運転手への暴力を政治利用＝米ウーバー、事業拡大狙い―報道

　【シリコンバレー時事】米配車大手ウーバー・テクノロジーズが過去に、タクシー業界との摩擦に端を発したウーバーの運転手への暴力を政治的に利用していたことが明らかになった。欧米メディアが１０日、一斉に報じた。世論や政治家を味方に付け、事業拡大を有利に進める狙いがあったようだ。 　英紙ガーディアンが、２０１３～１７年に作成された１２万点超の社内文書を入手。国際調査報道ジャーナリスト連合（ＩＣＩＪ）や４０以上の報道機関と共有された。 　報道によると、欧州では１５年から、ウーバーに顧客を奪われることを恐れたタクシー運転手らの暴力行為が激化した。ある幹部が懸念を示したが、創業者で当時、最高経営責任者（ＣＥＯ）を務めていたトラビス・カラニック氏は「暴力が成功を保証する」と反論。暴力の詳細をメディアに伝え、政治家に規制緩和を働き掛けていたという。 　ウーバーは１０日、「過去の行いに言い訳はしない。今後の行いで判断してもらいたい」との声明を出した。カラニック氏は、法令順守を軽視する姿勢やセクハラなどの不祥事を追及され、１７年にＣＥＯを辞任した。　【時事通信社】