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大人も胸キュン「ゴースト&レディ」脚本の高橋知伽江氏、ヒロイン谷原志音&真瀬はるかが意欲


劇団四季ミュージカル「ゴースト&レディ」に出演する真瀬はるか(左)と谷原志音(上原タカシ氏撮影)

<情報最前線:エンタメ 舞台>

劇団四季ミュージカル「ゴースト&レディ」が6日、東京・竹芝のJR東日本四季劇場「秋」で幕を開ける。近代看護の礎を築いたフローことフローレンス・ナイチンゲールと、芝居好きゴーストのグレイの不思議な絆を描いた、藤田和日郎氏の人気コミックを原作にしたオリジナル作品。脚本を担当した高橋知伽江氏に作品の魅力、そしてフロー役の谷原志音、真瀬はるかに舞台にかける意気込みを聞いた。【林尚之】

   ◇   ◇   ◇   

■コミック原作

高橋氏といえば、ディズニー映画「アナと雪の女王」で翻訳を担当し、「ありのままの」のフレーズで大ヒットに貢献した。劇団四季でも「アラジン」の日本語訳詞、「ノートルダムの鐘」「パリのアメリカ人」「アナと雪の女王」の日本語台本・訳詞、「バケモノの子」では脚本を手がけた。

「2022年4月の『バケモノの子』の初日直後から書き始めました。夏ごろには第1稿を書き上げましたが、それから何回も書き直して、第12稿まで書いて、稽古に入りました。オリジナルですから、稽古では作っては壊しての繰り返し。台本の変更が毎日のようにあって、『新しい台本です』と出演者に渡す日々が続きました」

原作は藤田氏の「黒博物館 ゴーストアンドレディ」。コミック雑誌に14年から15年まで連載された。

「漫画やアニメには熱心なファンの方がいて、舞台を見て、このシーンがないと思われる方がいるかもしれないけれど、漫画に描かれたすべてを舞台に盛り込むことはできない。どこをそぎ落とすかが問題なんですが、事前にお会いした藤田先生からは『フローとグレイのラブストーリーを大事にしてほしい』と言われました。誰も信じないゴーストと、信じてもらえないフローが、行動を共にすることで、お互いに信じ合うようになり、1人ではできなかったことを、2人で成し遂げる。決してかなうことのないプラトニックな恋に、大人の方も胸キュンとなると思います」

看護に一生をささげたナイチンゲールといえば、誰もが知る偉人だが、舞台では普通の女性としての姿に力点を置いたという。

「ナイチンゲールは『聖女』ともいわれる存在だけれど、フローは自分にできるかしらと不安を抱える、完璧ではない普通の女性。お客さまにも近い女性が困難を乗り越えていく姿により共感していただけると思います」

30曲以上あるナンバーの歌詞も担当した。4月初めの稽古場取材会では、互いに姿も見えず声も聞こえない中で思いを重ねるナンバー「不思議な絆」などが披露された。

「コミカルな歌も多いけれど、人を愛する意味を語る、グレイの歌がひときわ心に響くと思います。今回の舞台は、稽古場で何度見ても感動します。出演者もダブルキャストだから、それぞれの個性もあって、違った面白さがあると思います」

どんな舞台でも、まずは脚本がスタート台となる。

「大変な仕事ですが、初日にお客さまが入って、喜んでくださる姿を見ることで報われます。お客さまが入ることで、舞台というジグソーパズルが完成すると思います」

6日、満員の観客が入った劇場でパズルの完成を見守る。

■Wキャスト

ヒロインのフローを演じるのは谷原志音と真瀬はるかの2人。谷原は「リトル・マーメイド」のアリエルをはじめ、「アナと雪の女王」のエルサ、「ジーザス・クライスト=スーパースター」のマグダラのマリアなどで出演している。

谷原は「この漫画は読み始めたら終わるまで最後まで止まらなくて、何度も読み返しました。ナイチンゲールって、本当に有名で偉大な方ですが、ものすごくチャーミングに人間くさく描かれていて、自分に近い部分もたくさんある普通の女性だと思いました」

物語は、フローがグレイに「自分を殺してほしい」と願う場面から始まる。

「つらく苦しい思いを抱えていたフローが、物語が進むにつれてどんどん変わっていく。作品が終わるころにはポジティブなものに大きく変化している。稽古は大変なこともありますが、今とても楽しいのは、フローを演じることで彼女がたどった思いが重ね合わせられるからだと思います。だから、何も考えずに作品に入っていただければ、見終わったころにはきっと私が感じている『楽しい』という感情を感じてくださると信じながら、日々稽古をしています」

真瀬は宝塚歌劇団出身で、劇団四季では17年に「キャッツ」のジェリーロラム=グリドルボーンでデビューし、「ウィキッド」のグリンダなどで出演している。

真瀬は「原作を読んで驚いたのは、絵の持つ力です。フローに関しては目の描かれ方がすごく特徴的で、絵からみなぎるパワーがすごい。フローが描線の力強さと同じくらい勇敢な魂を持って突き進んでいく姿が魅力的で、読み始めたら止まらなくて一気に読み切ってしまいました。勇敢な魂を持ちながら、同時に揺らぎもあったり、度胸と愛嬌(あいきょう)、多面性がある1人の人間だと感じました」

作品を通して感銘を受けたのは「信じる力」だという。

「フローはもちろん、グレイも敵役も含めて登場人物たちはみな、それぞれの信じたいものを信じて人生を歩んでいる姿が描かれている。誰もがその時のベストを尽くして、その瞬間を生きている。『選んではいけない人生なんてない』と、思わせてくれる作品です。日々の中で私も迷うことがありますが、この物語に人生を肯定され、勇気づけられます」

◆「ゴースト&レディ」 舞台は19世紀の欧州。英国の令嬢フローは看護の道を志すも、家族の反対を受け、生きる意味を失う。ロンドンの劇場にすみつく芝居好きゴーストで、元決闘代理人のグレイ(金本泰潤、萩原隆匡)に「殺してほしい」と嘆願し、グレイは「絶望の底まで落ちたら殺す」という条件で願いを引き受ける。信念を貫く決意をしたフローはグレイとともにクリミア戦争の負傷兵が収容されるスクタリ野戦病院に赴く。逆境の中、2人は深い絆で結ばれていくが、フローを亡き者にしようとする軍医長官、グレイと因縁のあるゴーストが2人の前にたちはだかる。演出は「ノートルダムの鐘」を手がけたスコット・シュワルツ氏。東京公演の千秋楽は11月11日。

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