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アンジェス Research Memo(8):遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す(2)


■アンジェス<4563>の中期経営計画

3. 新規事業領域への展開
「次の10年」を見据えた新規事業の展開にも取り組んでいく方針で、以下の領域において資本提携先との協業も進めながら事業化を目指している。

(1) 遺伝子診断事業
2019年8月に資本出資したイスラエルのBarcodeが持つ遺伝子診断技術※を用いて、がん患者一人ひとりに最も有効な抗がん剤を選択する診断技術の早期実用化に取り組んでいく。現在は複数の抗がん剤の中から患者に合うと思われる抗がん剤を臨床データや患者の状態などから医師が判断して投与するが、第一選択薬で効果が見られず別の抗がん剤を投与するケースもある。遺伝子解析を行うことでより最適な抗がん剤の選択が可能となれば、患者負担が軽減するだけでなく医療費の削減にも寄与することになる。

※Barcodeの診断技術は、患者に有効性が期待できる抗がん剤とDNAバーコードを封入したリポソームを複数製造し、多種類の抗がん剤をごく少量ずつ一度に患者に投与したのち、DNAバーコード量を測定することで、個々の患者に有効な抗がん剤を特定するというもの。マウスを使った実験で特定できることが確認されており、将来的に乳がん患者を対象とした臨床試験の実施を目指している。


同社は2020年2月に公益財団法人がん研究会と共同研究契約を締結し、早期の実用化に向けて協力していくことを発表している。がん研究会は、がんの新しい診断・治療法の開発において国際的にも評価の高い研究機関であり、がん細胞に対する抗がん剤の有効性データも数多く蓄積している。今後、Barcodeの診断技術の評価を行うとともに、実用化に向けた実験的検討を進めていく予定となっている。

また、遺伝子診断については、新生児の難病や希少疾患の早期診断にも取り組んでいく予定にしている。早期診断で疾患が判明すれば、有効な治療を早期に行うことが可能となり、治癒率の向上が期待できることになる。

(2) ゲノム編集技術を用いた遺伝子治療薬の開発
同社は2019年3月にイスラエルを拠点とする米国のEmendo※に出資した。Emendoは安全性が高く標的選定の自由度が高いゲノム編集技術「OMNI(オムニ)」を開発し、重症の遺伝子疾患やがん疾患などの創薬開発に取り組んでいるバイオベンチャーで、今後、Emendoが開発を進めている難治性の遺伝子疾患治療用製品の導入や共同開発を進めていくことを目的としている。2020年1月に追加出資し、持分法適用関連会社としており、2020年6月にさらに株式を取得し、出資比率を約32%まで引き上げる予定となっている。

※Emendoは先進のゲノム編集技術を用いて重症疾患の遺伝子薬と細胞療法を開発するバイオベンチャーで2015年に設立された。


遺伝子治療薬の製法には、「コラテジェン」のように遺伝子導入のベクターとしてプラスミドを用いたもの、人に対して無害なウイルス(アデノウイルス、センダイウイルスなど)をベクターとして用いたもの、ゲノム編集技術を用いたものと大きく3つの方式があり、このうちゲノム編集技術を用いた遺伝子治療薬に関してはまだ世界でも上市実績がない。

従来のゲノム編集では、特定の塩基配列(ターゲット配列)のみを切断することによって、標的とする遺伝子を改変するが、類似の部位を誤って切断してしまうこと(オフターゲット効果)で生じる標的以外の遺伝子の変化が、安全性の面で大きな問題となっていた。EmendoのOMNI技術では、特定の塩基配列のみを切断する高精度なDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)の開発を行っており、これにより安全性の高いゲノム編集が行えるだけでなく、類似した配列の制限を受けることなく、自由に標的配列の選択が可能になるといったメリットが期待でき、ゲノム創薬の開発効率向上に寄与する技術として同社では高く評価している。

Emendoが現在進めている開発パイプラインのうち、遺伝子疾患を対象としたものが複数品目あり、その中から共同開発を行う品目を選定すべく、協議を進めていく予定となっている。

(3) マイクロバイオーム事業
マイクロバイオーム※を用いた医薬品の研究開発が世界的に注目を集めており、同社も同領域のパイオニア企業であるMyBioticsと2018年7月に資本提携し、事業化の可能性を探索している。MyBioticsは現在、婦人科系の治療薬について欧州の大手製薬企業とライセンス契約を締結し、製品開発を進めているほか、感染症等の治療薬についての開発も進めている。

※体内の微生物の生態系であるマイクロバイオーム(微生物叢)の働きを活用して、医薬品や健康食品、サプリメント等の製品開発を行う。2018年7月に同領域のパイオニアであるMyBioticsと資本提携を結び、事業化の可能性を検討している。


マイクロバイオームの働きは精神疾患に関係しているとの研究報告があるほか、健康食品やサプリメントとして開発が進む可能性があるなど潜在的な成長性は大きい。同社も将来的にセルフメディケーションにつながる可能性のある事業として注目しており、2020年内に具体的な開発の方向性を決定する方針としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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