる成分は咳に効くとしてのど飴になって販売され長く親しまれてもいますね。日本では古来から現代に至るまで南天の木の持つさまざまな力が認められていたことがわかります。

冬の日に緑の葉の中で真っ赤な実をつける南天の木は、効能もさることながら見た目の美しさでも縁起の良さを感じさせてくれます。お正月の飾りに使ってみたくなりませんか?

南天の実

南天の実


愛されキャラの熊のぬいぐるみは20世紀生まれ!?

本物の熊に出くわしたらこわいですが、ぬいぐるみの熊なら抱きしめたくなりますね。熊のぬいぐるみは「テディベア」と呼ばれ「熊のプーさん」「熊のパディントン」とどのキャラクターも人気です。「テディベア」の名前の由来は第26代アメリカ合衆国大統領セオドア・ルーズベルト。1902年秋、大統領は趣味の熊狩りに出かけましたが獲物は無し。最後に出くわしたのが瀕死の熊だったそうです。大統領は「瀕死の熊を撃つのはスポーツマン精神にもとる」として撃ちませんでした。これがワシントン・ポスト紙に挿絵入りで載り、これをもとにアメリカで熊のぬいぐるみが作られたのです。同じ頃ドイツでも熊のぬいぐるみが作られ販売されました。人気ですね! 熊のぬいぐるみを「テディベア」と呼びますが、ルーズベルト大統領の愛称「テディ」にちなんでということだそうです。

『クマのプーさん』は1926年に発表されたA・A・ミルンの児童小説。プーさんと一緒に登場するクリストファー・ロビンは作者ミルンの息子の名前です。愛する息子におもちゃのテディベアと二人で活躍する物語を語りたかったのではないでしょうか。今はディズニーのキャラクターとしても大人気です。

『くまのパディントン』は1958に出版されたマイケル・ボンドの作品です。当時パディントン駅の近くに住んでいたボンド氏は奥さんへのクリスマスの贈り物に小さなクマのぬいぐるみを買い「パディントン」と名づけました。パディントンの冒険の物語はたくさんの本になり映画にもなりました。

ミルン氏もボンド氏もイギリス人、テディベア好きなんですね。でもそこから広がる物語は子供向けだけでなく、大人が読んでも考えさせられるところが多く長く読み継がれているゆえんだと納得させられます。

大掃除の終わった部屋でゆっくりプーさんやパディントンの物語にひたるのも、ちょっとリラックスした冬ごもりになるかもしれませんよ。

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