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福井名物のソースカツ丼店「レストランふくしん」 7月末閉店へ


 ソースカツ丼が名物の福井にあって「ヨーロッパ軒」などと並び地元に愛されてきた「レストランふくしん」(福井市高木中央)が7月末で閉店することが30日、分かった。1973年に夫の故・橋爪真一さんと店を立ち上げた節子さん(72)が自身の年齢に伴う体力の低下を考えたことや、開業50年の節目を迎えたことなどが理由だ。「閉めるのはさみしい」との声が店のファンから上がっている。

 店主の節子さんにふくしんのこだわりを改めて聞くと、「ソースの味ときめ細かいパン粉、お肉にある」という。特に大盛りは真一さんが部活帰りの学生などに食べてもらおうとカツが4枚にも重なる圧巻の見栄えだ。さくさくとした衣の歯ごたえが楽しく、ソースも甘じょっぱい感じでありながら不思議と胸やけが起きない優しさがあり、かつおだしのみそ汁もよく合う。

 店で7月末の閉店を張り出したのは6月下旬になってから。30日には追加でテーブルにも閉店のお知らせの紙を置いた。SNS上では「本当に残念」などの書き込みがあり、店には「何かありましたか」との電話が昔の取引先から心配してかかってきたという。この日夕方に訪れた福井市の会社員男性(61)は「学生の頃から通っていたから悲しい」と眉間(みけん)にしわを寄せたが、大盛りをかき込むと笑顔で「また来ます」と店を後にした。

 これまでもお店が大変な時があった。夫の真一さんは46歳の時に肝臓がんが発覚、その後、胃にも転移し13年にわたり入退院を繰り返した。妻・節子さんは看病とお店の切り盛りの両立に追われたが、「夫も前向きに頑張ってくれた」(節子さん)から店を続けることができた。そして、新型コロナウイルスの流行で新たな苦境を迎えた。子どもの頃から店を手伝う長女の美幸さん(48)は「コロナでは終わりたくないと続けてきた。でもコロナ明けの反動も母にはきつかったかも。閉店後はゆっくりしてほしい」といたわる。

 店には、テレビの取材で著名人が訪れた時など、思い出の記念写真が多く飾られている。節子さんは「真心を込めてカツ丼を出すのが大事と思って続けてきた。『おいしかった。また来るよ』と言われるとうれしかった。いまはお客さんや取引先に感謝しかない。夫にも『安心してください』と伝えたい」と目を細めていた。【田畠広景】

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