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教員過労死、県と市に賠償命令 53日間で休みは1日 富山・滑川


 富山県滑川(なめりかわ)市の市立中学教諭だった40代男性がくも膜下出血を発症して死亡したのは、市側が勤務時間を適切に管理しなかったためとして、遺族が県と市に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、富山地裁は5日、県と市に賠償を命じた。

 訴状によると、男性は3年生のクラス担任や女子ソフトテニス部の顧問、理科の教科指導などを担当。2016年7月、自宅でくも膜下出血を発症し、18日後の8月に亡くなった。時間外労働は発症直前の1カ月間で137時間、その前月で155時間に上り、過労死ライン(月80時間)を大きく超えていた。倒れる前日までの53日間で休日は1日しかなかった。

 妻(40代)からの申請を受けた地方公務員災害補償基金富山県支部は18年4月、くも膜下出血の発症は過重労働が原因だったとして、公務員の労災にあたる公務災害と認定した。妻と長女、長男は19年10月に提訴。市に加え、教員の給与を負担している県も国家賠償法の規定に基づき被告となった。

 訴訟のなかで市側は「部活動の指導は教員の自由裁量に任せており、くも膜下出血を発症することは予見できなかった」と反論していた。

 判決の前、取材に応じた妻は男性の異常な働き方を訴えていた。朝は午前7時過ぎに出勤し、帰宅後もテストの採点などの仕事をしていた。土日は部活動の遠征や指導で休める日はほぼなく、ゴールデンウイークも休日はたった1日だけ。倒れる3日前から頭痛を訴えていたが、「三者面談があって絶対に休めない」と痛みを押して出勤を続けていた。責任感が強くて仕事熱心な一方、子煩悩な人でもあり、午後7~8時に帰宅して当時まだ幼かった長女の寝かしつけをしていた。

 文部科学省が実施した教員勤務実態調査(22年度、速報値)によると、過労死ライン以上に働いた教員は公立中学校で36・6%、公立小学校で14・2%に上る。妻は裁判所に対し「教員の働き方が少しでも良い方向に向かうような判断を示してほしい」と望んでいた。【鈴木拓也】

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