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スタンフォード大学、海洋酸性化による危機を訴える「Ocean Acidification VR Experience」を制作


海外メディアUploadVRは、2017年3月19日の記事において、スタンフォード大学が制作したVRコンテンツを紹介した。


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「Ocean Acidification VR Experience」の教育的効果


現在、二酸化炭素の排出による地球温暖化が進行しているのは、多くのヒトが知っていることであろう。しかし、二酸化炭素が排出されることによって、同時に海が汚されていることを知るヒトは少ないだろう。


自動車から排出されるような二酸化炭素は、実のところ、巡り巡って海に溶け出していき、海の水質を酸性化するのだ。そして、酸性化された海では、サンゴ礁をはじめとした生態系が破壊されてしまう。


アメリカ・スタンフォード大学のVirtual Human Interaction Labは、昨年はじめに以上のような二酸化炭素排出による海洋酸性化を原因とする生態系破壊の危機を訴えるVRコンテンツ「Ocean Acidification VR Experience」を制作した。


VIVE対応コンテンツとして制作された同コンテンツは、いつくかのシーンから構成されている。


同コンテンツが始まると、舗装された道路を走る自動車が見えてくる(下の画像参照)。ユーザーはVIVEコントローラーを使って、自動車に触れると、自動車から排出される酸化化合物の分子構造が現れ、その分子構造が海に向かって漂っていく。そして、次のシーンである海底に移動する。


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海底のシーンでは、まだ生態系が保たれていてサンゴ等がいる様子を見ることができる。


美しい海底のシーンは、突然、次のシーンに変わる。変わったシーンでは、同じ海底ではあっても、生き物が何も存在しない砂漠のような景色が広がる。この不毛な海底は、二酸化炭素による海洋酸性化がもたらした生態系破壊が実際に起こった時の光景なのだ。衝撃的な光景が広がるなか、ナレーションが次のように語る。もし現在の生活を続けていると、この光景は現実になる、と。そして、いま生活を改め二酸化炭素排出を抑制すれば、この光景は回避できる、とも語られるのだ。


同コンテンツは、VIVE対応コンテンツとして制作される前に、ほぼ同じ内容で360°動画としても制作されていた。同大学は、このメディアの異なるふたつのコンテンツに関して、どちらがより鑑賞したヒトの行動を変えることができるか調査した。


その調査結果に関して、VRコンテンツがヒトの感情に訴える効果について研究している同大学のCody Karutzは、以下のようにコメントしている。


360°動画を見せることは、ヒトをコンテンツに没入させるよい手段です。しかし、見るヒトは受動的である、という制限があります。対して、VRコンテンツでは、ヒトはコンテンツを鑑賞するだけではなく、コンテンツそのものとインタラクティブに関係することができます。


そして、こうしたインタラクティブにVRコンテンツを制作することが、よりコンテンツに没入させ、感情に強く訴える方法なのです。


VRコンテンツは、バーチャルな空間を現実であるかのように感じさせるだけに留まらず、バーチャルな体験を通してヒトの感情を強く揺り動かし、時にはそのヒトの信念さえも変えるチカラがあるのだ。


VRコンテンツのもつヒトの感情や意識に訴えるチカラに関する事例は、最近では数多く報告されており、例えば医療現場では子供が治療の痛みに耐えられるように、VRコンテンツを活用する事例も報告されている。


ヒトの意識を変えるVRコンテンツの研究事例


スタンフォード大学のVirtual Human Interaction Labでは、以上に解説したコンテンツの他にも、VRコンテンツを使ってヒトの意識や信念を変える研究を行っている。以下に、そうした研究事例を紹介する。


Fish Avatars



「Fish Avaters」もまた海洋汚染について、ヒトの感情に訴えることを目的として制作されたVRコンテンツだ。


「ヒトに対する思いやり」とは何かと問われたとき、多くのヒトは「相手の立場になって考えること」と答えるのではなかろうか。


「Fish Avaters」は、こうした「思いやり」を魚に対しても抱かせようとするのである。その方法とは、「実際に魚の目線で海底を体験する」だ。そして、魚の体験をするためにVRテクノロジーを使うのだ(上の動画参照)。


Racism with Virtual Reality


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「人種差別」もまた、その当事者になってみないと、その痛みがわかりずらい体験である。


同ラボでは、人種差別を受けた時に感じる痛みを「実際に」体験するために、VRコンテンツ「Racism with Virtual Reality」(VRによるレイシズム=人種差別)を制作した。


このVRコンテンツを使うと、ユーザーはまるで現実に人種差別を受けたかのような体験ができる。


同ラボの研究成果は、よい方向に応用すれば、よりよい教育や倫理の育成に役立つであろう。しかし、悪用すると、VRテクノロジーは史上最強の洗脳装置として機能するだろう。


VRテクノロジーが持っている危険な側面については、まだあまり研究が進んでいないようだが、VRテクノロジーの「ダークサイド」を見つめる時は、もう訪れているのかも知れない。


VRコンテンツ「Ocean Acidification VR Experience」について紹介したUploadVRの記事

https://uploadvr.com/vr-underwater-ecosystem-stanford-shows-killing-coral-reefs/


Ocean Acidification VR Experience公式ページ

http://vhil.stanford.edu/soae/


スタンフォード大学Virtual Human Interaction Labの研究事例紹介ページ

http://vhil.stanford.edu/projects/


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