読書ノートに書くべきは「要約」ではない


 こんにちは、「美女読書」運営のわたなべです。

 

 先日公開した「本好きライター募集」の記事ですが、予想以上に反響があって既に20名近くの方からご応募をいただいております。ありがとうございます!


 一言で言うと、この企画は「お好きな本をプレゼントする代わりに書評記事を書いていただく」というものです。


 どんな記事を書いたらよいか分からない方のために「執筆ガイドライン」を用意しているのですが、このガイドラインに、最近読んだ『世界のエリートは10冊しか本を読まない』という本でとても共感したポイントを追加することにしました。


 大きく分けると次の3つです。



  1. 要約ではなく「次のステップ」を書こう

  2. 本は自分の課題解決のために読もう

  3. 本は最後まで読み切る必要はない






世界のエリートは10冊しか本を読まない


①要約ではなく「次のステップ」を書こう


 もっとも共感したのが、「読後に書くべきは”要約”ではなく、”次のステップ”である」という点です。


 本書によると、日本人の多くは本を「インプット=覚えるべき知識」として読んでおり、著者の主張を正しく理解することに重きを置く傾向にあるといいます。そのため読書ノートをつけるときも、読んだ内容を忘れないようにするために「本の要約」や「印象に残ったフレーズ」「大切だと思った一文」を書き留めようとします。


 一方、ハーバードやスタンフォードに通うアメリカのエリート学生は、本を「課題解決の処方箋」としてとらえ、アウトプットの手助けとして読んでいると言います。「何が書いてあったか」という本の内容は重視しておらず、要約をまとめることも、大切な一文を抜き出すこともしません。その代わりに書き残しているのが「ネクストステップ」です。


 本を読んだ後、「この本に書かれてある理論を今の自分のシチュエーションに当てはめたらどうなるのか」「この本の内容を踏まえて、自分はどのようなリアクションを取ろうと思ったか」のように、自らの次のステップを考え、自分なりの結論を書き留めているのです。


 たとえば「部下の育て方」について書かれた本を読んだ時、「そうか、リーダーというのはこうあるべきなんだ」と一般論として理解したり、参考になった内容をメモしておく人は多いと思います。


 それをちゃんと実践に移せれば問題ないのですが、メモするだけで理解した気になって、結局実践に移さないまま終わってしまう人がほとんどではないでしょうか。


 「自分の会社に当てはめると、どのように再現できるか」「部下のAさんのモチベーションを上げるには、こういうふうに指導をした方がいいかもしれない」のように、自分に当てはめながら読み、本をケース・メソッドのように使うことで、結果につながる実践的な読書に変えることができます。


②本は自分の課題解決のために読む


 読書の目的とは、知識を得ることではなく「課題解決」に役立てることです。


 そのため本を読むときは「著者の主張を正しく理解する」こと以上に、「この本は本当に課題解決に役立つのか?」という問いを繰り返しながら読むことが重要だといいます。


 この視点を持つと、どんな本であっても役に立つ知見が得られるようになります。


 例えば、将来起業したいと考えている人からすると、会社設立や経営、ファイナンスに関する本を読むことが課題解決に役立つと考えるかもしれません。しかし「片付け」や「マインドフルネス」、「女性の社会進出」など、「起業」それ自体とは一見無関係な本であっても、それぞれに記されているエッセンスは、起業成功のための課題解決に何らかの形で必ず役に立ちます。


 どんなジャンルの本であれ、「自分の課題解決に役立つか?」というセンサーを持って読めば、何かしら意味のある知見を得ることができるということです。


 そのため今回の企画では、本を読んだ感想や批評を書いていただくというよりは、「自分の課題解決に役に立つと感じた部分はどこか」「なぜそう感じたのか」「どのように活かせそうか」などについて書いていただきたいと思っています。


③本は最後まで読み切る必要はない


 「本を読むのは課題解決のため」という視点を持つと、最後まで読み切ることや、速く読むこと(速読)を目的とすることには意味がないと気づきます。


 ビジネスの世界でもっとも大切なのは、目の前の課題を解決し、結果を出すことです。そのために読書が強力な武器になるのは間違いありませんが、それは同時に、結果につながらない読書は何の意味もないということでもあります。


 だからこそ、重要なのは「要約力」や「著者の主張を正しく理解する力」以上に、「本から得た知見をいかに結果に結びつけるかを考え、実践する力」なのです。


 今回の企画では、本を最後まで読んでいただく必要はありません。極端な話、読んだページが1ページであっても、1行であっても、それを実践につなげて結果を出すことができれば、その読書は成功と呼べるからです。


 もし、最初に開いた1行目に、本のエッセンスが凝縮されていて、それを理解したならば、私は躊躇なく、その本を閉じるでしょう。2行目よりも先を読むのは、「時間の無駄」だからです。後ろのページを読む時間を、実践の時間に当てたほうがよほど効率的だと私は考えます。


まとめ


 これまで美女読書では「本の要点」をわかりやすくまとめることを主旨にしており、「この本にはどんな主張が書かれているのか?」をてっとり早く知れることをメリットと考えていました。


 でもそうした要約的な記事って個性が出しづらいし、共感を呼ぶ内容にはなりづらいんですよね。これまでは私一人が、特に名前出しすることもなく更新してきたのでそれでもよかったのですが、せっかく新しく書いていただく方が増えるわけですから、できるだけ個々のライターさんの個性が感じられる記事になった方が面白いし、メディアとしても魅力が増すだろうと思いました。


 ということで、今回の企画では、読んだ本のポイントを要約してまとめるだけのアウトプットではなく、「本で得た知見を、自分の仕事(や人生)の課題解決にどのように活かすか」という視点を、個々のライターさんに持っていただくことをガイドラインに追加しています。


 ライターさんにとっても、その方がアウトプットによって得られる学びの質が高まりますし、読み手にとっても、書き手の個性やリアリティが出て興味が惹かれる記事になるはずです。


 「本で、仕事を楽しくする」という当サイトのコンセプトに沿って、さまざまなライターさんの「本から得た仕事を楽しくするアイデア」について発信していってほしいと思います。


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世界のエリートは10冊しか本を読まない


情報提供元: 美女読書
記事名:「 本を読んだら「要約+感想」ではなく「次のステップ」を書こう!