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Jトラスト Research Memo(5):GLとの関係解消の影響が不確定要因


■今後の見通し

1. 2018年3月期の業績見通し
Jトラスト<8508>では、2017年3月期までに収益拡大のための基礎固めを終え、2018年3月期には営業利益10,000百万円の達成、IFRSの任意適用及び東証1部指定申請の3つを目標としている。営業利益の10,000百万円は保守的な数字であり、2014年3月期の過去最高益13,745百万円(日本基準)を上回ることも展望している。IFRSの任意適用については、既に2018年3月期第1四半期より移行したが、これによって今後は従来以上に積極的にM&Aを実施できるようになるなどメリットは多い。また、東証1部指定申請については、海外事業会社が多いこともあって当初の想定より時間がかかっているが、重点事項として取り組んでおり、2018年3月期中の実現を目指している。同社では、2018年3月期中にはこれら3つの目標を達成することにより、持続的かつ大きな成長へ向けて再スタートを切りたいと考えている。

以上から、2018年3月期通期の連結業績は、IFRSベースの営業収益89,490百万円、営業利益10,058百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益8,137百万円の予想である。既に見たとおり、上期の営業利益は4,187百万円で通期予想の41.6%であったが、通期の予想は据え置いている。ただ、下期に入り、同社グループが保有や出資を行うGLの株価の大幅に下落しており、同社の通期の業績及び今後の投資方針に大きな影響を与えると考えられる。

同社グループではGLの事業展開を支援するために転換社債の引き受け等を行っており、市場で株式の買い付けを進めた結果、直近で普通株式122,163,100株(持株比率は8.01%)、転換社債180百万USドルを保有している。また、GLFIにも20%出資している。ただ、GLの前CEOが偽計及び不正行為の可能性により当局から調査を受けることから、10月以降、GL株価は大幅下落している(9月末の23.4バーツから、11月13日現在で7.15バーツに低下)。これに対して、同社では、具体的な対応を確定するための努力を続けてきたが、GLとの間で何らの合意に至らなかったことから、GLに対して関係の円満な解消を提案している。その中で、同社のGLに対する投資の全額の返済と保全を求めており、11月30日付で、同社グループが保有する転換社債の契約を解消し、直ちに返済するよう求める通知を発出した。また、インドネシアにおける事業に関しては、同社による引取りを提案している。同社は引き続き、円満な合意形成に向けて努力を続ける意向である。本件に関しての最終決着は未定であるが、2018年3月期の同社投資事業に影響を与える可能性がある。

2. 事業別の見通し
2018年3月期のセグメント収益・利益予想(IFRSベース)を見ると、国内金融事業では営業収益10,721百万円(前期比9.4%増)、営業利益4,648百万円(同15.5%減)を見込む。上期の営業利益は2,488百万円と通期計画の53.5%を達成し、今後も継続して安定的に利益貢献する見通しである。

韓国金融事業では営業収益34,123百万円(前期比22.3%増)、営業利益3,260百万円(同8.7%増)を予想する。前期まで続いた負ののれんの影響がほぼなくなり、実力値が営業利益に反映されるようになる見通しだ。上期の営業利益は2,449百万円と通期計画の75.1%を達成する好スタートを切った。

東南アジア金融事業では営業収益16,783百万円(前期比18.2%増)、営業利益は2,457百万円への黒字転換を見込む。過去の負の遺産に対する一過性の貸倒引当金もなくなり、今後は事業の実力が試されることになる。上期の営業損失は256百万円にとどまり、損失幅は大きく縮小したものの、通期計画に比べ出遅れる結果になった。しかし、同事業の利益は下期に偏る計画であり、銀行と債権回収の両事業で目標達成を目指している。

投資事業では営業収益2,773百万円(前期比4.4%増)、営業利益は2,541百万円への黒字転換を予想する。ただし、前述のとおり、GL株価下落の影響から、下期に損失計上を余儀なくされる可能性がある。

非金融事業では営業収益24,518百万円(前期比11.4%増)、営業利益833百万円(同66.6%増)を計画する。不動産事業及び総合エンターテインメント事業の利益が増加する予想である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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