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慢性的な運転手不足と長時間勤務… バス業界の問題点、改善策は


 名古屋市で昨年8月、大型バスが横転、炎上し9人が死傷した名古屋高速バス事故。愛知県警の捜査で原因特定はできなかったが、バス業界では慢性的な運転手の不足とそれに伴う長時間勤務が問題となっている。

 事故を巡っては、愛知県警が10日、死亡した男性運転手(当時55歳)を自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで書類送検。また、名古屋北労基署が10日、有効な労使協定の届け出をせずに、運転手6人に違法な時間外労働をさせていたとして、死亡した運転手が勤務していたバス運行会社「あおい交通」(愛知県小牧市)と当時の同社営業所長ら2人を労働基準法違反容疑で書類送検した。

 公益社団法人「日本バス協会」(東京都千代田区)が2021年10月に会員を対象に実施した調査によると、回答を得た885社のうち56%の493社が「運転手が不足している」と回答。名古屋大大学院の加藤博和教授(公共交通政策)は、その要因として給与など待遇面の悪さや不規則な勤務を挙げる。さらにコロナ禍が拍車をかけたといい、「コロナで業界を去った運転手が需要回復後も戻らなかった」と指摘する。

 人手不足は運転手の長時間労働につながりやすい。国交省中部運輸局がバス事業者に実施した18年の調査で「運転手不足の影響で発生している問題」を聞いたところ、「受注機会喪失や増便断念」(55%)が最多だったが、次いで多かったのが「運転手の休日の減少」(18%)、「時間外勤務の増加」(14%)だった。

 こうした状況を受け、国は運転手の労働環境の改善に取り組む。来年4月から、勤務終了から次の始業までの「休息時間」を現行より1時間長い9時間とした上、11時間以上の確保を努力義務と定めた。

 ただ、待遇改善が伴わなければ人手不足は解消されないため、加藤教授は改善策としてバス運賃の引き上げを提案。「安全にコストがかかるということを利用者に納得してもらい、運賃の引き上げで運転手の待遇改善につなげてほしい」と話す。【熊谷佐和子】

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