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運動場でバーベキュー? アルコール? ──当世、運動会事情


来週10月8日(月曜)は体育の日。

そう、体育の日といえば運動会ですね! すみきった秋空の下、子どもたちは競技にダンスに応援合戦、保護者は早起きして場所取りした応援席で、わが子の晴れ姿にビデオをまわし、お昼には手尽くしのお弁当を広げ家族で楽しむ──そんな光景は、もう過去のものなのでしょうか?

昭和には「運動会といえば秋」というイメージがありましたが、平成に入ってからは5月から6月に行う学校が増えています。他にも、時代とともに運動会事情も変わりつつあるようです。平成の運動会も今年が最後。さて、今どきの運動会とは……?

朝から大忙しの一大イベント・運動会!

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「秋の運動会」のきっかけは、1964年の東京オリンピック

日本最初の運動会は、1874(明治7)年3月に東京・築地の海軍兵学寮(後の海軍兵学校)が開いた「競闘遊戯会」とされています。「国威発揚」「富国強兵」「健康増進」を目的として明治末期から社会的に広く普及し、1885年に初代文部大臣の森有礼(もり・ありのり)が小学校などでの運動会を奨励し、一気に広まりました。

明治前半の小学校の例を見ると、開催月はバラバラ。当時、子どもは農作業の貴重な労働力だったので、収穫が終わった秋に運動会を開催する小学校が徐々に増えたということです。

そんな流れの中、1964年に開催された東京オリンピックが、秋の運動会定着のきっかけになったといわれています。

東京オリンピックの開会式は10月10日。1966年に、この10月10日が国民の祝日である「体育の日」として制定されました。そのことから「スポーツの秋」という風潮が生まれ、「体育の日」前後に多くの学校や団体で運動会が開かれるようになったとされています。

現在の体育の日は、ハッピーマンデー法案によって、10月の第二月曜日になっていますね。また、次回東京オリンピックの開催される2020年より、「体育の日」は「スポーツの日」へと改名されることが決定しました。

子どもも親も興奮しますね?

子どもも親も興奮しますね?


「秋の運動会」が「春の運動会」になった理由

昭和60(1985)年には、全国で約7割の小学校が秋に運動会を開催していたのですが、ここ20年ほどで開催時期を9~10月から5~6月に前倒しする学校が急増しています。

【秋の運動会を5~6月に前倒しする理由】

・9月は残暑が厳しく、熱中症になりやすい

・春に比べて、秋は台風などが発生しやすく、日程調整が難しいため

・1学期に行うことで、年度の早いうちに、新しいクラスの結束を高めるため

・秋は遠足、修学旅行、文化祭、合唱コンクールなど行事が多いので、行事を分散化させるため

・2学期制を導入した学校では、秋開催では成績表作りや期末試験に重なるため

・中学受験、高校受験など受験を控える子どもを、秋から勉強に専念させるため

などが挙げられています。

俳句では「運動会」は秋の季語ですが、こうしてみると春に運動会移行した理由も納得ですね。


運動会なのに給食?

運動会のお昼といえば、校庭で保護者と子ども、おじいちゃん、おばあちゃん、親戚……などがお弁当を囲んで、にぎやかにみんなで食べる……というイメージがあります。

でも、最近では保護者が仕事などで来られなかったり、片親の家庭に配慮して、学校側で弁当を用意し、教室で食べさせるほか、普段通りに給食を出す学校も多くなったようです。

また、競技内容についても、徒競走などで「順位」をつける、つけないという議論がありました。

その議論によって、「速い・普通・遅い」というグループを作って競争したり、個人の順位がはっきりする競技を極力減らす対応を取った学校が増え、さらには、玉入れ、つな引き、ダンスなどチームで優劣を競う競技を多くするよう競技内容にも変化が! あるいは、個人戦を避ける幼稚園、小学校も増えたようです。こうした流れから、順位をつけずに、みんな一緒に手をつないでゴールインする「手つなぎゴール」が話題になったこともありましたね。

また、危険がともなうという理由から、組み体操や騎馬戦の廃止や縮小する学校や、転倒して骨折のおそれがある「ムカデ競走」、二人で息を合わせて走る「二人三脚」も、最近ではあまり見られなくなりました。

背景には、子どもの体力が落ち、運動する子としない子に二極化していることから、以前にも増して安全に気を配る傾向が強まったようです。

運動会のお楽しみですよね?

運動会のお楽しみですよね?


テントにビール、バーベキュー……運動会のフェス化

子どもたちの競技だけでなく、運動会が終わった校庭には、ビールの空き缶やタバコの吸殻、ゴミのポイ捨て……と、「保護者マナー」も大きな問題になっているようです。

他にも、シートの場所をめぐり親同士でトラブル、徒競走の結果にクレームなど、ひと昔前なら考えられないことも起きているようです。 これは実際にあった話ですが、スタートからゴールインまでのわが子の撮影ビデオを親が審判に見せて、結果を覆したということも……。本当に驚きですね。

さらに、保護者が簡易テントを持ち込み、校庭にずらっと並ぶテントは音楽フェスあるいは、難民キャンプのようだとか。またテントを「紫外線・熱中症対策になるのであれば」と許可している学校もあるようです。

そうして、テーブルを持ち込んでバーベキューに酒盛り……!? 盛り上がる気持ちはわかりますが、えっ? ここ、学校なんですけど……。


外で元気に遊ぶイメージから遠い存在になってしまった子どもたち?

かつて運動会は、子どもを学校に通わせていないおとなも含め、学校を中心とした地域社会の連帯を強化する働きがありました。運動会に積極的に参加することで、地元や隣近所と親しいつき合いができたのですね。

ところが、最近の運動会はセキュリティ対策を一段と強化しています。受付で氏名、住所、来訪理由などを厳しくチェックされ、近所に住んでいるから、卒業生だから……という感じで、ふらっと入ることは許されません。防犯カメラを設置している学校もあり、こんなところにも、時代の移り変わりを感じさせられますね。

学校行事としての運動会の目的は、連帯感・協力・調和・団結力などを養うこと。パソコン、スマホ、SNS、デジタル、バーチャル……な現代では、もはや子どもたちも外で元気に遊ぶイメージから遠い存在になっているようです。

とはいえ、子どもたちが練習を重ね、学校がスポーツでひとつになる「運動会」は、一年に一度の貴重なイベント。

子どもたちが一緒に汗を流す、応援する、力を合わせる……そんな一日を、おとなも一緒に楽しみ、応援したいですね。

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