「ヨガは銭湯のようなもの」バー経営,放送作家,CM制作etc…敏腕ビジネスマンがヨガへ行き着いたワケ

「デキる人は、ヨガしてる。」(著:石垣英俊、及川彩)より


ヨガをなぜ始め、続け、そして伝えるのか。「デキる人は、ヨガしてる。」の著者2名によって、ヨガのエキスパートにインタビューを行いました。


 


お話をうかがった人:chama / 相澤護氏

E-RYT500 ヨガティーチャー ・TOKYOYOGA ディレクター、(株)TYG 創業者。



画像はイメージです 

 




―チャマさんはヨガを一度やめている、とうかがいました。


 


私は実は2回ヨガを始めていまして。1回目は20代の頃です。その頃は「人と違う特別な存在になりたい」という欲が強かったんです。悟りたいと思って哲学の本等も読んでいました。今から20数年前、赤坂見附でヨガ道場を見つけて、通い始めたのが最初です。その後、仕事も忙しくなってきて、一旦ヨガから離れました。


 


―そうだったんですね。お仕事は何をされていたのですか。


 


高校を卒業した後、とにかく海外に行きたくて、1日20時間位アルバイトをしていました。1年ほどでまとまったお金が貯まったので、海外に留学に行こうと思ったのですが、丁度その時、母が体調を崩してしまって。海外に行くのを思いとどまり、貯めたお金を元手に飲み屋を始めたんです。だから、最初から経営が仕事になってしまった感じですね。


お店は、DJバーにしたり、レゲエクラブにしたり、時代に合わせて変えながら25歳まで5年間続けました。その後、姉がニューヨークにいた関係で、ニューヨークを訪れたのが念願の初海外です。そこで世の中の広さを知りました。


マスコミの仕事に興味が湧いて、フォトジャーナリストになりたいと、帰国してから仕事を探しました。飲み屋をやっていたから、コミュニケーション能力はあったんでしょうね。ジャーナリストに直結はしないのですが、放送作家事務所に入ることができたんです。その後、フリーで少し仕事をして、TVコマーシャルの制作会社に入りました。


 


―色々な仕事を経験されてきたのですね。ヨガを再び始められたのはいつ頃でしょうか。


 


TVコマーシャルの制作会社で3年働いた後、再び海外熱が高まって、ボランティア旅行で世界を飛び回りました。旅行中、タイのサムイ島で、ある方からアシュタンガヨガを教わったことが、再びヨガを始めるきっかけになりました。日本に帰ってきてから、その方と一緒に台湾茶のビジネスを始めたのですが、その方がケン・ハラクマさんの友達で。私たちがビジネスの拠点としていた南青山のマンションの一室にケンさんが遊びにきた際、「ここでヨガをしたい」とおっしゃって、ヨガスタジオを始めることになりました。その時期、私自身も父の介護が始まっていて、精神的にもきつい面があったので、アシュタンガヨガに救われました。20代でヨガを始めた時は「特別な人になりたい」というWantsでしたが、30代半ばで再開した時は、自分自身を支えてくれるものになっていたので、完全にNeedsでしたね。


 


―なるほど。それからすぐにヨガインストラクターとしてキャリアをスタートされたのでしょうか。


 


その時点で、ヨガを仕事にしていこうとは思いました。父が60代半ばで倒れて介護が必要になってしまった原因は、生活習慣だったんです。その反動もあったんだと思います。ヨガは自分の体を通して、生活習慣を変えていくことができます。40代位になると、その後の人生の健康を考えたら何らかの運動を続ける必要があるんだと思います。


ヨガは運動ですが、激しくなく緩やかですし、脈拍やテンションを上げるものではなくて、カーム・ダウンさせるものです。特にビジネスマンなど、日中は頭も体もフル回転させている方はストレスも強く感じていますよね。


落ち着ける瞬間が、中々ない。リラックスという感覚自体を忘れてしまっている。ヨガを通して、リラックスの深みを感じることができると思います。ヨガは誰にでもできるし、誰にでも必要なものだと思います。


ですが、最初はヨガを教えることができなかったので、ケン・ハラクマさんのアシスタントのようなことをしながらウェブサイトを作って、ヨガのラグを売るビジネスをしていました2002年頃ですね。ブログでも、東京のヨガ・シーンの情報を愚直に発信し続けました。それが現在のTOKYOYOGAの始まりです。


ヨガの先生って昔は仙人のような人がやっているイメージだったんですよ。アメリカのヨガ・シーンの情報等も取り入れながら、現在の日本におけるヨガインストラクターという職業や、ヨガの形を作ったのは、ケンさんの功績だと思います。


それから徐々に私も、スタジオでヨガを教えるようになっていきました。


 


―東京におけるヨガ・シーンは、ケンさんとチャマさんが作られてきたのですね。


 


今振り返るとケンさんがやっていることを、私は発信する役割だったように思いますね。


 


―質問は変わりますが、チャマさんは「ヨガ的な人」とは、どのような人だと思われますか。


 


『ヨーガ・スートラ』の中に「アビヤーサ」と「ヴァイラーギャ」という言葉があります。「アビヤーサ」はプラクティス、実践。物事は何かしらの動機や目的があって始めますよね。20代で、私がヨガを始めたのも「特別な人になりたい」という欲があったからです。「ヴァイラーギャ」は離欲。欲から離れること。ヨガはポーズの練習から始めることが多いと思いますが、ポーズをとると、痛みとか心地良さとか、概念ではなく、リアルな体感として感じることができます。


「ポーズをとれた」時には喜びを感じますが、それはほんの一瞬で、ヨガを続けていくと、必ずできないことがでてきます。初めは「成長したい」とか「達成したい」とか、何らかの欲があってヨガを始めると思うんですが、実践のプロセスを経て、初めてできないことがわかるんです。


できないことがわかって初めて、ヨガに取り組んでいること自体にOKを出せるようになる。自分から離れて「委ねる」ことや「手放す」ことを知る。私も経営をしていましたが、欲がない時の方が、物事が上手くいく実感があります。もちろん、何らかの欲や目的があってビジネスを始めるのですが、人が増えてきたり会社が大きくなってきたりすると、段々無欲でいるのが難しくなってくる。


ヨガには「アビヤーサ」と「ヴァイラーギャ」を自分の体というリアルなもので体感するプロセスがあります。この両輪が上手く回っている人が、「ヨガ的な人」といえるかもしれませんね。


 


―おっしゃる通りですね。私たちもそう感じます。最後に、チャマさんにとってヨガとは一言でいうと何でしょうか。


 


ヨガは、スーパーフラットへ至るプロセスだと私は解釈しています。ヨガは銭湯のようなもので、ヨガをしている時は肩書とか階級とか全て取っ払ってみんなフラットになれますよね。私にとってヨガとは、「解放」ですね。


 




chama  / 相澤 護 chama / Mamoru Aizawa

E-RYT500 ヨガティーチャー ・TOKYOYOGA ディレクター、(株)TYG 創業者。1967 年東京生まれ。レゲエクラブの経営、TV-CM 制作会社勤務などの後、インドでの海外修行やヨガ講師アシスタントなどを経て、ヨガ講師となる。2002 年にヨガの普及を目的とした(株)TYG を発足。ヨガスタジオ&ヨガショップ「TOKYOYOGA」(渋谷・青山・大阪・伊豆高原)、ヨガのフリーペーパー「YOGAYOMU」発行、ヨガのダイアリー「ヨガ手帳」企画、ヨガブランド「samavsm」のディレクションを行うなど、さまざまなツールを通じてヨガを広げる活動を行っている。

 









『デキる人は、ヨガしてる。 (Business Life)』

(クロスメディア・パブリッシング)






情報提供元: BUSINESS LIFE
記事名:「 「ヨガは銭湯のようなもの」バー経営,放送作家,CM制作etc…敏腕ビジネスマンがヨガへ行き着いたワケ
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