はじめに
コロナによって失われた日常、大きく変容する世界、今当たり前と思っていたことが明日も当たり前とは限らないことをより実感することが増えてきた。何気ない街の風景も実は日々少しずつ変わり、大都市では再開発が進んでいる。そんな変化する街並みを上空から眺めると、この時代の目撃者になっている気がするのだ。今回は今こそ見ておきたい都心の展望スポットを紹介する。Text&Photo:かねだひろ
【1】東京タワーから見る六本木方面/港区
昭和33年に開業し、平成・令和と60年以上東京の変化を見つめている東京タワー。インターナショナルオレンジと白の鉄塔がすくっと空に伸びている姿は美しく、東京のシンボルであることを強く感じさせてくれる。 △2021年1月東京タワーからの景色。中央が虎ノ門・麻布台地区東京タワーから見える景色として今注目してほしいのは六本木方面。六本木ヒルズや東京ミッドタウン、アークヒルズ、六本木グランドタワー、奥には新宿の高層ビル群などを立体的に見ることができる。
東京タワーと六本木の間にある虎ノ門・麻布台地区は大規模再開発工事中で、2023年に竣工予定だ。この場所では高さ約330mと東京タワーに匹敵する日本一の高さの超高層ビルのほか、高さ約262mのタワーマンションなどの建設が進んでいる。このビルが完成すると東京タワーから見える景色、そして東京タワーを望む景色も大きく変わってしまうだろう。今の基礎工事が終わると徐々にビルが伸びていく姿になる。まだ更地状態の景色が見られるのもあとわずかとなりそうだ。
◆東京タワー
住所:東京都港区芝公園4丁目2-8
営業時間:メインデッキ(150m)10:30~20:00 ※券売終了19:30、トップデッキツアー(250m)10:30~19:00 ※最終ツアー19:00~19:15
金額:<メインデッキ>大人1,200円、高校生1,000円、子供(小中学生)700円、幼児(4歳以上)500円<トップデッキツアー>大人3,000円[WEB事前予約2,800円]、高校生2800円[WEB事前予約2,600円]、子供(小中学生)2,000円[WEB事前予約1,800円]、幼児(4歳以上)1,400円[WEB事前予約1,200円]
休館日:年中無休
【2】SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)から見る渋谷の街並み/渋谷区
2019年11月に誕生した渋谷スクランブルスクエアは、渋谷地区最高峰・約230mの高さを誇る商業施設。屋上にある展望施設SHIBUYA SKYからは東京の街が一望でき、ここから見下ろす渋谷の街並みは、新しいビルと古いビルが入り混じり、過去と未来の日本の姿を象徴しているように見える。 △2021年1月SHIBUYA SKYから見た景色。左下が東急百貨店東横店真下には「世界一有名な交差点」ともいわれるスクランブル交差点を行きかう人々、様々な情報が映し出されるビジョン、カラフルな看板など渋谷らしい景色が広がっている。
渋谷駅周辺では“100年に1度”と言われる大規模開発が進行中で、昨年春に閉店した東急百貨店東横店も取り壊され2027年には渋谷スクランブルスクエア2期棟が竣工する予定だ。そして渋谷駅桜丘口地区、道玄坂二丁目の基礎工事の様子や、NHK放送センターの建て替え工事の様子などを見ると今とは違う渋谷の風景に向かっていくのが感じられる。
◆SHIBUYA SKY
住所:東京都渋谷区渋谷2丁目24-12(渋谷駅直通・直上)
営業時間:10:00~20:00 ※最終入場19:00
金額:大人(18歳以上)2,000円[WEBチケット1,800円]、中学生・高校生1,600円[WEBチケット1,400円]、小学生1,000円[WEBチケット900円]、幼児(3~5歳)600円[WEBチケット500円]
※チケットは入場日と入場時間が決まっている日時指定券です。
休館日:不定休
【3】横浜ランドマークタワーから見るみなとみらい/横浜
あべのハルカスが大阪に誕生するまでは日本一高いビルであった横浜ランドマークタワー。273mという高さから、みなとみらい地区のキラキラした美しさと、東京湾を含めた東京の街の大パノラマが一望できる。△2021年1月横浜ランドマークタワーから見た景色。ロープウェイの支柱が完成している
なかでも今見てほしいのは南側の景色。横浜マリンスタジアムのそばには昨年役目を終えて再開発されることとなった旧横浜市庁舎のほか、山下ふ頭には実物大の動くガンダムの姿を見つけることもできる。
そして真下には桜木町駅前と新港ふ頭を結ぶ常設都市型ロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN」が4月22日の運航開始に向けて建設が進められている様子も。ロープウェイが行きかう新たな日常が訪れる前の風景が見られるのも今だけなのだ。
◆横浜ランドマークタワー 展望フロア「スカイガーデン」
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目2-1
営業時間:10:00~20:00 ※最終入場19:30
金額:大人(18~64歳)1,000円、65歳以上・高校生800円、小・中学生500円、幼児(4歳以上)200円
休館日:1月1日
【4】失われる世界貿易センタービルディングからの景色/港区
再開発によって展望施設自体が失われることもある。昭和45年の完成当時は日本一高いビルであった世界貿易センタービルディング。浜松町駅周辺の再開発に伴い取り壊しが決まっており、2021年1月31日をもって最上階にある展望台「シーサイド・トップ」は営業終了となる。△2021年1月世界貿易センタービルディングからの景色
ここからの景色の魅力はなんといっても東京タワービューを含めた都心部の大パノラマ。東京タワーの全景を近い位置で見ることができる貴重な展望スポットであった。
半世紀以上、東京らしい風景を届けてくれた展望施設自体が失われるのは非常に残念な気持ちだ。
ぜひ31日までに足を運べる機会があれば、もう見ることができない景色をあなたの目にも焼き付けていただければと思う。
◆世界貿易センタービルディング 「展望台 シーサイドトップ」
住所:東京都港区浜松町2丁目4-1
営業時間:10:00~20:00
金額:大人620円、高校生620円、小・中学生360円、幼児260円
※2021年1月31日をもって営業終了
休館日:ビル全館休館日に準ずる
おわりに
昨年から続くコロナ禍で各地の観光施設は厳しい状況が続いている。展望施設においても休業を余儀なくされている所がある一方、感染対策をしながらいつでも街の様子を見つめられるようにと営業している施設も多い。少し息苦しい世の中ではあるが、高い場所から街を見下ろすと、自然と深呼吸をしたくなるから不思議だ。あなたの街にも展望タワーや展望台など街を見下ろせる場所はないだろうか? なかなか旅にはいけない今だからこそ、それでも新しい時代の中で変わっていく身近な街並みを見つめ、今しか見られない景色に触れてみてほしい。
◆かねだひろ
日本全国の展望タワー、展望台などの展望施設を約350 か所以上巡っている展望タワー・展望台マニア。著書に『日本展望タワー大全』(辰巳出版)。『マツコの知らない世界』(TBS 系)などメディアにも出演。東京タワーを中心に展望施設の写真や、その日その時に見える景色を発信中。
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※営業時間等は記事公開時のものです。公式サイトをご確認のうえ、感染対策をしっかりとしてお出かけください。