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空き家対策で増える「0円物件」 仲介なく、トラブルの懸念も


 土地や建物を無償で譲渡する「0円物件」が増えている。人口減少の影響で空き家が増える中、解体費用や固定資産税を払うよりも無償で譲渡したほうが安くつくケースがあるからだ。ただ、こうした物件はトラブルも多いという。なぜなのか。

 「2万人都市の繁華街にある3階建てビル一棟まるごと、価格0円」

 「築100年以上の囲炉裏付き古民家が0円」

 無償譲渡物件のマッチングを支援するウェブサイト「みんなの0円物件」には、こんな売り文句とともに土地や建物の情報が数多く掲載されている。掲載は無料だが、サイトはあくまで情報を載せるだけで不動産の仲介はしていない。

 運営会社の中村領代表(46)によると、サイトを開設した2019年は、掲載物件が年間50件ほどしかなかった。しかし、最近はうなぎ登りに増えており、月60~70件ほどの掲載希望があるという。掲載した物件数は累計で1600件を超える。

 中村さんがサイトを開設したのは自らの経験がきっかけだ。相続した祖父母の自宅を処分しようと見積もりを取ると、土地の売却収入よりも家屋の解体費用などの方が高かった。

 結果的に、その物件を使って店を始めたいという人に土地・建物を無償譲渡することができ、同じようなニーズを持つ人が多いと考えたという。

管理不全の空き家は「税の減免なし」

 総務省の「住宅・土地統計調査」によると、18年時点で「居住目的のない空き家」は349万戸で20年前の約1・9倍。国土交通省は30年に約470万戸まで増えると推計する。

 空き家を放置すると倒壊や衛生環境の悪化などを招きかねないため、国は23年12月に改正空き家対策特別措置法を施行した。従来、住宅用の土地は固定資産税が減免されているが、管理が行き届かない空き家については対象外にした。

 この結果、こうした空き家は固定資産税が増えることになるため、空き家の活用が促進されて「0円物件」はさらに増える可能性がある。

 一方でリスクもある。無償譲渡は金銭のやりとりが発生しないため、不動産仲介業者が入ることがない。建物の損傷が激しかったり、設備が劣化していたりして想定以上にリフォームなどの費用がかかっても、当事者同士で解決するしかない。

 郊外の分譲地を調査しているユーチューバー・吉川祐介さん(43)も同様の経験をした。ある自治体の空き家バンクを通じて空き家を無償で譲り受けようとしたが、建物の所有者が故人で、相続も未登記だった。所有権の移転登記ができず、賃貸契約すら結べなかったという。

 吉川さんは「仲介業者がいないと、物件の重大な瑕疵(かし)について十分な説明が行われないまま取引が行われる恐れがある。メリットとデメリットを十分に吟味して利用したほうがいい」と話す。【菅沼舞】

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