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娘を花嫁として売る親たち アフガニスタンを襲う飢えと貧困


【カライノウAFP=時事】干ばつに見舞われたアフガニスタン西部。家族で生き延びるため、夫が2人の幼い娘を花嫁として売って以来、妻のファヒマさんは泣いてばかりいる。(写真は花嫁として売られたファリシテちゃん。アフガニスタン西部バドギス州カライノウの避難民キャンプで) 泥れんがと防水シートでできた国内避難民用のテントの中に、6歳のファリシテちゃんと1歳半のショクリヤちゃんが並んで座っていた。本人たちは、自分が売られたことを知らない。 「夫に言われました。娘たちを手放さなければ、みんなが死ぬことになる。食べる物が全然ないんだぞって」とファヒマさんは語った。アフガニスタンでは、多数の家族が同じ選択を迫られている。 ファリシテちゃんには3350ドル(約38万円)の値が付いた。歩き始めたばかりのショクリヤちゃんは2800ドル(約32万円)。婚家に入るまでの数年間、分割払いされる。2人の結婚相手も未成年だ。 児童婚はアフガニスタンで何世紀も前から続いてきた慣習だが、戦争や気候変動で多くの家族が貧困にあえぎ、より幼いうちから娘を結婚させるようになっている。 息子を持つ親たちは、値切り交渉をしながら、より幼い女子を獲得する。 10月下旬、国連の世界食糧計画(WFP)は、アフガニスタン人口の半数以上に当たる約2280万人が11月以降、急性の飢餓に直面すると警告した。 アフガニスタン西部バドギス州も、干ばつによる大きな被害を受けている。州都カライノウでは、家族を養えず、離れ離れになるしかない状況を恥じて悲しむ親たちが少なくない。 村の首長や避難民キャンプのリーダーによると、多数の国民が飢えに苦しんだ2018年も、幼い頃から婚約させられる女子が増えたが、雨が降らなくなった今年もその数は急増している。 住む家を失い、娘を花嫁として売る決断を下した農家を取材で探すと、すぐに十数世帯見つかった。 ファヒマさんの隣人グルビビさんは、避難民キャンプにいる多くの家族が児童婚という手段を選んだことを認めた。 自身の娘アショーちゃんは10歳に満たないが、グルビビさんが借金をしている相手の家族で23歳の男性と婚約している。婚約者は今、隣国イランに住んでいるが、帰国する日をグルビビさんは恐れている。■「娘たちには、あれから一度も会っていない」 カライノウ市内の別の避難民キャンプで、ムハンマド・アッサンさんは、2人の娘の写真をAFPに見せながら涙を拭った。9歳のシアナちゃんと6歳のエディグルちゃんは現在、年若い結婚相手と一緒に遠方に住んでいる。 「娘たちには、あれから一度も会っていません」とアッサンさんは言う。「こんなこと、私たちだってしたくはなかった。でも他の子らにも食べさせなければならなかったのです」 アッサンさんは隣人に分けてもらったパンのかけらを見せながら、こう続けた。「娘たちは向こうではいい暮らしをしているはずです。食べ物もあって」 アッサンさんの妻ダドグルさんは病気で、医療費がかさんでいる。そこで、アッサンさんは4歳の娘の結婚相手も探し始めている。 母親たちはいつまでも嘆き悲しみ、心痛から解き放たれることはない。 夫に先立たれたラビアさん(43)は、娘と別れる日を先延ばしにするため、あらゆる手を尽くしてきた。 娘のハビベさんは12歳になり、今年9月には婚家に移り住むことになっていたが、母親ともう1年一緒に暮らしたいと懇願した。「お母さんと一緒にいたい」とハビベさんは小声で言った。 家族を養う余裕があれば、ラビアさんはハビベさんを取り戻すために550ドル(約6万3000円)を突き返すだろう。 11歳の息子はパン店で働いて1日50セント(約57円)を稼ぎ、9歳の息子はごみ拾いで30セント(約34円)をもらって帰って来る。今年は厳しい冬になりそうだ。 「母親として胸が張り裂けそうです。でも息子たちのことも守らなければなりません」とラビアさんは話した。 今年8月にアフガニスタンを掌握したイスラム主義組織タリバン政権の下でバドギス州の知事代理を務めるマウルビ・アブドル・サタール氏は、AFPに次のように語った。「こうした児童婚は経済問題が原因だ。イスラム首長国(アフガニスタン)が課したいかなる規則もシャリア(イスラム法)も、原因ではない」【翻訳編集AFPBBNews】〔AFP=時事〕(2021/11/18-13:16)
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