物価高や社会保険料の値上げで実質賃金が低下するなか、副業で年収アップを期待する正社員が増えている。マイナビ転職は20日、正社員の副業や年収の実態調査を発表した。副業で収入は増えるのか――。
2023年12月に20～59歳の正社員800人（副業経験者400人、未経験者400人）を対象に、インターネット調査を実施。年収アップに効果的と感じる方法として「副業」を挙げた割合が23・4％と最も多かった。年代別で見ると40代が27％と最も高く、20代が17・0％で最も低かった。20代は「社内で成果を出す」「転職」がそれぞれ20・5％と最多で、副業よりも社内でスキルを磨き、転職する方が効果的と考える人が多いようだ。
理想とする副業の年収は平均125・9万円。これに対し、実際の年収は平均67・8万円で、理想と現実にはかなり開きがある。また、実際の年収の内訳を見ると、年1万円未満が59・2％と副業経験者の過半を占めた。次に多かったのは年31万円以上（15・7％）で、一定の稼ぎがある人とほとんどない人で二極化している傾向もうかがえる。
副業による変化について聞いたところ、「生活の時間に余裕がなくなった」と「やりがいを感じている」がそれぞれ14・5％で最多。「思うような収入を得られていない」は12・8％だった。
一方、回答者の本業の年収の中央値は400万円で、理想とする本業年収の中央値は550万円。自分の年収に満足しているか尋ねたところ、「満足していない」「あまり満足していない」が計48・4％。全体の65・5％が生活に金銭的な不安を感じていると答えた。
マイナビ転職は「収入補塡（ほてん）策として副業にトライする社員も出てきたが、一定額の収入を得られる人はごく一部。企業は副業を容認するだけでなく、雇用者が安心して生活できる給料の支払いが求められる」とコメントしている。【古屋敷尚子】
