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あなたは“透明な味噌汁”を許せるか?「透明飲料」のブームに感じるコト




「透明飲料」の発売ラッシュが終わらない。ビールやコーヒー、紅茶、コーラに至るまで、ありとあらゆる色つき飲料が「透明化」。いまも各社は競うように新商品を世に送り出している。メディアも頻繁に特集を組むなど、にわかにブームとなっている。この透明飲料のブームは、マーケティング的にどう説明できるだろうか。 



 



 



■透明なコーラを飲んでみた



 



まず、ものは試しと、大きな話題になった「コカコーラ・クリア」を飲んでみた。かすかにレモンの風味がするが、味はコーラそのもの。「コーラ」と聞くと即座にあのカラメル色を連想してしまう私にとって、「透明なのにコーラの味がする」というのは不思議な感覚だ。ちなみにカロリーゼロ。透明にするため、カラメルを使わず製造したという。 



 



透明なノンアルコールビアも飲んでみた。こちらもビアテイストで、ビールの香りもする。レモンの風味もあり、炭酸水に近い印象だ。麦芽の使用量を減らし、香料を工夫したという。これも、ノンアルコールビアというより別の飲み物だ。



 



さらに透明なお茶や透明なラテもある。色つきの飲料が透明化するのは、確かにインパクトが強い。各社で透明飲料に目をつけたきっかけは、2015年発売の「ヨーグリーナ&サントリー天然水」が、見た目は透明、しかし乳酸飲料という他にはない珍しさで大ヒットしたことだろう。 



 



 



■ブランドとはロゴやデザインだけではない



 



「ブランドとは、お客様に対する約束である」とよくいわれる。



 



透明飲料を飲み、改めて実感したのは「色」も重要なブランドの一部である、ということだ。 ブランドとは単なる「マーク」や「デザイン」だけではない。消費者の様々な体験の集合体だ。形も触感も色も、ブランドの大事な一部なのだ。 



 





コーラの場合、あのカラメル色を見ながら、ちょっと鼻にツンとくるコーラ独特の味を味わって「コーラを飲んでいるんだな」と認識する。ビールも、あの琥珀色を見ながら、麦芽の香りと味を感じるのが「ビールを飲む」という体験だ。あのカラメル色も琥珀色も、ブランド体験の一部だったのである。



 



しかし、それらが透明になるのは、正直、違和感も覚えることもあった。 想像してみてほしい。味噌汁が味や香りをそのままに、透明になったらたらどうだろう? 「ちょっと違うかも」「それは味噌汁ではない」と感じる人が多いのではないだろうか。味は味噌汁そのものでも、透明になった途端、味噌汁とは違うものになる。あの茶色い味噌の色も含めて、私たちは「味噌汁」として認知するのである。 



 



それまで色がついていた飲料を透明化するのは、私たちに驚きを与える。しかしそこで生まれる体験は、それまでの既存ブランドとは異なるのである。 



 



 



■勢いは最初だけ



 



ブランド体験はビジネスにも直結する。透明飲料を目新しさから買う消費者も多いだろう。実際のところ、どうなのか。



 



日本経済新聞の記事『データで読む消費 透明飲料、定番の道遠く 「味変わらない」の声も』(2018年7月19日掲載)によると、来店1000人あたりの購入額の推移は次の通りだ(スーパー460店のPOSデータ調査)。同記事によると、多くの商品は1本あたり124〜140円で売られるという。



 



 



コカコーラ・クリア  



6月11日週 (発売) 1294円 



6月18日週      半額以下 



7月の週        1/6に 



 



 



アサヒクリアラテ from おいしい水 



5月7日週(発売)   428円 



以降、7月2日の週まで8週連続で下落。50円に。



 



 



発売直後は注目されるものの、その後急速に買われなくなるパターンが読み取れる。発売当初に売上のピークがあり、徐々に売上が下がるのは、新商品ではお決まりだ。しかし、人もお金もかけて開発した新商品。話題になるだけでなく、定番商品として生き残ることも必要だ。そのために大事なのはリピーターが定着するかどうか。リピーターが生まれなければ、新商品はいつの間にか消え去っていく。 



 



 



■透明のヨーグリーナはなぜ「定番化」したか



 



スプライトや三ツ矢サイダーは、昔から定番の透明飲料だ。多くの人は「スプライトは、この味」「三ツ矢サイダーなら、あの味」とすぐに思い出せるはずだ。スプライトも三ツ矢サイダーも、透明さとあの味がセットでブランドを形作っている。 



 



私は2015年に発売された透明飲料「ヨーグリーナ&サントリー天然水」を、発売当時に一度だけ、ミネラルウォーターと勘違いして買ったことがある。ミネラルウォーターだと思って飲んだら乳酸飲料そのものの味で、とても驚いたことをよく覚えている。その味は今も思い出せる。この商品は、発売3年を経て定番になりつつある。



 



ただ、当時こそ類似商品もほとんどなかったが、今や透明飲料は乱立気味だ。 



 



「透明な飲み物という驚き」だけでは、最初は注目されてもリピーターを獲得できず、定番にならない。単に「透明にしてみました」だけでは飽きられる。その飲料ならではの価値が消費者に評価されてはじめて、定番商品として生き残るのである。 各社一斉に発売された透明飲料のうち、どこが生き残るのか? 結果は間もなくわかるはずだ。 


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