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【中年名車図鑑|初代トヨタ・カリーナED】「家族の口説きやすさ」から人気を博した4ドア“パーソナルセダン”


新たに開発した1つのプラットフォームを使って、様々なスタイルのクルマを造る――。トヨタが積極的に採用したこの手法は、1980年代に入ってさらなる拡大展開を遂げた。今回は4代目セリカとプラットフォームを共用し、4ドアハードトップのボディ形状と1310mmという低いボディ高で個性を主張した “エキサイティング・ドレッシー”こと初代カリーナED(1985~1989年)で一席。



 







【Vol.42 初代トヨタ・カリーナED】





排出ガス規制とオイルショックを乗り切った1980年代前半の日本の自動車メーカーは、自社のラインアップの拡充や新技術の開発などに多くの資金を投入するようになる。そのなかで卓越したマーケティング戦略と販売網で国産メーカーのトップに君臨するトヨタ自動車は、パッケージ効率で有利なFF(フロントエンジン・フロントドライブ)レイアウトの拡大展開とユーザーニーズに対応したスタイリッシュなクルマの開発を積極化させた。その象徴的なモデルが、1985年8月に登場したセリカ、コロナ・クーペ、そしてカリーナEDのT160型系3兄弟だ。



 



 



■ロー&ワイドの4ドアスペシャルティカーの登場



 



セリカ、コロナ・クーペ、カリーナEDの“3兄弟”であったが、ルックスは各車個性的。マークⅡのそれとは大きく異なっていた


FFスペシャルティカーとして位置づけられるこの3モデルは、シャシーやエンジンなどの基本メカニズムを共用する。しかし、そのスタイリングは大きく異なり、まったく別物のクルマに見えた。このあたりはルックスが似通うマークⅡ、チェイサー、クレスタの3兄弟と違う部分だ。1つのシャシーを使ってスタイリングを大胆に変え、販社ごとのクルマを多数、設定する――。多様なユーザーニーズへの対応、自動車市場での新鮮味、開発コストの集約化、そして販売台数の増加などを狙ったこの戦略は、その後のトヨタ車にも意欲的に採用された。





T160型系3兄弟のなかで、とくに注目を浴びたのは“4ドア新気流”というキャッチフレーズを冠した新設定車種のカリーナEDだった。エクステリアについてはピラーレスの4枚ドアと水平基調のベルトラインおよびアンダーボディ、4ドアモデルとしては異例に低い1310mmの全高、端正なフロントマスクとリアビューなど、従来の4ドア車にはない個性的でスタイリッシュな雰囲気を創出。まさに車名のED(エキサイティング・ドレッシー)の名にふさわしいルックスだった。インテリアも同様で、3本スポークのステアリングや6連メーター、専用生地のバケット形状シートなどを装備して、スタイリッシュにまとめる。4枚のドアとトランクルームも併せ持っていたため、実用車としての使い勝手も優秀だった。





搭載エンジンは“レーザーα3Sツインカム16”こと3S-GELU型1998cc直列4気筒DOHC16Vユニット(グロス160ps/19.0kg・m)を筆頭に、2機種の1S型系1832cc直列4気筒OHCユニット(EFI=グロス115ps/16.7kg・m、Ci=グロス105ps/16.0kg・m)を設定する。組み合わせるトランスミッションには5速MTと4速AT(3S-GELU型エンジンはECT-S)を採用。サスペンションは新設計の4輪ストラット(前マクファーソンストラット/後デュアルリンクストラット)で、スペシャルティカーの性格に合わせてダンパーなどには強化タイプを組み込んでいた。



 



 



■光る“ED”のロゴが大人気に――



 



ピラーレスの4枚ドアと水平基調のベルトライン、1310mmという低めの全高でスタイリッシュな雰囲気を演出




3S-GELU型エンジン搭載の2000GリミテッドとG、1S-ELU型エンジン搭載の1800XとS、1S-iLU型エンジン搭載の1800FとLという6グレード構成でスタートした新種の4ドアスペシャルティは、兄弟車をしのぐほどの高い人気を集め、販売台数を順調に伸ばしていく。この上昇気流をさらに高めようと、開発陣は精力的にカリーナEDの改良を図っていった。





まず1986年5月には、スポーティな1800Sツーリングを追加。1987年8月にはマイナーチェンジを実施し、1S-ELU型に代わって3S-FE型1998cc直列4気筒DOHC16V(ネット120ps/17.2kg・m)のハイメカツインカムエンジン搭載車を設定する。同時に内外装の高級感もアップし、とくにライト連動でEDのロゴが光る“ブライトエンブレム”が大好評を博した。1988年5月になると1S-iLU型エンジンを廃止し、代わって4S-Fi型1838cc直列4気筒DOHC16V(ネット105ps/15.2kg・m)のハイメカツインカムエンジンを採用する。これにより、カリーナEDシリーズは全車DOHCエンジン搭載車となった。



 





コクピットでは3本スポークのステアリングや6連メーターが印象的。専用生地のバケット形状シートがスポーティだった




1989年9月にはセリカとともに全面改良が行われ、第2世代のT180型系に移行する。車両デザインについては、低い車高の4ドアハードトップスタイルを継承。成功作のフルモデルチェンジは、あまり基本コンセプトを変えない――そんな業界の定説を踏襲していた。





他メーカーのスペシャルティカーとはひと味違うスタイリングと高い利便性を両立したカリーナEDは、“パーソナルセダン”(実はセダンではなくハードトップだが――)という新分野を確立して大ヒット作に昇華する。とくに4ドアボディというのが好評で、当時のユーザーは「購入の際、家族を口説きやすかった」という。80年代前半は4ドア車=ファミリーカーといわれていた時代。学生は親の援助が、若いファミリーは奥さんの了承が、4ドアということで得やすかったわけだ。クルマをスポーティかつお洒落に乗りたいユーザーにとって、相反する条件をも満たした格好のモデルが、カリーナEDだったのである。また、カリーナEDが創出した背の低い4ドアボディのフォルムは20年以上たった欧州車で再び脚光を浴び、とくにプレミアムブランドが4ドアクーペと称する同イメージのモデルを相次いで市場に放つ。発売当時は一部の識者から非合理的パッケージングと揶揄されたカリーナEDは、実は時代の先を行ったエポックメーキング車だったのだ。



 



※情報は2017年11月14日時点のものです


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