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KaizenPF Research Memo(1):顧客企業の課題解決に貢献するDXアクセラレーションパートナー


*17:01JST KaizenPF Research Memo(1):顧客企業の課題解決に貢献するDXアクセラレーションパートナー ■要約

Kaizen Platform<4170>は、ミッションに「KAIZEN the World なめらかな働き方で世界をカイゼンする」を掲げ、DX(Digital transformation)を通じて世界をカイゼンし、社会課題を解決することを目指している。SaaSとコンサルティングとプロフェッショナルサービスを組み合わせることで、顧客企業のDX課題解決や社会課題解決に貢献するDXアクセラレーションパートナーである。

1. 顧客体験DXで企業課題のカイゼンを支援する「KAIZEN PLATFORM」サービス
顧客体験DXで企業課題のカイゼンを支援する「KAIZEN PLATFORM」サービスとして、デジタルマーケティング分野を中心に動画ソリューション、UX(User Experience=顧客体験)/DXソリューションを展開し、M&Aによって子会社化した(株)ディーゼロのWebサイト制作・改善事業と(株)ハイウェルのSES(System Engineering Service=技術者派遣)事業も加えた。攻めのDXを加速するパートナーとして、顧客のKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)改善やDXのROI(Return On Investment=投資収益率)向上を実現する「顧客体験DX」を提供している。なお2023年12月期よりセグメント区分を変更し、グロース(従来のUX/DXソリューションのうちディーゼロを含むWebサイト制作・改善及びCRM改善、集客改善の動画ソリューション)と、トランスフォーメーション(従来のUX/DXソリューションのうちDXに関するコンサルティング及びIT開発、ハイウェルのSES事業)の2区分とした。組織も顧客課題に合わせた体制に再編し、上流(コンサルティング)から入り下流(制作・BPO・SES)で稼ぐ体制とした。

2. グロースハッカー(成長請負人)ネットワークを活用したビジネスモデルが特徴
同社の「KAIZEN PLATFORM」サービスのビジネスモデルは、プラットフォーム上でグロースハッカー(Webサイトの効果や収益を高め、企業やサービスを成長させる施策を行う成長請負人)と呼ぶデジタル専門人材のネットワークを活用していることを特徴・強みとしている。顧客の課題やニーズを踏まえて、同社従業員のPM(プロジェクトマネジメント)の下、最適なグロースハッカーのチームを組成して顧客の課題解決に取り組む。グロースハッカーネットワークには様々な領域のクリエイターやエンジニアなどが在籍しており、それぞれの専門領域や得意分野に基づいて役割を割り当て、フルリモートでプロジェクトを進める。過去に実施してきた1,200社超、5万件超の豊富な改善事例とデータも最大限活用して、プラットフォームを通じてフィードバックしながら改善を進めている。プラットフォーム上にソフトウェアも人材もデータもすべて揃っているため実行スピードとノウハウに優れており、顧客企業から見ると、現場のビジネス部門主導でスピーディに必要な施策を実行し、リードタイムやコストを抑えながらUXの改善やDXの実現が可能になるというメリットがある。

3. 2023年12月期は営業損失縮小、EBITDA大幅増益
2023年12月期の連結業績は、売上高が前期比62.8%増の4,343百万円、営業損失が25百万円(前期は102百万円の損失)、経常利益が11百万円(同127百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が21百万円(同285百万円の損失)、EBITDA(=営業利益+減価償却費+のれん償却額+株式報酬費用)は前期比51.3%増の239百万円と大幅増益だった。期中に予想を下方修正したが、結果的には売上高、利益とも修正予想を上回る水準で着地した。既存事業において大手顧客を中心に受注を順調に獲得し、ハイウェルの新規連結も寄与して大幅増収となった。営業利益は、集客改善(従来の動画ソリューション)におけるクライアントポートフォリオの見直しなど戦略転換の影響により損失が継続したが、前期比では大幅増収効果で損失が縮小した。経常利益は小幅ながら黒字に転換した。営業損失が縮小したことに加え、営業外収益で保険解約返戻金を計上したことも寄与した。親会社株主に帰属する当期純利益は損失が大幅に縮小した。特別損失で前期計上した減損損失が剥落したことが寄与した。なお四半期別の営業利益は第1四半期が33百万円の損失、第2四半期が51百万円の損失、第3四半期が10百万円の利益、第4四半期が48百万円の利益だった。集客改善におけるターンアラウンドが完了し、第3四半期より営業黒字基調となった。

4. 2024年12月期は営業黒字転換、EBITDA増益予想。会社予想は保守的
2024年12月期の連結業績は、売上高が前期比3.6%増の4,500百万円、営業利益が10百万円(前期は25百万円の損失)、経常利益が0百万円(同11百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失が30百万円(同21百万円の損失)、EBITDAは前期比4.5%増の250百万円を見込んでいる。成長戦略加速に向けて人材拡充などの先行投資を継続するが、クロスセル・アップセル戦略を推進して小幅ながら増収、営業黒字転換、EBITDA増益予想としている。なお会社予想は、子会社化したハイウェルの統合効果がやや遅れていること、コンサルティング案件の要件定義に係る期間が長期化していることなど不透明感を考慮していることに加え、成長に向けた基盤固めの1年と位置付けて保守的な予想である。また第1四半期は人材拡充に伴うコスト増加の影響で営業損失を見込んでいる。ただしDX市場の拡大で事業環境が良好であり、集客改善におけるターンアラウンドが完了して営業黒字基調となっていることなども勘案すれば、通期ベースでは会社予想は上振れの可能性が高いと弊社では考えている。

5. 中長期的な目標は営業利益率15%以上
同社は中期経営計画を具体的に公表していないが、中長期的な目標として営業利益率15%以上を掲げている。成長戦略としては、DX市場の中でも特に成長性の高いマーケティング・カスタマーサービス分野をコアターゲットとして、グループシナジーやクロスセル・アップセル戦略により、大企業向けを中心にリカーリング売上拡大とARPU(Average Revenue Per User=1ユーザー当たりの平均収益)向上を加速させる方針である。顧客企業にとってDXの最大のボトルネックは人材不足だが、同社にはプラットフォーム上で専門スキルを持った1万人超のグロースハッカーネットワークを構築している強みがある。さらに今後はChatGPTやGPT-4など生成AIの活用が求められるためAI人材育成プログラムを開発した。成長する市場において、今後もプラットフォーマーとしてのポジションをより強固なものにするため、新領域でのM&A・アライアンスも含めた積極投資を行い、DXソリューションにおけるEMS(製造受託)への進化も目指す方針だ。

■Key Points
・顧客体験DXで企業課題のカイゼンを支援する「KAIZEN PLATFORM」サービスを提供
・2023年12月期は営業赤字縮小、EBITDA大幅増益
・2024年12月期は営業黒字転換、EBITDA増益予想。会社予想は保守的
・グループシナジーやクロスセル・アップセル戦略でARPU向上を目指す
・中長期成長ポテンシャル大きい、ARPU向上戦略の進捗に注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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