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「ずさんな捜査上塗りする決定」長女憤り 大崎事件、再審開始認めず


 「あたいはやっちょらん」。捜査段階から44年間、無実を訴えてきた叫びはまたも司法に届かなかった。1979年に鹿児島県大崎町で男性(当時42歳)の遺体が見つかった「大崎事件」の第4次再審請求で、福岡高裁宮崎支部は5日、殺人罪などで懲役10年が確定し服役した原口アヤ子さん(95)の再審開始を認めなかった。原口さんは15日で96歳。「裁判所はいつまで無実の罪を押しつけるのか」。弁護団や支援者は憤りをあらわにした。

 午前11時過ぎ、裁判所から駆け出してきた弁護士が「不当決定!」と書かれた紙を掲げると、集まった支援者から「ふざけるな!」と怒号が上がった。

 支援者の一人、武田佐俊(さとし)さん(80)は鹿児島県内の原口さんの入院先で、「再審認められず」の一報を原口さんに伝えた。原口さんは近年、認知症が進んで会話が難しくなっているが、武田さんによると、うなり声をあげて目に涙を浮かべ、なお続く闘いへの覚悟を示すように何度もうなずいていたという。

 宮崎市であった記者会見では、第4次の再審請求人となった、原口さんの長女京子さん(68)が疲れ切った様子で「検察が作り上げた人権無視の冤罪(えんざい)。今日の決定はずさんな捜査を上塗りする日本の恥、世界の恥です」と絞り出すような声でメモを読んだ。

 弁護団は最高裁に特別抗告する考えを示した。森雅美弁護団長は高裁の決定を「(再審請求を棄却した2022年6月の)鹿児島地裁決定より後退したと言わざるを得ない。こちらが出した証拠を全て矮小(わいしょう)化している」と批判。事務局長の鴨志田祐美弁護士は「疑わしきは被告の利益に、という原則を忘れて確定判決を墨守することにきゅうきゅうとしている」と語った。

 会見場には、再審請求を支援してきた映画監督の周防正行さん(66)もいた。高裁決定後、報道陣に囲まれた周防さんは「国の機関は国民一人一人のためのものなのに、組織として間違いを認めることができない。今回の決定からも組織防衛の意識しか感じられなかった」と論じた。【取違剛、塩月由香、梅山崇】

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