列車立ち往生、乗客パニックに＝「人質に取られた」と通報も―米

　【ワシントン時事】米南部サウスカロライナ州で、全米鉄道旅客公社（アムトラック）の列車が通常ルートを外れた上に長時間立ち往生し、パニックになった乗客が「人質に取られた」と警察に通報する騒ぎがあった。複数の米メディアが１３日までに報じた。 　報道によると、この列車は米東部時間９日午後５時半ごろ、南部バージニア州ロートンを出発。当初は１０日午前１０時ごろに目的地の南部フロリダ州サンフォードに到着予定だった。しかし、先行列車の脱線事故で通常ルートから迂回（うかい）し、さらにサウスカロライナ州の森林地帯で完全に停車した。 　乗員の労働時間が規定を超えたため、新たな乗員が到着するまで足止めされたのが原因だった。車内には５６３人の乗客が取り残された。 　一部の乗客は「人質にされた」と警察に通報。ソーシャルメディアには、車掌が「通報した皆さん、われわれはあなた方を人質に取っているのではない」とアナウンスする様子を撮影した動画が投稿された。乗客の一人はソーシャルメディアで「あまりにお粗末な対応だ」と反発し、「乗客の多くが高齢者で食料も不足しており、危険な状態になる可能性がある」とブティジェッジ運輸長官に訴えた。 　列車は１１日午前６時ごろ、約２０時間遅れで目的地にたどり着いた。米紙ニューヨーク・タイムズは疲れ切った乗客の「地獄の鉄道旅行だった」との発言を伝えた。アムトラックは遅延の影響を受けた乗客に料金を払い戻すという。　【時事通信社】 〔写真説明〕全米鉄道旅客公社（アムトラック）の列車に乗り込む旅行者＝２０２２年４月、米東部デラウェア州ウィルミントン（ＡＦＰ時事）