starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

【阪神】村上頌樹の1球 甲子園初勝利のポイントになった「スローカーブ」


投手指名でリラックスした表情を見せる阪神村上(撮影・上山淳一)

虎を深掘り。<2>

「虎を深掘り。」の第2回は今年の甲子園初勝利のポイントになった「村上の1球」を掘り下げます。

9日の広島戦で村上頌樹投手(25)は7回無失点と好投。緊迫感あふれるピンチで投げた5回の「スローカーブ」に重要な意味がありました。坂本誠志郎捕手(30)の視点で振り返ります。16日は巨人3連戦の先陣を切り、智弁学園(奈良)の先輩で好調の4番岡本和斬りで勝利を導く意気込みです。【取材・構成=柏原誠】

   ◇   ◇   ◇

今季初の甲子園は阪神村上と広島床田の息詰まる投手戦になった。0-0の5回、阪神は2死二塁のピンチを迎えた。打席には球界屈指の「くせ者」菊池が入った。次打者は投手の床田だ。菊池を歩かせて、床田で勝負という選択肢も当然考えられた。だが、マウンドに集まったナインに、捕手坂本は伝えた。「菊池さんで勝負したい」。

床田は投手だが昨年11安打も放っている。それでも、菊池とは比べるべくもない。なぜ「菊池と勝負」の断を下したのか。坂本の決断に、ベンチからも反対や指示は出なかった。

坂本 もし菊池さんに打たれても1点。でも歩かせて(床田に)つながれたら2点、3点になる可能性がある。先に点を取られても「1点」だけなら、まだチャンスがある。後半まで試合が続くと思いました。

まだ5回だ。でも、確実にロースコアの試合になる。総合的判断で、菊池を抑えにいった。秘めたプランがあった。村上が時折投げる「スローカーブ」だ。100キロ前後で制球もできる。菊池の最初の打席では見せていない。坂本は使うタイミングを探っていた。

初球は外角直球を見逃し。2球目は低いチェンジアップ(フォークの握りの落ちる球)を空振り。すぐに追い込んだ。ただ、菊池はここからが一筋縄ではいかない。3球目は外角に外す直球。4球目は厳しい内角直球を投げ込んだが、引っかけてボール。カウント2-2となり、坂本はついにカーブのサインを出した。99キロの遅球に菊池は反応しなかった。低めに大きく外れてボールになった。

坂本 あそこでカーブをいけたことが一番大きかった。ボールでしたが、あれで全然いい。菊池さんは1度空振りしているチェンジアップもマークしている。もう1回、直球が来るかもしれない。前の打席はカットボールで凡打。カーブもある。考えることが増えたと思う。ほかの球を生かすためのカーブでした。2分の1にはしたくなかった。

緩い球も拾える菊池に対しては勇気もいったが、選択肢を増やしたことで強振は難しいとの確信があった。ここまで5球の反応を観察した上で、最終球に選んだのはチェンジアップ。村上はしっかり低めに落として空振りを奪った。

村上は「自分も(菊池で)勝負するつもりだった。うまく、いい高さにいってくれた」と振り返った。

阪神はその裏に近本の一打で1点を先制。これが決勝打になった。村上は7回まで投げて無失点。ゲラ、岩崎が抑えて1-0で勝利した。開幕から打線が振るわず、スコアが示すように打ち勝つような試合運びは現実的ではない。チーム状況や試合の流れという“大局”と、対打者の細かい策略。わずかな時間で確率をはじき出し、実行したバッテリーの勝利でもあった。

    Loading...
    アクセスランキング
    starthome_osusumegame_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.