はじめに
台湾の水際対策が緩和され、訪台のハードルがぐっと低くなった今秋。久しぶりの台湾、せっかくならば雅なスポットを訪れてみては。例えば、新竹の「The One南園人文客棧」。風水をふんだんに取り入れた中華建築で、隈研吾氏による多目的パビリオンとの調和も興味深い庭園です。現在はThe Oneグループによるリゾート施設となっていて、1日20室限定での宿泊、または1日40人限定の日帰りツアーという形での入園が可能です。
設計したのは台湾建築の父・漢寶德氏。世界的セレブも多数滞在。
台北から車で約1時間。茶畑の丘を抜ける曲がりくねった小道を進み、緑が色濃い山々の奥深くに広がる中華圏で最大の山庭園、それが「The One南園人文客棧」です。1980年代に有力紙の創始者の別邸として建てられたレンガ造りの中華建築で、設計を担当したのは、台湾建築の父と呼ばれる漢寶德氏。イギリスのサッチャー元首相やロシアのゴルバチョフ元大統領も訪れたことがあるという名園です。現在はリゾート施設として経営されており、日本の著名な建築家である隈研吾氏と設計チームが初めてここを訪れた際、まるで時間と自然が共存する桃源郷のようだと魅了され、2年間の探究と創造を経て、台湾で最初の作品となる『風檐』をこの庭園に完成させました。
新竹の大地を吹き抜ける風、隆起する大地を738本のヒノキで表現。
『風檐』は、新竹の大地と吹き抜ける風のイメージを融合させたパビリオン。17層のアーチ構造で地面がゆっくりと隆起する様子を表現した形状は、738本のヒノキの柱を用い、接点を少しずつずらしながら異なる角度でつなぎ合わせて制作。金属は極力使わず、パピリオンはETFE膜で覆われています。この作品は、約30年前に南園のヒノキ建築群を設計した漢寶德氏へのオマージュであり、このパビリオンの誕生によって、果てしない緑のもと、新旧の建築が対話をしているかのような興味深い庭園へと生まれ変わりました。
細部に宿る匠の技。中華圏で最も美しい山の庭園がここに。
新竹の山と谷に囲まれた南園には、台湾が経た時代の記憶が残っています。モチーフとしたのは、中国の宋の時代、趙伯駒が描いた宮殿『宋趙伯駒阿閣圖』。 “地上の天国”をイメージした当代最大のヒノキ園建築群は、何百本もの貴重な台湾ヒノキを用い、百人に及ぶ技術者を動員して建造されたもの。江南庭園、福建様式の建築、バロック様式のアーケードという3つの建築スタイルが完全に融合した空間を造り上げました。ヒノキを削り出して造られた広間の“太師壁”、庭園の至るところに施された吉祥モチーフの彫刻…芸術と古典の組み合わせは、今日まで受け継がれてきた中華文化の美そのものであり、緻密な創意工夫は“中華圏で最も美しい山の庭園”と呼ばれるに値する素晴らしさです。

そこにあるのは、経年による趣きを生かした美しさ。


天然ハーブの癒し効果を取り入れたサービスでおもてなし。


森の静けさに身を委ね、癒しのひとときを。
27ヘクタールの敷地を覆う果てしない緑は、その80%が台湾原生種の植物。これらと共生するべく、化学除草剤や農薬を使わず手入れをし、豊かな植物生態系を維持しています。
ゆったり過ごせる宿泊プランは1日限定20組!

◆The One南園人文客棧
住所:新竹縣新埔鎮九芎湖32號
電話:+886 2 2562 1777