海外メディアWareableは、視聴覚以外の感覚のVR体験を探求した事例を紹介した。

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「完全なVR体験」を目指した飽くなき探求

Oculus RiftVIVEのような「現代的な」VRヘッドセットの登場以降、視聴覚に関するVR体験に関してはかなり説得力のあるものとなった。だがしかし、「視聴覚以外の感覚」に関しては明らかに発展途上の感が否めない。

「視聴覚以外の感覚」のなかで現在もっとも精力的に研究・開発がされているのが、触覚である。と言うものも、本メディアでも数多くの触覚コントローラーやハプティック・スーツを紹介してきたが、未だ「定番」と呼べるようなデバイスの誕生には至っていない。

嗅覚をはじめとするその他の感覚に関するVR体験となると、そもそも研究・開発事例が少なくなる。しかしながら、映画「マトリックス」シリーズで描かれているような現実と寸分違わないバーチャルな体験を実現するためには、研究が進んでいない「マイナーな」感覚の再現にも挑戦しなければならない。

以下では「マイナーな」感覚のVR体験に挑んだ事例を紹介する。

OhRoma

嗅覚は「マイナーな」感覚のなかでも比較的事例に恵まれているほうである。本メディアでも嗅覚に作用するVRヘッドセットの事例を紹介したことがあるほどだ。

CamSoda社が開発したOhRomaは、一見すると「ありきたりな」嗅覚VR体験デバイスに見える。

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同デバイスは、上の画像を見るとわかるように、VRヘッドセットとガスマスクのようなデバイス本体から構成されたシンプルなものである。デバイスの見た目通り、ガスマスク状の部分に複数の香りカードリッジを装填して使う。

同デバイスが独創的なのは、使うシチュエーションにある。CamSodaは、もともとポルノ・ライブ動画を中継することを基幹業務としている。同デバイスもポルノ・ライブ動画の中継時に使用することが想定されている。

具体的には、動画を視聴しているユーザーに対して、動画の被写体となっている「モデル」が撮影時のシチュエーションに合わせて同デバイスを遠隔操作することで、動画にマッチした「香り」を提供するのだ。

用意された香りは30種類以上あり、なかには特定のユーザーが好みそうな「カラダの特定の場所」の香りも用意されている。

Sensiks

Sensiks社が開発した「Sensiks」は、一種の「触覚」再現型のVRデバイスだ。しかし、触覚コントローラーのような「単純な」ものではない。同デバイスは、VRヘッドセットを装着したユーザーが小さなブースに入るような仕組みになっている。

ブースのなかは温度・湿度が徹底管理されているうえに、空気の対流も制御できる。もちろん、「香り」の再現も可能だ。こうしたブースに入ると、例えばVRヘッドセットで浜辺の景色と波を音を体験しているユーザーは、さらに「鼻」と「肌」で浜辺を実感できるのだ。

同デバイスを開発したFred Galstaunは、ユーザーの周囲360°の環境を完全に制御するVR体験をSensory RealityあるいはSRと名付け、VR・ARに対して「次の疑似体験」だと考えている。

同デバイスは、そのサイズと複雑な構造からコンシューマー向けのプロダクトではないことは明らかである。しかしながら、同デバイスは実際に使われている。その場所は医療施設で、主としてPTSDの治療に活用されている、とのこと。

Project Nourished

アメリカ・ロサンゼルスに拠点をおくProject Nourishedは、なんと「味覚」のVR体験を研究・開発している。

味覚は、実のところ、舌を刺激する感覚だけから構成されるものではない。実際には、食べるモノの見た目と香りはもちろんのこと、食べる時の生じる音、食べ物を口に運ぶために使う(箸やスプーンといった)食器から伝わる感触が、味覚に大きく影響している。

こうした複合的な体験である「味わい」をVR体験するために同社が用意したものは、自ずと数が多くなり構造も複雑になる。同社が開発しているVR味覚体験セットは、VRヘッドセットをはじめとして6種類のツールから構成されている(下の画像参照)。

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このVR味覚体験セットを使って、実際に飲み物を飲んだり、食べ物を食べたりするシチュエーションを完全再現して「食べる」VR体験を実現する。あくまでVR体験なので、コップに入っている「飲み物」は香りのついた煙であり、「食べ物」は質感と香りを再現してあるキューブ状に3Dプリントされた人工食物であるが。

Project Nourished社は、(冗談みたいに手の込んだ)VR味覚体験セットを肥満や拒食症といった摂食障害の治療に役立てることを目指して開発すすめている。

現時点では海外テレビドラマ「スタートレック」に登場する完全な現実を再現する装置「ホロデッキ」のようなデバイスは、残念ながら存在しない。しかし、「ホロデッキ」を目指した飽くなき探求から生まれてくるものは、必ず「役に立つ」であろう。

視聴覚以外の感覚のVR体験を探求した事例を紹介したWareableの記事
https://www.wareable.com/vr/senses-touch-taste-smell-immersion-7776

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情報提供元:VR Inside
記事名:「「視聴覚以外の感覚」のVR体験の最前線!食べてないのに食べることもできる?