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晦日正月の頃は三寒四温――俳句歳時記を楽しむ


太陽暦の1月31日は「晦日正月(みそかしょうがつ)」とも言われます。地方によっては正月の終わりの日として祝ったりします。晦日正月を過ぎればすぐに立春。今年は場所によってはあたたかい気温の日もありますが、まだまだ寒さは続きます。まさに三寒四温のこの頃を表す俳句をご紹介しましょう。


三寒の四温を待てる机かな

晦日正月には、年越しそばをこの日に食べたり、団子をつくって家の戸口に挿す晦日団子の習慣があったり、年始回りに行けなかった親戚を訪問する風習が残る地方もあるようです。正月の締めくくりとして、改めて1月にやり残したことを終わらせるのも良いですね。暖かくなったり寒くなったり、気温差も激しいので、まめに着るものに気を付けて、風邪をひかないよう心がけたいものです。

冬から春先にかけて、三日ほど寒い日が続くかと思うと、四日ほど暖かい日が続き、これが繰り返されて、春に近づいてゆく。これが三寒四温です。もともとは朝鮮半島や中国東北部にみられる気象現象で、現在では、天気予報や日常の挨拶にも用いられるようになりました。三寒、四温、あるいは四温日和としても、季語に使われます。



・三寒四温ゆゑ人の世の面白し    大橋越央子

・三寒の四温を待てる机かな     石川桂郎

・電柱の四温の影を伸ばしけり    片山由美子


雪深くなりつつ山居日脚伸ぶ

晩冬の時候を表す季語は三寒四温のほかにも、厳冬、冬深し、冬尽く、日脚伸ぶ、春待つ、春隣などがあります。同じ真冬の厳寒の頃でも、「春」「日」「温」などの字が入ると、まさに春の一歩手前の、新しい季節を待つ心地を切実に感じます。



・雪深くなりつつ山居日脚伸ぶ      大橋桜披子

・よきことの一つ日脚の伸びしこと    京極杞陽

・こころまづ動きて日脚伸びにけり    綾部仁喜

・一吹雪春の隣となりにけり       前田普羅

・銀鼠色の夜空も春隣          飯田龍太

・産科とふ名札はたのし春隣       中村汀女

・少年を枝にとまらせ春待つ木      西東三鬼

・時ものを解決するや春を待つ      高浜虚子



困ったこと、悲しいことが起きても、時が物事を解決する。つらい冬を乗り越えつつ春を待つ。自然の摂理とひとびとの精神を重ねた秀句を眺めつつ、節分や立春を迎えることにいたしましょう。



<句の引用と参考文献>

『読んでわかる俳句 日本の歳時記 冬・新年』小学館

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