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ヒゲクジラ類の摂食行動、海洋生態系に好循環もたらす 研究


【パリAFP=時事】世界最大のクジラ、ヒゲクジラ類の摂食量が従来考えられていたよりも最大で3倍多い可能性を示す研究結果が3日、発表された。ヒゲクジラ類の摂食行動は、生態系に極めて大きな恩恵をもたらすという。(写真は米スタンフォード大などの研究チームの調査対象となっているミンククジラ。南極大陸沿岸で) これまで地球上に生息したあらゆる生物の中で最大のヒゲクジラ類には、シロナガスクジラやザトウクジラが含まれる。ヒゲクジラ類は、海水からオキアミや小魚をこし取って食べる「ろ過摂食」という方法で餌を食べる。 だが、体が巨大な上、絶滅の危機にひんしているために「一体どのくらいの量を食べるのか」という極めて基本的な疑問の答えが得にくかった。 英科学誌ネイチャーに掲載された論文によると、米スタンフォード大学などの研究チームはこの問題を調査するために、動作センサーを備えた吸着カップ付きタグをクジラ321頭に装着し、摂食行動を観察。クジラのろ過摂食前と摂食後のオキアミの個体群密度を音波で測定した。 その結果、摂餌期のシロナガスクジラ1頭は、1日当たり約16トンのオキアミを食べる可能性があることが明らかになった。 論文著者であるスタンフォード大のマシュー・サボカ氏は、AFPに「この動物は飛行機くらいの大きさがあり、プール1杯分の海水を数秒でのみ込んでしまいます」と語る。 「できるだけたくさん食べながら、フルマラソンを3回走る。夏の摂餌期にはこれをほぼ毎日行うようなものです」とサボカ氏。「本当に信じ難いことです」 研究では南極海周辺で毎日測定された7種のクジラに関するデータを使用し、捕鯨が行われていなかった時代、クジラによるオキアミの年間摂取量は最大4億3000万トンに上った可能性があると推算した。これは現在、地球上に一度に存在するオキアミの推定量の2倍に相当する。■ 「正のフィードバック」の循環 オキアミには重要な栄養素である鉄分が豊富に含まれる。オキアミを大量摂取するクジラの排せつ物は、その鉄分を生態系の他の生物、特に植物プランクトンに提供する役割を果たす。 植物プランクトンは極めて重要な微生物で、外洋の食物連鎖の基盤であるだけでなく、地球の酸素の大半を供給するとともに、重要な炭素吸収源でもある。 「クジラはオキアミをリサイクルする、極めて移動性の高い装置のようなものです。植物プランクトンが必要とする鉄分はオキアミに含まれていて、クジラの腸はその鉄分を解き放つ役割を果たしています」 この「正のフィードバック」の循環は、オキアミがクジラの減少に伴い、捕食者がいなくなって増えるどころか同じく減少しているのはなぜかという問いの答えになるかもしれない。 20世紀に南極海で捕獲されたヒゲクジラ類の数は約150万頭と推定されている。「シロナガスクジラの場合、全個体数の99%以上が捕獲されました」とサボカ氏は言う。「このような大きな圧力に耐えられる自然のシステムはありません」 今回の研究では、クジラの個体数が回復した場合にクジラが生み出す正のフィードバックが循環し、海洋生態系が回復する「緑の波」が起こる可能性があるとしている。【翻訳編集AFPBBNews】〔AFP=時事〕(2021/11/16-13:25)
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