■中長期の成長戦略

少子高齢化により生産人口の急速な減少は、長時間労働による労働者の過労死の増加を招きかねない。厚生労働省は、2016年に初めて発行した「過労死白書」において職場環境の改善や働き方の見直しを訴えた。人手不足が共通した事業運営の最大のリスク要因となってきており、従業員のリテンションと新規採用のため企業は「働き方改革」による労働時間短縮に取り組んでいる。しかし、働き方改革は手段であって、目的は従業員のエンゲージメントを高め、1人当たりの生産性を向上させることにある。国策もあり、企業が目下取り組むべき課題は、1)同一労働同一賃金、2)健康経営(人生100年時代)、3)ガバナンス強化、4)ホワイトカラーの生産性向上である。ベネフィット・ワン<2412>は、同一労働同一賃金には福利厚生「ベネフィット・ステーション」を、健康経営には新健康ポイントサービスを、ガバナンス強化には会食予約・BTMサービスを、ホワイトカラーの生産性向上にはHRプラットフォーム(BPO)とBPO事業を通じて企業の抱える課題解決に大きく寄与する。

1. 人手不足 − 有効求人倍率は44年ぶりの高水準
日本の生産年齢人口(15~64歳)は、ピークとなる1995年の8,716万人から2015年には7,708万人まで減少した。8,000万人割れは、32年ぶりである。総務省の将来人口推計(平成29年推計、出生中位・死亡中位)によると、生産年齢人口は、2020年に7,406万人、2025年に7,170万人、2030年に6,875万人へと減少の一途をたどる。生産年齢は、年間50万人を超えるペースで減少しており、2020年までに300万人以上減少すると推計されている。

2017年度の平均有効求人倍率は、前年度比0.15ポイント増の1.54倍と8年連続して上昇し、44年ぶりの高水準となった。2018年3月の有効求人倍率は1.59倍であった。正社員の1.08倍は、2004年11月の調査開始以来最高の水準。同月の完全失業率は2.5%と24年ぶりの低水準であった。両指標は、労働需給の逼迫状況を示している。

就職情報サイト「リクナビ」の調べによると、5月1日時点における2019年3月卒業予定の大学生の就職内定率は42.8%、前年同月比7.7ポイント高かった。人手不足を背景に、企業が優秀な人材を獲得しようと早期に囲い込む傾向が鮮明になっている。

かつて大企業が自前の福利厚生施設を所有していた時代は“ぜいたく品”であった福利厚生サービスが、現在はあって当たり前の“必需品”となりつつある。他社並みの福利厚生サービスがなければ、新卒採用に際してハンディとなりかねない。

労働市場が逼迫しているため、新たに従業員を採用することと同様に、優秀な人材を自社に確保し、流失を防ぐためのリテンションが重要になる。リテンションには、ワーク・ライフ・バランスへの配慮や労働環境の改善、昇給、昇進だけでなく、ボーナスやインセンティブが有効になる。営業職や系列代理店への報酬としてもインセンティブの付与が有効になる。また、若い世代は自己成長への関心が高く、教育制度の重要性が増している。


「同一労働同一賃金」で非正規2,000万人超が潜在顧客に
2. 同一労働同一賃金 − 非正規と中小企業正規従業員の福利厚生需要が顕在化へ
2017年3月に、安倍首相自らが議長を務める働き方改革実現会議において「働き方改革実行計画」が決定された。当初の働き方改革は、新入社員の過労自殺が社会的問題となっており、長時間労働の是正が最優先された。発表された働き方改革実行計画にも、罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正が盛り込まれた。企業による労働時間短縮の動きが活発化したことから、今後の取り組みは同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善と労働生産性の向上に移る。

働き方改革実行計画は、同一労働同一賃金を賃金だけでなく、福利厚生、キャリア形成・能力開発などを含めた取り組みが必要であるとしている。2019年までに、福利厚生の範囲が非正規雇用従業員まで拡大するとみられ、同社においても引合いが増加している。

総務省「労働力調査」によると、2018年3月の就業者数は6,620万人と63ヶ月連続して増加した。雇用者数も63ヵ月連続増加して5,872万人に達した。正規の職員・従業員は前年同月比41万人増の3,417万人へ、非正規雇用者は同113万人増の2,111万人と2,000万人超となった。正規、非正規を問わず福利厚生サービスが受けられるように義務付けられると、市場には約2,000万人の潜在需要が追加されることになる。

同社の福利厚生サービスに加入している非正規雇用者は36万人になる。既存会員企業の非正規労働者で未加入者142万人への横展開を進め、約30%の会員増を図る。さらに、同一労働同一賃金により、1,933万人の未開拓市場の開拓を進める。2018年4月時点の福利厚生会員475万人に対し、潜在需要は実に4.4倍の大きさに相当する。

3. 健康経営 −「健康経営銘柄2018」と「健康経営優良法人2018(ホワイト500)」のダブル選定
同社は、経済産業省と東証が共同で選出する「健康経営銘柄2018」に選定された。また、経済産業省と日本健康会議が選出する、保険者と連携して優良な健康経営を行う企業「健康経営優良法人2018(ホワイト500)」に同社と(株)ベネフィットワン・ヘルスケアの2社が選定された。同社は、2017年より「健康経営宣言」を掲げ、ヘルスケアサービスのプログラムをフル活用し、グループを挙げて健康経営を推進してきた。同社グループ企業がダブルで健康経営の選定をされたことは、健康経営を推進しようとしている企業向けに営業上強くアピールできる。

同社は、ベネフィット・ステーションの「福利厚生」、健診サービスや保健指導、メンタルヘルスなど疾病予防のワンストップサービスとなる「健康」、そして「健康ポイント」の3つのサービスを総合的に提供できることを差別化要因としている。中央官庁は、これらのサービスの窓口を一本化し1つのベンダーに絞り込む傾向があり、同社は同市場を牽引している。2018年秋からは、「福利厚生×健康×ポイント」の強みを生かし一体化したサービスを従来のベネフィット・ステーションに代わる基幹商品として販売していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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情報提供元:FISCO
記事名:「ベネ・ワン Research Memo(5):「働き方改革」から「経営改革」へ課題解決をサポート