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なぜマツダは、30年間もロードスターを作り続けることができたのか?




マツダのスポーツカー「ロードスター」が1989年のデビューから今年で30周年を迎えることになり、4月5~7日に千葉県の幕張メッセで開催されるイベント「オートモビルカウンシル2019」で、2月に米国のシカゴオートショーで世界初公開した「ロードスター30周年記念車」を日本初公開することになった。





日本での予定販売台数はソフトトップが110台、RF(リトラクタブル・ファストバック)が40台。価格は368万2800円~430万3800円と、ロードスターとしては高めではあるが、台数が限られていることもあり高倍率での抽選になることは間違いないだろう。



 



「30周年記念モデル」の日本での予定販売台数はソフトトップが110台、RF(リトラクタブル・ファストバック)が40台




ではなぜロードスターは30年生き続けることができたのか。時代に流されず、逆境にもめげず、クルマの楽しさの原点を追求したマツダの真摯な姿勢が大きいと思っている。



 



 



■ハイパワーモデルのなかで異色の存在



 



1989年に登場した初代ロードスター


デビューした1989年はバブル景気の絶頂期で. 日本車ではそれを象徴するように、日産自動車は16年ぶりにスカイラインGT-Rを復活させ、本田技研工業はスーパーカーのNSXを発表、翌年発売した。いずれも最高出力は当時の自主規制値上限の280psだった。





そんな年に、たった120psの1.6リッター直列4気筒自然吸気エンジンを積む小型軽量の2人乗りオープンスポーツカーが登場したのだ。





同じ年にデビューした和製スポーツカーが高性能車ぞろいだったこともあり、ロードスターは多くのクルマ好きが忘れかけていたクルマの楽しさの原点を思い出させる存在となり、たちまち注目された。



 



2代目は1998年に登場。写真は1999年の「10周年記念モデル」


ただし順風満帆だったわけではない。当時のマツダは経営面では順調だったわけではなく、1979年からマツダに出資していた米国フォードは1996年、それまで24.5%だった出資比率を33.4%に引き上げ、経営権を取得した。





その影響を受けたかどうかは不明だが、ロードスターは2005年発表の3代目で全幅が5ナンバー枠を超え、初代の途中から1.8リッターになっていたエンジンは2リッターになるなど、大型化の兆しを見せていた。





さらに3年後、マツダはリーマンショックの影響を強く受ける。フォードが経営不振から出資比率を13%に下げてしまったのだ。マツダ自身も売り上げを落としており、ダブルショックと言える状況だった。





ここでロードスターの開発にストップが掛かった。現行ロードスターのデザインを手がけ、現在はチーフエンジニアも務める中山雅氏は、2012年に発表された初代CX-5のチーフデザイナーでもある。同氏に聞いたところ、ロードスターの開発がストップしたのでCX-5を担当することになったが、その後ロードスターのプロジェクトが再開したので復帰したという。



 





■ロードスターが影響を与えたライバル



2005年デビューの3代目ロードスター。写真は2009年リリースの「20周年記念モデル」




ロードスターのライバルは数多く生まれた。トヨタ自動車は1984年に発表した日本初のミッドシップスポーツカー「MR2」をオープンの「MR-S」に生まれ変わらせ、かつて小型軽量スポーツカーの代名詞的存在だった英国のMGもミッドシップの「MGF」を送り出し、イタリアのフィアットは前輪駆動ながら持ち前の豊かなデザイン能力を駆使して「バルケッタ」をリリースした。





ドイツではプレミアムブランドがロードスターのひとクラス上を狙って、メルセデス・ベンツが「SLK」、BMWが「Z3」、ポルシェが「ボクスター」を開発した。





しかしMRS、MGF、バルケッタは姿を消し、SLKは「SLC」と名を変えたが後継車の予定はなく、欧州ではファイナルエディションが販売されている。Z3は「Z4」に進化したものの単独で生き残るのは難しいのか、トヨタの「スープラ」との共同開発にシフトした。



 



2015年にデビューした4代目・現行ロードスター




ロードスターに影響されて登場したスポーツカーの中で、ロードスターに匹敵するベンチマークの地位を得ているのは、1995年に初代がデビューした英国ロータスの「エリーゼ」ぐらいかもしれない。





2人乗りのオープンスポーツカーがさほど売れないことは誰でも想像できる。しかもロードスターには、ここまで書いてきたように何度か試練があった。それでも作り続けたのはやはり、クルマの楽しさの原点をユーザーに届けたいというひたむきな気持ちがあったからではなかったか。スポーツカーに賭ける情熱が並外れていたからこそ、30歳を迎えることができたのではないかと思っている。

 


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